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天の川の起源

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この絵は、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵、ルネサンス、ヴェネチア派の画家ティントレット(Tintoretto)による「天の川の起源」(The Origin of the Milky Way)。 天の川は、地球を含む太陽系銀河(英語:ギャラクシー、The Galaxy)の一部を、地上から見た時に川状に見えるものですが、天の川の英訳とされるミルキー・ウェイ、The Milky Wayは、往々にして、太陽系銀河と同じ意味でも使われている事もある感があります。我々の住む銀河以外の銀河を指す場合は、galaxyと、小文字になります。 前回は、 オリオン座の神話 を見てみたところで、今回、この絵に描かれている、天の川にまつわるギリシャ・ローマ神話について書いてみます。 「天の川の起源」は、半人半神の英雄ヘラクレスが赤ん坊の時の話です。ライオンをやっつけたり、9つの頭を持つ蛇と格闘したりと、12の苦行(Twelve Labours of Hercules)を成し遂げた事で知られる、ヘラクレスは、英語ではハーキュリーズ(Hercules)と呼ばれ、並大抵の努力では克服できないような大変な仕事や試練の事を、よく、このハーキュリーズから派生した形容詞の、ハーキュリアン(Herculean)を用いて表現することがあります。 It is a Herculean task. それは、一筋縄ではいかぬ仕事だ。 ヘラクレス(ハーキュリーズ)は、全能の神ジュピターが、人間の女性アルクメーネに産ませた子供。神々のごとく不死の命を与えたいと、ジュピターは幼いヘラクレスを抱き上げ、眠っている妻の女神ジュノの乳を飲ませる。ところが、ジュノは途中で目を覚まし、ヘラクレスを押しのけ、彼女の胸からお乳がしゅーっと上空に飛び散り、天の川となったというもの。ティントレットのこの絵は、なんでも、描かれた時はもっと大きなもので、現在ナショナル・ギャラリーにかかっている絵は、その元の絵の上部だけなのだそうです。下の部分には、豊穣と地球の女神オプスが、白い花の咲く川辺に横たわっている姿が描かれていたのだそうです。 ジュピターもジュノもローマ名ですが、ギリシャ名はゼウスとヘラとなります。 「天の川」の英語は、ミルキー・ウェイで、「ミルクの道」の意味ですが、銀河を意味する英語であるギャラク

オリオン座の下で

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司馬遼太郎の「国盗り物語」を読み終わりました。道山と信長が好んだという「敦盛」という舞の有名な一部、 人間五十年 化天のうちを比ぶれば 夢幻のごとくなり 一度生をうけ 滅せぬもののあるべきか (人間界での五十年などは、 化楽天 の世に比べれば、まるで夢か幻のような短さである この世に生まれ、死なぬものなどあるはずはない) が頭を反芻する中、夜中、南向きの我が家の庭に出ると、星がよく見える空でした。 日本でも、イギリスでも、星座として、ぱっと見つけることができるのは、いつもオリオン座(Orion、英語の発音はオライオン)。あの3つのベルトの星の並び方が独特で探しやすいのですよね。この季節、私のいる場所から見ると、オリオンは、南東から南西へと、時間と共に空を渡っていきます。 オリオン座の中で一番明るいとされる星、オリオンの左足の部分のリゲル(Rigel、英語の発音はライジェル)は、地球からの距離は約860光年。要するに、今(2020年)から計算すると、私が見ている光がリゲルから放たれたのは、西暦1160年、イギリスでは ヘンリー2世 の治世の初期。日本では、平安時代後期で、平清盛などが生きていた時代です。 オリオンの右肩にあたる、オリオン座で2番目の明るさで、いずれ爆発するとされている赤色超巨星、べテルギウス(Betelgeus)の方は、現在では、約642光年の場所にあると推定されていて、これが正しければ、こちらの光が発したのは、西暦1378年頃。イギリスでは、リチャード2世が10歳で、少年王として戴冠した翌年です。日本では、室町の南北朝時代、当然、道山も信長も、まだ生まれていない・・・。ベテルギウスは、往々にして、英語では、ビートルジュース(!)と発音されます。 オリオンの剣が下がっているあたりには、もわっとした星雲が存在するのが肉眼でもわかるのですが、これがオリオン大星雲(Orion Nebula、M42)。双眼鏡で見てみると、さらに綺麗です。この星雲の地球からの距離は約1300光年・・・。ベテルギウスが、そろそろ死に向かう星だとすると、こちらは新しい星が生まれている場所なのだそうです。余興ながら、ウルトラマンの故郷で、架空のM78星雲の銀河系からの距離は、なんと300万光年という設定なのだそうで、誰が決めたか知りませんが。

誰もいらない中古家具

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新年そうそう、ロフトや車庫にたまっていた物を整理しようと思い立ったのか、お隣さんが、「中古のいす6脚いらない?」と聞いてきました。椅子など、うちにも必要以上にあるので、お断りすると、「いや、椅子として使うというより、しっかりした木材だから、 薪ストーブ で燃やすのにいいんじゃないかと思って。」という返事。 無料であげますというリサイクルのウェッブサイトに載せても誰からも連絡がないし、家具を扱うチャリティーショップ(寄付された中古品を売り、あげた収益を慈善事業に回す店)でも、要らないと言われたので、あとは、大型ごみ捨て場に持っていくしかないそうなのです。ので、それくらいなら、「お宅は、薪ストーブがあるから、燃やすのにいいんじゃない。」となったわけ。 お隣さんは60代のカップルで、一緒になる前は、男性は奥さんを病気で亡くして未亡人、女性はご主人に浮気されて離婚。その後、ティーンエージャーの頃に一度付き合っていたという二人は、再び、6、7年前によりを戻して、一緒に住むことに決め、うちの隣に越してきたという面白いケース。彼らが、若かりし日に最初に出会ったのは、二人の出身の、私たちが住んでいる町の近くの、ひなびた町のディスコだったというのが笑ってしまいます。「当時は、あそこにも、ディスコがあったのかー」というような、のんびりした町なので。それぞれ、昔の伴侶との間に、独立した子供たちもいるし、何もいまさらと、一緒に住むだけで、結婚はしないつもりのようです。二人とも、前に住んでいた場所から多少持参してきた物があるので、それをそろそろ、見切りをつけられるものには見切りをつけて整理したいところなのでしょう。 最近、よほど価値のあるものでないと、中古家具など見向きもされません。それだけ、賃金の安い国で作られた新品の家具があふれているのでしょう。いや、わりとちゃんとしたメーカーの家具でも、我が家で、拾って来て使っている アーコール社のウィンザーチェア のように、中古だというだけで、道端に捨てていく人もいる。 近所の日本人女性が、春に、かなり遠方に引っ越すことになり、彼女も、持って行かないと決めた家具の処理に困っていました。やはり、チャリティーショップに連絡を取っても、まず、写真を撮って送ってくれと言われたそうで、それを見て、まだ、新品同様で、売れそうだったら取りに来る