チェズル・ビーチへのフットパス

前回の記事で書いたライム・レジスを後に、ドーセット州の海岸沿いを、車で東へとむかいます。その途中の路上から見えたこの景色が・・・チェズル・ビーチ(Chesil Beach)。海岸線から少し離れて、向かい合う陸地から陸地へ、ピンとはられた楽器の弦か弓糸のように、石ころでできた浜辺が一直線に続いているのです。

チェズル・ビーチは、東は、白い建築用の石で有名なポートランド(Isle of Portland)から、西は、ドーセット内で一番可愛らしい村などとも言われるアボッツベリー(Abbotsbury)近郊まで続いており、全長約29キロ。陸とチェズル・ビーチに囲まれた、一部塩水、一部真水のラグーンはフリート・ラグーン(Fleet Lagoon)。

チェズル・ビーチの石ころは、近くの強い海流により、東から西へ、こぶし大のサイズから、徐々に小さくなり、豆粒サイズへと振り分けられているのだそうです。よって、つるつるしたチェズル・ビーチの丸石のサイズを見て、これはビーチのどのあたりのものか、というのが分かるなどと言います。この近くの海流の影響で、イングランド南海岸線では、昔から、航海が危険な場所とされ、過去、いくつかの難破が起こったようです。

だんなは、昔、同じ場所からチェズル・ビーチを見たそうですが、今回は、フリート・ラグーンのわきを歩いてみたいなどと言うので、ラングトン・へリング(Langton Herring)という小さな村のバプに駐車し食事をした後、そこに、そのまま車をとめさせてもらい、フットパス(footpath 歩行者用ハイキング路)が載っている地図を頼りに、ウォーキングへ繰り出しました。

フリート・ラグーンへたどり着くフットパスの始まりは、まず、ここからだろうなと思われる場所に行くと、パブリック・ブライダルウェイ(Public Bridleway 歩行者の他、乗馬して歩ける道)のサインのわきに、おそらく、ここの土地持ちが、掲げたと思われる看板が立っており、看板いわく「Bridleway Only, Private Road, No access to the sea  ブライダルウェイのみ、私有道路、海へのアクセスではない」。これを読んで、私たちはちょっと迷って、「地図上では間違いなく、ここからだと思うけど、海に出れないって・・・?」しばし、あたりを見回し、他にフットパスが始まる場所がないかと、10分ほど時間を費やした後、間違いなく、ここからだ、ただの意地悪土地持ちが、ハイキングに来るよそ者を嫌がって、混乱させるために立てた看板に違いないと決め、歩き始めました。

しばらくいくと、道はどんどん海岸線へと降りていくので、これは間違いなし。

後ろを振り向いて、村の方向を見ると、こんな感じです。

案の定、20分足らずで、ちゃんと、フリート・ラグーンにたどり着きました。

途中、犬を散歩させている地元のおばあちゃんを通り越し、その際に、だんなが、フットパスの入り口での「海へのアクセスがない」という看板の事を、彼女にもちかけると、おばあちゃん「最近、私の近所の人間が立てたみたいだ。」そして、そのあとに、「フリートは、ラグーンなので、厳密には、確かに、海ではないというのはある。」などと、情けない言い訳をつけていました。何をおっしゃる!ただ単に、自分の土地に、自然を楽しみたい、他の土地からの人間が入ってくるのが嫌な奴の、工作です。こうした、私有地を走るフットパスやブライダルウェイは、法律上では、歩くものの権利が守られているものの、時に、こうした意地悪土地持ちによって、よそ者が使用しずらく、見つけにくくされている場合が多々あるのです。

水際までたどり着くと、ドーセット州プールから、サマセット州の海岸線までをずっと繋ぐ、長距離フットパスであるサウス・ウェスト・コースト・パス(South West Coast Path)へ合流しますので、しばし、フリート・ラグーンとチェズル・ビーチを右手に見ながら、このフットパスを東へ歩きました。ラングトン・へリングの村へ戻るため、再び北へ進路を変えて別のフットパスを辿り、海岸線を離れるまで、見た人間は2人。かなり大きいリックサックをしょった比較的若いカップルでした。毎日、少しずつ歩いて、サウス・ウェスト・コースト・パスを制覇しようとしているのでしょうか。

「海へのアクセスではない」にもかかわらず、塩水ラグーンとその向こうのチェズル・ビーチ、その向こうの、本当の「海」をまじかに見れて良かったです。

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