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10月, 2021の投稿を表示しています

レジ袋を使わないだけで、世界は救えない

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イギリスのスーパーマーケット等で、商品を入れるレジのビニール袋の有料化(5ペンス)が始まったのは、2015年と、もう6年も前の話になります。5ペンスでも、今まで無料だったものにお金を払うのは嫌だと、この影響で、一回のみ使う薄いビニール袋(single-use plastic bags)の使用率は、83%も減ったとされます。その代わりに、何度も繰り返し使えるという名目で、バッグス・フォー・ライフ(一生ものバッグ、bags for life)を各スーパーマーケットは店頭に並べ、盛んに売りだしました。 考えとしては、理にかなっているものの、一生ものバッグは、通常のレジ袋よりも耐久性が要求されるため、まず、製造過程で、ぺらぺらビニール袋より多くの素材(プラスチック)が必要とされ、さらには、多くのエネルギーも必要。よって、最低でも、4回から11回ほど(これは各バッグの厚さにより異なる)使用しないと、ぺらビニ袋より環境に悪いそうです。 ところが、特に、有料化導入直後のころは、自分でバッグを用意するのを忘れる人が多く、しかも、このバッグ・フォー・ライフが、確か、当時は、10ペンス~30ペンスくらいと、安価であったためから、何度もこれを買って、家に、各スーパーのバッグ・フォー・ライフがごろごろしてるなどという家庭も多くなってしまい、一生ものどころか、1,2回使ってまた買い足すという人が多く、最終的に、プラスティック使用量が以前より増えてしまったという、どうしょうもない結果に。通常のレジ袋は、今はほとんどスーパーからは姿を消しています。このバッグ・フォー・ライフの問題も各スーパー色々、見直しを行っているようではあります。 実は、我が家も、有料化直後、大手各社のスーパーマーケットのバッグス・フォー・ライフは3,4個買ってしまい、やがて、これらのバッグは、いらなくなった本や衣料などを入れて、近くのチャリティーショップ(慈善のための中古ショップ)に寄付してしまいました。この厚手プラスティックのバッグス・フォー・ライフは、けっこうかさばるので、車のトランクに入れておけばまあ問題はないでしょうが、徒歩で出かける場合、ポケットに入れていつも持ち歩くには不適切で、やがて、ぐしゃっと丸められる布製マイバッグを、ポケットやハンドバッグの底に入れて出かけるのが習慣になりました。布製なら洗えるし。そう、こ

バイオダイバーシティー(生物多様性)の低い国イギリス

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 イギリスは、バイオダイバーシティー(Biodiversity、生物多様性)が非常に低い国である、というニュースを聞きました。G7の国の中では最下位、また全世界中でも、下からの10%に入るというお粗末な結果。ちなみに、G7で一番の生物多様性を保っている国は、カナダで、それから、ドイツ、フランス、イタリア、日本、アメリカ、そしてイギリスとなっています。  日本は国土の70%近くが森林だというのに、もっと上でもいいのではないか、という気がしますが、日本の森林は、杉やヒノキなどの人工林が占める割合が非常に高いのがマイナス。要するに森林面積は広くても、種が限られ、モノカルチャーであるため、多種多様の昆虫や生物を支えることができない、おまけに、花粉症という弊害もある。このため、日本がこのバイオダイバーシティーリストの上にあがっていき、生物種の絶滅を防ぎ、バランスを守るためには、広葉樹林の拡大が望ましいようです。 カナダのように、人口のわりに、国土面積が広いアメリカなどが、 日本より悪いというのは、単一穀物を育てる、地平まで続く超大型農地が多いためでしょうか。これはあくまで、憶測です。 さて、イギリスは、ヨーロッパの他国に比べて森林面積が狭いという話は、前々から聞いて知っていました。その理由のひとつには、とにかく、国が たいら であるという事があったようです。 ストーンヘンジ などを作った、大昔のご先祖様たちの時代から、とにかく、木を切って土地を開拓するのが比較的楽であったので、どんどん、木がなくなっていった。そして、産業革命を最初に成し遂げ、ますます、手つかずの土地が減っていき。昔のままの姿の森林というのは、たしかに、イギリス国内でぽつん、ぽつんです。ドイツ、フランスなどは、グリム童話の背景に、今でも使えそうな森林がたくさん残っている感じはします。 庭に来る ブラックバード や ロビン などの鳥たち、 ハリネズミ 、町の中心に行く途中のやぶから飛び出すうさぎ、など、その辺でわりと小動物と遭遇する機会が多いので、なんかイギリスは、自然たくさん、というイリュージョンはあります。 ロンドンなどにしても、キツネが庭に出没したり、ハイドパークやら、ハムステッドヒースやらと広大な緑地が多いのも、緑大き国のイメージにつながっていますが、緑=バイオダイバーシティーという方程式はなりたたない。

ロンドン市場への七面鳥とがちょうのマーチ

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...this county of Suffolk is particularly famous for furnishing the City of London and all the counties round with turkeys, and that it is thought there are more turkeys bred in this county and the part of Norfolk that adjoins to it than in all the rest of England. ..I shall observe how London is supplied with all its provisions from the whole body of the nation, and how every part of the island is engaged in some degree or other of that supply. For the further supplies of the markets of London with poultry, of which these countries particularly abound, they have within these few years found it practicable to make the geese travel on foot too, as well as the turkeys, and a prodigious number are brought up to London in droves from the farthest parts of Norfolk They begin to drive them generally in August, by which time the harvest is almost over, and the geese may feed in the stubbles as they go. thus they hold on to the end of October, when the roads begin to be too stiff and deep

イギリスのNAI・NAI ’21

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イギリス の現与党、保守党の党大会が、昨日、道化師 ボリス・ジョンソン のスピーチで閉会しました。 現在の トラック運転手不足 や、天然ガスの値段の高騰により起こっている 多種の弊害 、豚農家で、サプライチェーンの人出不足のため、市場にいきつかない豚を農場で大量に殺すはめになる事態が起こっていることには一切触れず。これからの社会の行方の責任は全て各業界になすりつけ、人材不足があれば、EU労働者に頼らず、業界が高い賃金さえ払えば、何となかなるとった態度。この「何とかなる」っていうのは、非常にイギリス的なものです。ぎりぎりまで、何もしない、その場に及んだら何とかなる。晴れのうちに屋根を直せってことわざがありますが、そのまるで反対。 ボージョーは、イギリス人の若者をトレーニングすればいい、機材投資をすればいいなんてのも繰り返し言ってましたが、そのトレーニングやら機材投資に一体何年かかるのか。それにかかる費用を一体だれがまかなうのか。また、 各セクターでの人件費の高騰がインフレへつながり、大騒ぎになった70年代の 「不満の冬」 の再来となるのではないかと、心配する人もいるようです。ガスの値段の高騰で、すでに、インフレの影がのびているところへもってきて。 さて、この農場での、豚の大量の殺害ですが、動物福祉と衛生管理上、これには、獣医の立ち合いが必要なのだそうですが、なんと、その獣医の数も足りていないという話。さらには、殺した後の死骸を処理するためのトラックのドライバーも足りず、山積みの死骸をどうするかも、各農家頭が痛いようです。こうして、動物福祉的には比較的優秀で、質のよく健康的に育ったイギリス国内のブーちゃんたちが、不必要な無駄死にをしている中、EUからどんどん豚肉が輸入されています。こういった肉は、2,3年前には、イギリスの農家を手伝っていた、まったく同じ人たちが新しく探して働きだした、EU圏内の農家や屠畜場から来ているのかもしれません。・・・・・。  こんな話を聞いてきて、大昔はやった、シブがき隊のナイナイ16(Nai Nai 16)という歌が頭の中で鳴り出して止まらなくなり、替え歌を作ってみました。もう、ここまできたら、笑うっきゃないですからね。 ユーチューブで、原曲を探して聞きながら、読んでみて、一緒に歌って、笑ってください。そして、日本も同じ道をたどらないように教

ハート型の葉の観葉植物たち

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最近になって、観葉植物をふたつ増やしました。 フィロデンドロン ブラジル(Philodendron headeraceum "Brazil")と、ハートカズラ (Ceropegia woodii)。両者とも、葉っぱが ハートの形 をしていることで知られています。最近は、こんなものも、インターネットで買えるので便利。ふたつとも、小さな段ボール箱の中、紙にくるくる包まれた形で、到着しました。  フィロデンドロンは、中南米原産の植物。木に這い上がったり、つる下がったりして育つ植物なので、ギリシャ語で、philo(好む)+dendron(木)で、「木を好む」というこの性質から名前がついています。ついでながら、日本のシャクナゲは、英語ではロードデンドロン(rhododendron)という舌嚙みそうなものですが、こちらは、やはり、ギリシャ語の、rhodon(ばら) + dendron(木)で「バラの木」の意味からきています。さらなる、ついでに、ギリシャのロードス島(英語はRhodes)も、この古代ギリシャ語の「rhodon(ばら)」から来ており、「ばらの島」意味・・・。と、切りがないので、脱線はこのくらいにしておきます。 観葉植物としてのフィロデンドロンは、上述の通り、葉がハート型であるため、恋人の植物(Sweetheart plant)などとも呼ばれるそう。私の買った、ブラジルという品種は、1991年に開発されてデビュー。もとのフィロデンドロンが、濃い緑一色の植物であるのに比べ、ハート型の葉っぱのそれぞれに、思いのままに筆で描いたようなライムグリーンのパターンがついているのが特徴。この色の組み合わせがブラジルの国旗に似ているため、ブラジルと命名されたようです。 この植物は、かつて、知り合いの家に遊びに行ったとき、彼女の居間に長く垂れ下がったのを見て、きれいだなと思い、「これ、なんという植物?」と聞いても、彼女は人からもらったから、と知らなかった。その時の強い印象は、葉っぱがハート型というより、若い葉が、今まで見た植物の中でも一番きれいなライムグリーンだと感じたこと。それが、先日、お隣さんが、読み終わったからと私に回してくれた植物雑誌に、フィロデンドロン ブラジルが紹介されているコラムを見つけ、あ、あそこで見たのは、これだった、と思ったのです。比較的日当た

カフカ的悪夢

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 昨日の早朝のラジオをベッドの中で聞いているとき、米の歌手、ブリトニー・スピアーズがついに、彼女の人生をがんじがらめにしていた父親を後見人から解除することが、ロサンゼルス裁判所に認められた・・・というニュースが流れました。その報道の中で、「(これは)スピアーズさんの自由と、父親により、彼女の人生に強要されていた カフカ的 悪夢を終わらせる、必要であり、重要な意味を持つ第一歩」(a necessary first and substantial step towards Ms Spears's freedom and ending the Kafkaesque nightmare imposed upon her by her father)  という、彼女の弁護士の言葉が引用されていました。  Kafkaesque(カフカの様な・カフカ風の)という言葉はわりとよく聞きます。カフカは、もちろん、ある朝、目が覚めると巨大な虫に変わってしまっていた主人公が登場する「変身」などの小説で有名な、フランツ・カフカの事で す。カフカエスクは、彼独特の世界が放つ、不条理な、常識では測りかねない、まるで意味を成さないような苦境を形容するときに登場する表現です。この場合のように、往々にして、「ナイトメア、悪夢」という言葉と一緒に使われる事が多いです。 ちなみに、「-esque」は、もともとはフランス語から来た接尾辞(suffix)で、名詞や人の名前のあとにくっつけて、xx風、xxスタイル、xxのような・・・といった意味の形容詞になります。綴るときには、基本的に間にハイフンは入れません。「-like」などと似た感じですね。Ladylikeで、淑女風。Christlikeで、キリストのような。ついでながら、ドイツ語由来の接尾辞-ishも、「・・・のような」の意味を持つので、ニュアンスは似てます。foolishは「ばかみたいな」。boyish「少年風」なんてのは、「彼女はボーイッシュな髪形が似合う」なんて感じで、半分日本語にもなってますね。 エスクがつく日本人にもおなじみの言葉には、アラベスク(Arabesque)があります。Arab + esqueで、アラブ風、アラブ式。 グロテスク(grotesque) なんてのも、お仲間。grot(to)は洞窟のことですが、洞窟のような、から