イギリスについに夏が来た

体中にカビでも生えてきそうな雨続きの夏でしたので、今週、いきなり好天気が連続し、30度にも近づこうという気温ともなると、ここぞとばかりに人々は外へ飛び出すのです。太陽が出ると、わーっと外に出るのは、虫も人間も同じ。「オリンピックを前に、ついに夏が来た」とメディアも騒ぎたてるのです。

各地の海岸線は日光浴の人で埋まり、ロンドンの巷でも、特にお昼時は、観光客もさることながら、オフィスワーカーがお昼ごはんとドリンクを抱えて、戸外でランチタイム。五輪が飾られたタワーブリッジ付近のテムズ川の脇も、いつもにもました人ごみ。

ロンドン塔を背景に、吹き上がる噴水の中、きゃっきゃと歓声をあげて、子供達が、はしゃいでいる姿に、私も、ああ、本当に夏が来た、と実感した次第。

この、目玉親父をやや形を変えて、色をぬった様なのが、今回のオリンピックのマスコット、ウェンロック(Wenlock)なのですが、可愛くないマスコット・コンテストをやったらいい線行きそう。ウェンロックのぬいぐるみやおもちゃなども売ってるんですが、買う人いるんでしょうか。何でも、ウェンロックの頭に3つぼこぼこがあるのは、其々の競技で金銀銅と3つのメダルが与えられるからで、更に、真ん中の突起は、ロンドン・タクシーの屋根に乗っているライトからの発想だそうです。腕にはめているのは、五輪の色のフレンドシップバンド、目玉は、オリンピック中の行事を全て記録しよう、と、カメラレンズがインスピレーション・・・むむむ、ちょっと、ひねりすぎでは。

ウェンロックも、またパラオリンピックのマスコットであるマンデヴィル(Mandeville)も、私には、何を言われても、どう説明されても、目玉親父か、ウルトラセブンあたりに出てくる、弱そうな宇宙人のイメージ。

それでも、子供達は、盛んに、変形目玉親父と一緒に写真をとってましたので、魅力が無いわけではないのか。

さて、ロンドンも気温30度にもなると、エアコンのない地下鉄は息苦しく、狭く混んだ車内で、近くに少々体臭のきつい人などがいた日には、ちょと惨めな体験となります。電車が信号などの関係で、トンネル内で止まったりすると、「この暑苦しい中、しばらく動かなかったらどうしよう」という、いやーな設定が頭に浮かんだりもし。こういう天気の時は、急ぎでなければ、地下でなく、地上を走る路線や区間以外は、地下鉄はあまり使わずに、たとえ暑くとも、足でロンドン内をひーこら移動するほうがましです。川沿いだったら、ボートとかもいいし。

気温が上がると、地下鉄のみにとどまらず、普通列車の線路なども熱でぐにょっと伸びるため、のろのろ運転を始める線も出てきます。そして、ダイヤに大幅の乱れが出ることもままあり。夏は暑さのため、秋は線路に落ちた枯葉のため、冬は線路にはった氷のため、と、この国で、電車の遅れ、キャンセルになる原因は、たーくさんあります。オリンピック開催中、公共交通機関が、なんとか持ちこたえてくれ、世界に恥をさらす事にならねばいいが、と危惧する関係者もいることでしょう。

恥と言えば・・・昨日、オリンピック開会式を前に、女子サッカーの試合がすでに始まりましたが、北朝鮮対コロンビア戦で、オリンピック主催者側の恥の第1発目が発射。試合前の選手の紹介の際に、スタジアムの大型スクリーンに北朝鮮の選手の顔写真が映り、その脇に掲示されたのは、なんと南朝鮮(韓国)の旗。かなり、お粗末な間違いでしょ、これ。侮辱と感じた北朝鮮チームが怒り抗議となり、試合開始が1時間遅れるハプニングとあいなりました。今朝のラジオで、こういった間違いや、授賞式に、違う国の国歌を流してしまうという事も、わりとある話なのだとか言ってましたが、政治的に比較的神経質になりやすい国に対しては、必要以上の注意を払うべきだったと思いますけどね。他では、日本もイギリスも、女子サッカー1試合目、まずは、無事勝利を収め、めでたし、めでたし。

今のところ、天気予報では、今週末あたりから、また少々気温は下がるようです。開会式の明日には、にわか雨の心配なども、なきにしもあらずのようですが。

かれこれ15年くらい、日本の夏を経験していない私は、27度くらいで、暑いと感じ、30度ともなると、もう、くらくらとめまいに襲われることもあり。金鳥の夏、日本の夏、が懐かしく、蝉の声も聞きたい(イギリスに蝉はいません)と思うこともあれど、湿気と30度を大幅に越す気温怖さに、帰国はいつも夏を避けてきたのです。

日本の夏でなつかしいものは、上に書いた、蚊取り線香と蝉の他、氷の入ったカルピス、すだれ、風鈴、浴衣、夏祭り、花火、すいか、カキ氷、朝顔、小学校の夏休みに近くの公園でやっていたラジオ体操(これは、行くと毎回、カードにスタンプを押してもらえたのです)、海岸の日本風の海の家で水遊びの合間に食べるそばやイカ焼き・・・考え出すと色々あるものです。ノスタルジアに駆られながらも、またしばらくは、日本の夏は思い出だけで味わい、イギリスの夏を楽しむ事とします。

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