パタゴニアの風を感じる映画2作
「Historias Minimas」(ほんのささやかな物語)という映画があります。アルゼンチン南部のパタゴニア。草木も無い、だだっ広い風景の中、3人の登場人物がそれぞれの理由で、サン・フリアンという町へと向かう過程を描く、3つのささいな物語。第3者からしてみれば、何と言う事はない、ある日のスケッチですが、それぞれの登場人物には、記憶に残る出来事。調べた限りにおいては、日本で公開されていないようで、邦題はわかりません。
さて、この3人のうちの1人は、視力も悪くなり、息子夫婦に後を継がせた雑貨店の前にじっと座っている老人。3年前にどこかへ行ってしまった愛犬を、知り合いからサン・フリアンで見たと知らされ、反対する息子に隠れて、夜中に家を出、サン・フリアンにむかって広大な景色の中を歩いて行く。この愛犬の名は、なんと「変な顔」。
もう1人は、トラベリング・セールスマン。サン・フリアンに住む未亡人に恋して、彼女の子供の誕生日のために、ケーキ屋でケーキを特注し、それを持って行き、彼女を驚かそうという寸法。最初はサッカーポールの形をしていたこのケーキを、今ひとつ、気にいらず、次々と手が入り、姿がどんどん変わっていく過程が楽しいです。
最後の1人は、小さな赤ん坊を連れた若いママ。ちょっとした景品をもらえる、テレビのゲームショーに出演するため、サン・フリアンへと。
たてつづけに喋るセールスマンのロベルト役以外は、ほとんどが素人だそうで、その何とないぎこちなさが、妙に映画に現実感を与えてます。(ケーキ屋の役は本当のケーキ職人だとか。)
窓辺に座って、道行く人を眺めながら、この人はどこへ行くのだろうな、などと考えるのが好きなような人には、楽しい映画です。
南米、それに、パタゴニアなど、おそらく一生行くことが無いような場所と、そこでの生活風景を見れるのも、英米ヨーロッパ圏外の、ワールドシネマの醍醐味でしょうか。南緯40から50度あたりは、陸地が少なく、ほとんどが海洋なため、風が強いなどといわれますが、映画の背景で、確かに、かすかな風の音も聞こえてきます。音といえば、それくらいしかないような場所でもあるのでしょうが。郷愁誘うような音楽もいけます。
Uチューブで見るこの映画の広告ビデオは、こちら。
原題:Historias Minimas
監督:Carlos Sorin
製作:2002年
言語:スペイン語
「最近の都会は、世界中どこへ行っても同じだから、面白さに欠ける」、とするカルロス・ソリン監督。前作「Historias Minimas」に続いて、アルゼンチンのパタゴニアを舞台とした映画「ボンボン」。この地は、アルゼンチン内でも、ブエノスアイレスなどに比べ、人間もおおらかで暖かいのだとか。
これまた、前作同様、主にアマチュア俳優陣を使った、手作りホーム・ビデオ的な暖かさの人間(と犬)ドラマ。普通に生活している人たちを、やさしい視線で描いています。
長年、車のメカニックとして勤めたガソリンスタンドを首になってしまった、お人よしのおじさん、ココ。50代では、他に職も見つからず、しかたなく娘宅にお世話になりながら、お手製の握り口のついたナイフなんぞを売ろうとするけど、売れるわけも無く、落ち込み気味。
そんな彼が、たまたま、車がエンコして困っている女性を助けた事から、お礼に、彼女のフランス人のお父さんのものだったという、ドゴ・アルヘンティーノという種の血統書つきの犬をもらってくる。その犬の名がボンボン。
ドゴ・アルヘンティーノは、アルゼンチンのパンパで、牛や家の番犬として使われてきた犬だとの事。このどーんとかまえたボンボン、車の助手席に、座っている姿なども、なんだか人間のようで、存在感あり、面白いです。
ボンボンのおかげで、今まで知らなかった、ドッグ・ショーの世界に飛び込むココ。ドッグ・ブリーダーになろうか、などと、新しい人生に立ち向かう元気と生きがいを見つけていく、ほのぼの映画です。
こちらは日本でも公開され、日本でDVDも出ている模様です。私は、この2つの映画のうち、どちらか選べと言われたら、「Historias Minimas」の方が好きなので、こちらも、日本でDVD入手できるようになると良いと思うのですが。
Uチューブで見る「ボンボン」の広告ビデオはこちら。
原題:El perro (Bombón:el perro)
監督:Carlos Sorin
言語:スペイン語
2004年
さて、この3人のうちの1人は、視力も悪くなり、息子夫婦に後を継がせた雑貨店の前にじっと座っている老人。3年前にどこかへ行ってしまった愛犬を、知り合いからサン・フリアンで見たと知らされ、反対する息子に隠れて、夜中に家を出、サン・フリアンにむかって広大な景色の中を歩いて行く。この愛犬の名は、なんと「変な顔」。
もう1人は、トラベリング・セールスマン。サン・フリアンに住む未亡人に恋して、彼女の子供の誕生日のために、ケーキ屋でケーキを特注し、それを持って行き、彼女を驚かそうという寸法。最初はサッカーポールの形をしていたこのケーキを、今ひとつ、気にいらず、次々と手が入り、姿がどんどん変わっていく過程が楽しいです。
最後の1人は、小さな赤ん坊を連れた若いママ。ちょっとした景品をもらえる、テレビのゲームショーに出演するため、サン・フリアンへと。
たてつづけに喋るセールスマンのロベルト役以外は、ほとんどが素人だそうで、その何とないぎこちなさが、妙に映画に現実感を与えてます。(ケーキ屋の役は本当のケーキ職人だとか。)
窓辺に座って、道行く人を眺めながら、この人はどこへ行くのだろうな、などと考えるのが好きなような人には、楽しい映画です。
南米、それに、パタゴニアなど、おそらく一生行くことが無いような場所と、そこでの生活風景を見れるのも、英米ヨーロッパ圏外の、ワールドシネマの醍醐味でしょうか。南緯40から50度あたりは、陸地が少なく、ほとんどが海洋なため、風が強いなどといわれますが、映画の背景で、確かに、かすかな風の音も聞こえてきます。音といえば、それくらいしかないような場所でもあるのでしょうが。郷愁誘うような音楽もいけます。
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原題:Historias Minimas
監督:Carlos Sorin
製作:2002年
言語:スペイン語
「最近の都会は、世界中どこへ行っても同じだから、面白さに欠ける」、とするカルロス・ソリン監督。前作「Historias Minimas」に続いて、アルゼンチンのパタゴニアを舞台とした映画「ボンボン」。この地は、アルゼンチン内でも、ブエノスアイレスなどに比べ、人間もおおらかで暖かいのだとか。
これまた、前作同様、主にアマチュア俳優陣を使った、手作りホーム・ビデオ的な暖かさの人間(と犬)ドラマ。普通に生活している人たちを、やさしい視線で描いています。
長年、車のメカニックとして勤めたガソリンスタンドを首になってしまった、お人よしのおじさん、ココ。50代では、他に職も見つからず、しかたなく娘宅にお世話になりながら、お手製の握り口のついたナイフなんぞを売ろうとするけど、売れるわけも無く、落ち込み気味。
そんな彼が、たまたま、車がエンコして困っている女性を助けた事から、お礼に、彼女のフランス人のお父さんのものだったという、ドゴ・アルヘンティーノという種の血統書つきの犬をもらってくる。その犬の名がボンボン。
ドゴ・アルヘンティーノは、アルゼンチンのパンパで、牛や家の番犬として使われてきた犬だとの事。このどーんとかまえたボンボン、車の助手席に、座っている姿なども、なんだか人間のようで、存在感あり、面白いです。
ボンボンのおかげで、今まで知らなかった、ドッグ・ショーの世界に飛び込むココ。ドッグ・ブリーダーになろうか、などと、新しい人生に立ち向かう元気と生きがいを見つけていく、ほのぼの映画です。
こちらは日本でも公開され、日本でDVDも出ている模様です。私は、この2つの映画のうち、どちらか選べと言われたら、「Historias Minimas」の方が好きなので、こちらも、日本でDVD入手できるようになると良いと思うのですが。
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原題:El perro (Bombón:el perro)
監督:Carlos Sorin
言語:スペイン語
2004年
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