サーロインはお貴族さま
先日、テレビの旅行番組を見ていて、ランカシャー州の貴族の館、ホートン・タワー(Hoghton Tower)が登場しました。
上の牛の図の、黄色で囲んだ部分は、いわゆるサーロイン(Sirloin)と呼ばれる部分の牛肉ですが、何でも、このホートン・タワーで、ビーフのロイン肉(Loin)が、ナイト(Sir、サー)の称号を受けて、サー・ロイン(Sir Loin)となり、ここから、サーロイン(Sirloin)呼ばれるようになったのだ、とやっており、今更、「へえ」なんて、感心しました。サーロイン・ステーキとか、サーロインなど、ただの名だと流していて、そんな由来があるなどと知らなかったので。一緒に見ていただんなに、「知ってた、これ?」と聞くと、「ロインが王様にナイトの称号を受けて、サー・ロインになったという話は聞いたことがあるけど、どの王様かは知らなかった。」ちなみに、「loin」という英語は、人間の体で言うと、下半身の太ももに近いあたりを指しますが、牛の場合は、肋骨の下辺りの、もちょっと中央胴体部ですね。日本語では、「loin」は、腰肉などと訳されていますが。
さて、この伝説によると、1617年に、3日間、この館に宿泊したジェームズ一世、至れり尽くせりの接待を受け、ご馳走も沢山。おいしそうな巨大なロイン肉(loin)のローストが運び込まれてきた時、ジェームズ一世は、召使に、ロインののった皿を自分の足元に持ってくるように告げ、短剣を取り上げると、それで、ちょんちょんと、ロインの両端をたたき、その後、王は、
「Arise, Sir Loin!」(立ちたまえ、サー・ロイン!)
とのたまい、周りからやんやの喝采があがったのだと。
王様、女王様が、サーの称号を与える際、称号の受け手は、王の前にひざまずき、王がその人物の両肩を、剣でちょんちょんと叩いて、「Arise, Sir xxx !」(立ちたまえ、サー・xxx!)とやるのがしきたりですから。
うちのだんなが、どの王様だったか覚えていない、というように、ロインをナイトにしたのは、ジェームズ1世ではなく、他の王様であったという説もあるようです。ちなみに、王様、女王様を接待するのは、非常にお金がかかる事で、わざと、王様が泊まりにこれないように、自分の館の屋根を焼いてしまう貴族までいたのだとか。ホートン・タワーで、ジェームズ1世の接待をしたリチャード・デ・ホートンは、この際の大盤振る舞いの結果、借金をし、一時的に債務者監獄のフリート監獄で過ごす羽目になったという話も残っています。また、逆に小貴族で、王様女王様に気に入られたく、何とか、うちの館に泊まってくれないかと、大金をかけて館を改善、王様専用の部屋とベッドまでしつらえたものの、一度も訪れてもらえず、ますます貧乏になって終わったり、破産したりした人もいたようです。
このサーロイン伝説、愉快ですが、実際は、ホートン・タワーとは、全く関係なく、サーロインは、昔のフランス語「surloigne」のから来た言葉で、「ロインの上方」の意味だとも言われています。ノルマン人の征服以来、食卓にあがる高級な食べ物は、支配者階級の使ったフランス語で呼ばれる事が多かったので、面白さにはかけますが、こちらの方が、信憑性がありそうです。
お貴族様のサーロインは、ビーフの中でも一番美味しいとされて、値段も高いですが、安い部分の肉でも美味しいものはある、と時々料理番組などでもやっています。上の図の赤い色の部分は、いわゆる、安めの部分の牛肉。平民は、サー・ロインに舌鼓を打つのは時折として、普段は、それなりに工夫した調理法で、安い平民肉を食べて、節約しましょうか。
*上の図は、BBCグッドフードのサイトより。
上の牛の図の、黄色で囲んだ部分は、いわゆるサーロイン(Sirloin)と呼ばれる部分の牛肉ですが、何でも、このホートン・タワーで、ビーフのロイン肉(Loin)が、ナイト(Sir、サー)の称号を受けて、サー・ロイン(Sir Loin)となり、ここから、サーロイン(Sirloin)呼ばれるようになったのだ、とやっており、今更、「へえ」なんて、感心しました。サーロイン・ステーキとか、サーロインなど、ただの名だと流していて、そんな由来があるなどと知らなかったので。一緒に見ていただんなに、「知ってた、これ?」と聞くと、「ロインが王様にナイトの称号を受けて、サー・ロインになったという話は聞いたことがあるけど、どの王様かは知らなかった。」ちなみに、「loin」という英語は、人間の体で言うと、下半身の太ももに近いあたりを指しますが、牛の場合は、肋骨の下辺りの、もちょっと中央胴体部ですね。日本語では、「loin」は、腰肉などと訳されていますが。
さて、この伝説によると、1617年に、3日間、この館に宿泊したジェームズ一世、至れり尽くせりの接待を受け、ご馳走も沢山。おいしそうな巨大なロイン肉(loin)のローストが運び込まれてきた時、ジェームズ一世は、召使に、ロインののった皿を自分の足元に持ってくるように告げ、短剣を取り上げると、それで、ちょんちょんと、ロインの両端をたたき、その後、王は、
「Arise, Sir Loin!」(立ちたまえ、サー・ロイン!)
とのたまい、周りからやんやの喝采があがったのだと。
王様、女王様が、サーの称号を与える際、称号の受け手は、王の前にひざまずき、王がその人物の両肩を、剣でちょんちょんと叩いて、「Arise, Sir xxx !」(立ちたまえ、サー・xxx!)とやるのがしきたりですから。
うちのだんなが、どの王様だったか覚えていない、というように、ロインをナイトにしたのは、ジェームズ1世ではなく、他の王様であったという説もあるようです。ちなみに、王様、女王様を接待するのは、非常にお金がかかる事で、わざと、王様が泊まりにこれないように、自分の館の屋根を焼いてしまう貴族までいたのだとか。ホートン・タワーで、ジェームズ1世の接待をしたリチャード・デ・ホートンは、この際の大盤振る舞いの結果、借金をし、一時的に債務者監獄のフリート監獄で過ごす羽目になったという話も残っています。また、逆に小貴族で、王様女王様に気に入られたく、何とか、うちの館に泊まってくれないかと、大金をかけて館を改善、王様専用の部屋とベッドまでしつらえたものの、一度も訪れてもらえず、ますます貧乏になって終わったり、破産したりした人もいたようです。
このサーロイン伝説、愉快ですが、実際は、ホートン・タワーとは、全く関係なく、サーロインは、昔のフランス語「surloigne」のから来た言葉で、「ロインの上方」の意味だとも言われています。ノルマン人の征服以来、食卓にあがる高級な食べ物は、支配者階級の使ったフランス語で呼ばれる事が多かったので、面白さにはかけますが、こちらの方が、信憑性がありそうです。
お貴族様のサーロインは、ビーフの中でも一番美味しいとされて、値段も高いですが、安い部分の肉でも美味しいものはある、と時々料理番組などでもやっています。上の図の赤い色の部分は、いわゆる、安めの部分の牛肉。平民は、サー・ロインに舌鼓を打つのは時折として、普段は、それなりに工夫した調理法で、安い平民肉を食べて、節約しましょうか。
*上の図は、BBCグッドフードのサイトより。
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