イングリッシュとブリティッシュ
イギリスの正式国名は、United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国)。Great Britain(グレート・ブリテン) の定義は、私の辞書によると、England, Scotland and Wales(イングランド、スコットランド及びウェールズ)とあります。要は、イギリスとは、イングランド、スコットランド、ウェールズそして北アイルランドという4つの地域を含んだ王国。
前回の記事で、イングリッシュ(English)という言葉を形容詞、または人を指して使用する場合、正確には、「イギリスの・イギリス人の」というより「イングランドの・イングランド人の」の意がある・・・と書きました。
私が、イギリスに来て、まだももない頃、とあるパーティーで、隣に立っていた男性と話を初めました。会話の成り行きで、私が、「あなたたちイングリッシュ・ピープルは・・・」という言い回しを使ったところ、彼は、私をまじまじ見て、「僕はイングリッシュじゃないよ。」そして、胸をはって、「僕はウェルッシュ(Welsh ウェールズ人)だ。」とのたまったのです。この時の、会話の内容はほとんど覚えていないものの、このやり取りは今でもはっきり記憶しています。
外人は、時に、「イングランド」という言葉で、イギリス全土を指したり、「イングリッシュ」という言葉を、イギリス全般を形容する言葉として使ってしまったりする傾向がありますが、スコットランド人やウェールズ人は、自分達は、イングリッシュではなく、スコティッシュ、または、ウェルッシュと、其々のアイデンティティーを持っているわけで、イギリス・英国=イングランドではないのです。よって、彼らは、イングリッシュと呼ばれると、「それは違うぞ」となるのです。
総括的に「イギリスの、イギリス人の」と言うには、ブリティッシュ(British)を使うのが妥当でしょう。ブリティッシュと言えば、上記4地域の人間も、また白人以外のイギリス国籍を持った移民も一括して呼ぶことができますので。また、国としてのイギリスを指すときには、ブリテン(Britain)が、そして、時にUKが、この国では最も一般的に使われている感じがします。ちなみに私のブログ名「Mini Post from England」(イングランドからのミニ便り)は、当方がイングランドに住んでいるからです。イギリスからのミニ便りとして、Mini Post from Britain でも、from UKでもいいんですけどね。
ただ、政治的に問題の北アイルランド内で、アイルランド共和国と合併し、イギリスからの独立を望むカソリックの住民などは、ブリティッシュと呼ばれるのも嫌で、「自分はアイリッシュだ」と名乗る人も多いことでしょう。
同じ英語を使うアメリカでも、実際ならブリテンやブリティッシュと言うべき文脈の際にも、イングランドやイングリッシュで代用させている人は多い感じです。いつだか、オバマ大統領ですら、イギリス全体を指す話の中で、「ブリティッシュ」を使わずに、「The Englishは・・・(イギリス国民は・・・)」と喋っていたのを覚えています。
さて、本日は、ウィンブルドン・テニス・トーナメント最終日。男子シングルスの決勝がありました。イギリスのアンディ・マリー対ロジャー・フェデラー。
アンディ・マリーはスコットランド出身ですから、彼のことは、当然、イングリッシュとは形容できません。ですから、ニュース記事などでは、マリーは、
the first British man to reach a wimbledon final since Henry Bunny Austin in 1938
1938年のヘンリー・バニー・オースチン以来、初めて、ウィンブルドンの男子シングルス決勝に進出したイギリス人(ブリティッシュ・マン)
と相成るわけです。
マリー応援のため、ダウニングストリート10番には、英国のユニオン・ジャックと共に、スコットランドの旗も掲げられ。2012年は、ロンドン・オリンピックもあり、女王のジュビリーの年でもあり、これは今年は、ウィンブルドンもマリーの優勝の年になる運命だ、などと、前日から、各新聞メディアも大騒ぎ。イギリス国民の期待を背負ってのプレッシャーにも負けず、なかなか良いプレーをしたものの・・・
フェデラーがやはり、上でした。返り咲きで、ウィンブルドン優勝7回目と、ワールドナンバー1を同時に獲得。マリーは気の毒に、試合後のスピーチは、ひっくひっくと、涙ぐみながらのものとなりました。
ということで、マリーが,1936年のフレッド・ペリー以来、ウィンブルドン男子シングルスを優勝する初めてのブリティッシュ・マンとなるのは、また来年以降へ繰越となったのであります。
(写真は全て、BBCウェッブサイトより。)
前回の記事で、イングリッシュ(English)という言葉を形容詞、または人を指して使用する場合、正確には、「イギリスの・イギリス人の」というより「イングランドの・イングランド人の」の意がある・・・と書きました。
私が、イギリスに来て、まだももない頃、とあるパーティーで、隣に立っていた男性と話を初めました。会話の成り行きで、私が、「あなたたちイングリッシュ・ピープルは・・・」という言い回しを使ったところ、彼は、私をまじまじ見て、「僕はイングリッシュじゃないよ。」そして、胸をはって、「僕はウェルッシュ(Welsh ウェールズ人)だ。」とのたまったのです。この時の、会話の内容はほとんど覚えていないものの、このやり取りは今でもはっきり記憶しています。
外人は、時に、「イングランド」という言葉で、イギリス全土を指したり、「イングリッシュ」という言葉を、イギリス全般を形容する言葉として使ってしまったりする傾向がありますが、スコットランド人やウェールズ人は、自分達は、イングリッシュではなく、スコティッシュ、または、ウェルッシュと、其々のアイデンティティーを持っているわけで、イギリス・英国=イングランドではないのです。よって、彼らは、イングリッシュと呼ばれると、「それは違うぞ」となるのです。
総括的に「イギリスの、イギリス人の」と言うには、ブリティッシュ(British)を使うのが妥当でしょう。ブリティッシュと言えば、上記4地域の人間も、また白人以外のイギリス国籍を持った移民も一括して呼ぶことができますので。また、国としてのイギリスを指すときには、ブリテン(Britain)が、そして、時にUKが、この国では最も一般的に使われている感じがします。ちなみに私のブログ名「Mini Post from England」(イングランドからのミニ便り)は、当方がイングランドに住んでいるからです。イギリスからのミニ便りとして、Mini Post from Britain でも、from UKでもいいんですけどね。
ただ、政治的に問題の北アイルランド内で、アイルランド共和国と合併し、イギリスからの独立を望むカソリックの住民などは、ブリティッシュと呼ばれるのも嫌で、「自分はアイリッシュだ」と名乗る人も多いことでしょう。
同じ英語を使うアメリカでも、実際ならブリテンやブリティッシュと言うべき文脈の際にも、イングランドやイングリッシュで代用させている人は多い感じです。いつだか、オバマ大統領ですら、イギリス全体を指す話の中で、「ブリティッシュ」を使わずに、「The Englishは・・・(イギリス国民は・・・)」と喋っていたのを覚えています。
さて、本日は、ウィンブルドン・テニス・トーナメント最終日。男子シングルスの決勝がありました。イギリスのアンディ・マリー対ロジャー・フェデラー。
アンディ・マリーはスコットランド出身ですから、彼のことは、当然、イングリッシュとは形容できません。ですから、ニュース記事などでは、マリーは、
the first British man to reach a wimbledon final since Henry Bunny Austin in 1938
1938年のヘンリー・バニー・オースチン以来、初めて、ウィンブルドンの男子シングルス決勝に進出したイギリス人(ブリティッシュ・マン)
と相成るわけです。
マリー応援のため、ダウニングストリート10番には、英国のユニオン・ジャックと共に、スコットランドの旗も掲げられ。2012年は、ロンドン・オリンピックもあり、女王のジュビリーの年でもあり、これは今年は、ウィンブルドンもマリーの優勝の年になる運命だ、などと、前日から、各新聞メディアも大騒ぎ。イギリス国民の期待を背負ってのプレッシャーにも負けず、なかなか良いプレーをしたものの・・・
フェデラーがやはり、上でした。返り咲きで、ウィンブルドン優勝7回目と、ワールドナンバー1を同時に獲得。マリーは気の毒に、試合後のスピーチは、ひっくひっくと、涙ぐみながらのものとなりました。
ということで、マリーが,1936年のフレッド・ペリー以来、ウィンブルドン男子シングルスを優勝する初めてのブリティッシュ・マンとなるのは、また来年以降へ繰越となったのであります。
(写真は全て、BBCウェッブサイトより。)
コメント
コメントを投稿