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8月, 2010の投稿を表示しています

明日なんか見えない・・・

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少し前の話となりますが、こんなニュースがありました。大学でメディア・スタディー(いわゆるマスコミ関係の勉強)なる学科を取っていた女の子。マスコミ関係に進むか先生になりたかったようですが、コースに満足しなかったのか、途中でやめ、以後、申し込んだ仕事を片っ端から断られ、断られた仕事の数は200件。先生のアシスタントやマスコミどころか、ウェイトレス、近くのスーパーの仕事すら探せず、ついに絶望して睡眠薬で自殺。遺書には、「もう、私でいるのが嫌になった」。 これから、この国は、若者多難の時代。高くなりつつある失業率も若者層は特に深刻。取り立てた技術がないとやっていけない時代かもしれません。高卒では職が探せないかもしれない、それなら大学へ行こうと、大学への申し込みが殺到しているというニュースも入りました。大学への申し込み者数は、史上最高の数に達し、イギリス国内では十分な数の大学コースが無いため、約20万人の若者が大学にも入れない・・・という話です。 当たり前ですが、大学もぴんからきりまであるわけで、いわゆエクス・ポリテクニック(昔技術学校だったものが大学と呼ばれるようになったもの)と称される大学は、昔からある大学と比べて、学力的には劣る生徒が行くと思われているという事実もあります。自殺した彼女が入ったのもエクス・ポリテクニックの大学。それを、さらに途中でやめてしまったのだから、履歴書は、たしかに芳しくは無い。こうした昔の技術学校が、名前を変えて、どっちつかずの中途半端なコースを増やして、学問の場のイメージを強調しようとしたところで、何になるのか。昔ながらの、しっかりした技術を生徒に教えて、卒業した際に、何らかの仕事に就けるようにしてあげることの方が良い気がしますが。 仮に、大学に入ったとしても、いわゆる文系卒業生と理数系卒業生では、最近では、後者の方が良い仕事を探せる可能性は高いと聞きます。(オックスブリッジあたりの文系なら話はまた別でしょうが。)なのに、前者を選択する若者がこの国では、とても多いらしいのです。これは、私も文系だったので、えらそうには語れませんが。 また、自殺した彼女が取っていたメディア・スタディーなる学科は、昨今人気のようです。メディアやジャーナリズムなど、楽しく好きな事をして金を稼ぎたいというのは、人情。特にセレブレティー・カルチャー(有名人カルチャー)など

夏の庭の虫事情

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私は虫が好きです。といっても、好きな虫の大方はいわゆる益虫ですが。 こちらは日本の様に虫をペットにするという習慣はないですが、庭は、訪れる蝶や蜂、益虫の数が多ければ多いほど良い庭だ、というのが信条です。 8月に入ってから、庭にやって来るホバーフライ(Hoverfly: ハナアブ)の数が非常に増え、マルハナバチたちに混じって、 コーンフラワー や、やっと満開となりつつあるセイヨウマツムシソウ(Scabiosa)の花の蜜を満喫しているようです。 バーのカウンターよろしく、ひとつの花に何匹もとまって、蜜飲みながら世間話といったところでしょうか。 ホバーフライは、幼虫のときと大人になってからの食事が変わる虫で、幼虫は肉食。アブラムシをがばがば食べてくれます。大人になると、こうしてベジタリアンと化して、花の蜜を楽しみ、受粉活動に一役買い。鳥などから身を守るため、外見はワスプ(wasp スズメバチのような昆虫)に似せてありますが、これは見かけ脅しで、針が無いので、刺される心配は無し。時折、派手な色の洋服などを着て庭に出ると、花かと思って、体の回りを飛び回ったりしますが、「キャー」と叫んで逃げる必要は一切無しです。 ホバーフライのホバー(浮留する)の名の通り、2枚の羽をふるふると動かし、ハミングバードよろしく空中の一定の場所にしばしとまったりもする、動きを見ていて楽しい虫でもあります。種類も多いらしく、体の模様、サングラスの色などに、多少違いがあるものも見かけます。 先日見た上の写真のホバーフライは、本当にワスプのようで体はほかのものより3倍ほどの大きさ。てかてかと飴色に光り輝き。顔はまるで仮面ライダー。ちょっと恐ろしい感じですが、この方にも、刺される心配はありません。 セイヨウマツムシソウには、蝶のコンマも訪れてきました。 前回の投稿 で、コンマ・マークのある外羽の写真を載せたので、今回は羽を開いたところ。 庭にくる蝶の大方はモンシロチョウですが、時折、違う種類のものを見かけ、見かけるとすぐ、カメラを取りに部屋へ駆け込みます。 こちらは、ゲートキーパー(gatekeeper 門番)と呼ばれる蝶。縄張り意識の強い蝶だそうで、田舎道の脇の茂みや、野原の草深い一角などを行ったり来たりパトロールしている様子が門番のようだと、この名がついたよ

8月の風景

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小川と畑にはさまれたフットパスを辿り散歩に出ました。 ロシアでは猛暑で、小麦の収穫が悪く、輸出規制がかかっているため、世界的小麦の値段が上昇の中、イギリスの小麦は順調に成長したようで、一面に実った穂が広がっていました。 上の写真の前景の背の高いとげ頭をかかげる植物はティーゼルteasel(ラシャカケグサ)。写真のものは、刺がまっすぐですが、釣り針の様なフック形のとげのものもあり、そちらは、以前、羊毛業で、毛織物の毛羽立てをするのに使用されていたということ。 少し行くと、畑は黄金から緑にかわり。こちらはシュガービートsugar beet(砂糖大根)。砂糖の原料として使われるほか、家畜の餌にも使用。 1951年に作られたという川を渡る橋の向こうにもゆったり続く田園。 橋の上からながめた川の様子。川辺の木々の並び方が、少々フランスのようにも見えます。 上の写真は、フォードford。川の浅瀬。橋をかけずに車道がそのまま通り、川を渡れる部分です。 コンマcommaと呼ばれるこの蝶。羽は枯葉に似せてあります。冬越しする際、落ち葉のように見せるための護身術。冬越しをして、7月に卵を産んだ親は、秋に死に。生まれたばかりの若い蝶は、いまからこうして冬越しのために腹ごしらえでしょうか。この冬を無事に乗り切って、来年の夏に子孫を残すために。名の由来は、写真でも見れるよう、羽の裏に、白い小さなコンマ(,)のようなマークがある事から。 フットパスを歩く間ずっと虫の声が脇の茂みから聞こえ。咲き終えた初夏の花達はそのままドライフラワーと化して風の中乾いた音を立て。 中学の時の、国語の教科書に、 夏、飲んだソーダのストローの中に秋があった の様な詩がのっていたのを何となく覚えています。はっきりとした言葉使いも覚えていないし、飲み物もソーダではなく、ラムネだったような気もし、誰が書いたものかも忘れました。ただ、夏だと思って、ふと口にした飲み物の冷たさに、秋を感じた、という感覚だけは、何故か記憶に強く残っています。 今ある季節にはいつも次の季節が含まれ、ちょっとしたはずみで、それが見え隠れする・・・そんな事を考えながら歩いた8月の風景でした。