ポッシュ

ポッシュ(posh)という言葉は、上品な、高級な、といった意味の形容詞です。

ヴィクトリア・ベッカムは、つんとすました、高級品志向的なイメージから、スパイスガール時代のあだ名は、ボッシュ・スパイス。お育ちの良い人たちは、posh accentで上流風の喋り方をし、裕福な人は、お食事は、高級なposh restaurantにて。最近は、医学的に必要が無い時でも、きばむのが嫌なので、お産は帝王切開を選ぶ女性が増えているのだそうですが、そんな事をさして、too posh to push(きばむには上品すぎる)だなどというフレーズまで生まれました。

さて、この言葉の語源ですが、
Port Out, Starboard Home (略してPOSH)
というフレーズからから来ていると伝えられています。

どういうことかと言うと、かつて、船でイギリスからインドへ旅する際に、裕福な上流階級の人間は、高い金を払って、行きも帰りも、北側の涼しいキャビンを予約した事を指します。port は船の進行方向左側で、starboardは船の右側を意味し、「行きは船の左、帰りは船の右側」という事になります。

私も、この話は、もともと、イギリス人から、「ポッシュはなんで、ポッシュと言うかしっちょるか?」と聞かれて、上の説明を受けたのですが、オックスフォード辞典や、他の色々な文献によると、どうやらこれは、単なる、まことしやかな都市伝説(urban myth)のようで、ポッシュの明確な語源は、幾つかの説があるものの、わからない・・・という結論。船旅説は、あまりにもぴったりだし、話の種にも面白いので、もっともらしい語源として広まってしまうのは非常に分かる気はしますが。

ポッシュな喋り方というと、他にも、「plummy」という言葉があり、上流風の声、または喋り方をする人を形容します。「ウォークアバウト(美しき冒険旅行)」という映画に出ていた、ジェニー・アガターは映画内でとても「plummy」で、映画の冒頭で、彼女の通う女学校の授業中に、皆で、「プププププ・・・・トゥトゥトゥトゥトゥトゥ・・・・ムムムムムム・・・・」などと発音を練習しているシーンが出ていました。

ポッシュの反対語は何か、と考えると、コモン(common)あたりとなるでしょうか。ありきたりの、通俗的な、そしてまた、下品な、というニュアンスのある言葉です。ウィリアム王子は、コモナー(commoner 一般人)である、ケイト・ミドルトンと結婚したわけですが、彼女は、高級私立のマールバラ・カレッジと、お品のいいセント・アンドリューズ大学を出ているわけですので、ご先祖様はともあれ、彼女自身は、平均的イギリス庶民よりは、ずっと、ポッシュなバックグランドであるわけです。

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