アモーレス・ペロス
愛の痛み、喪失の痛みを、メキシコシティーを舞台とした3つのストーリーを追って描いていく映画。最初はギャングスター映画まがいのカーチェイスで始まり、やがて起こる交通事故で3つのストーリーが遭遇しますが。
*一筋目:オクタビオとスザナ
乱暴者の兄の若い妻スザナに恋してしまった弟オクタビオ(ガエル・ガルシア・ベルネル)。オクタビオは金をためて、スザナと彼女の子供を連れてどこかへ夜逃げしようと計画をたて、愛犬を使い闘犬で金儲けを始める。恋と欲望に無我夢中で、ついには、冒頭のカーチェイスの末、交通事故に巻き込まれる。
*二筋目は:ダニエルとバレリア
オクタビオのひき起した交通事故に巻き込まれ、重症を負ったモデルのバレリア。ファッション雑誌出版者の愛人ダニエルが、やっと妻と別れ、二人は一緒に暮らし始めた矢先。もうモデルとしての復帰の見込みもなくなり、落ち込むバレリアと、仕事と彼女の看護に疲れるダニエルの関係は緊張し、罵り合いに展開する。バレリアの心の安らぎだった愛犬も、床にあいていた穴に落ちてしまい、這い上がってこられず、床下に何日も閉じこもったまま。
*三筋目:エル・チボとマル
平凡な教師であったが、ある日、より良い社会を作ろうという情熱に駆られ、ゲリラ活動を始めるため、妻と2歳の娘を置いて出て行った男、エル・チボ。20年間の刑務所送りになり、出てきてからは、リヤカーを押してのゴミ拾いと、殺し屋として生計をたてる。再婚した妻には背を向けられ、それでも娘、マルが愛しく忘れられない。浮浪者のような生活の中、何匹もの飼い犬に愛情をそそぐ。たまたま、交通事故に居合わせ、傷を負っていたのオクタビオの愛犬を助け出し、手当てをするのだが、闘犬で鍛えたこの犬、良くなるや、エル・チボの他の犬を全部かみ殺してしまい・・・。死んでしまった犬達の前で子供の様に泣きじゃくるエル・チボ。オクタビオの犬を撃ち殺そうと拳銃を向けるものの、殺せずに、犬の頭を殴って、「こんな事してはだめだろう!」と叫ぶのみ。
3人の主要人物は全て犬を飼っていて、その犬の状況が、主人公たちの心と生活の状況を反映しています。
最後の、エル・チボの話が一番好きです。彼の傷ついた聖人のようないでたちと顔つきも良いのです。エル・チボは、やがて、もじゃもじゃ髭をそり、髪を短く切り、住んでいたボロ屋を去って、オクタビオの犬と共に、「いつか娘に会えたときに恥ずかしくない」ような新しい人生に踏み出す。がらんとした風景の中に、彼らが消えていくエンディングは、じーんときます。それまでの人生に失敗し、大切だったものを失って、どん底を見てからの再出発。彼に救いが来る日が、近くあって欲しいものです。
原題:Amores perros
監督:Alejandro González Iñárritu
言語:スペイン語
2000年
*****
同アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督による、2003年の「21グラム」も良かったですが、2006年の「バベル」は私にはちょっと・・・。「バベル」は、人間間のコミュニケーションの難しさをテーマとする、やはり、個別の3つの話が、お互いに少しずつ関係している、というものでしたが、それぞれのストーリーの関係が、無理やりこじつけた感じで、居心地が悪く、インパクトも「アモーレス・ペロス」に比べ、かなり落ちた気がしました。構成にこだわりすぎた結果でしょうか。
*一筋目:オクタビオとスザナ
乱暴者の兄の若い妻スザナに恋してしまった弟オクタビオ(ガエル・ガルシア・ベルネル)。オクタビオは金をためて、スザナと彼女の子供を連れてどこかへ夜逃げしようと計画をたて、愛犬を使い闘犬で金儲けを始める。恋と欲望に無我夢中で、ついには、冒頭のカーチェイスの末、交通事故に巻き込まれる。
*二筋目は:ダニエルとバレリア
オクタビオのひき起した交通事故に巻き込まれ、重症を負ったモデルのバレリア。ファッション雑誌出版者の愛人ダニエルが、やっと妻と別れ、二人は一緒に暮らし始めた矢先。もうモデルとしての復帰の見込みもなくなり、落ち込むバレリアと、仕事と彼女の看護に疲れるダニエルの関係は緊張し、罵り合いに展開する。バレリアの心の安らぎだった愛犬も、床にあいていた穴に落ちてしまい、這い上がってこられず、床下に何日も閉じこもったまま。
*三筋目:エル・チボとマル
平凡な教師であったが、ある日、より良い社会を作ろうという情熱に駆られ、ゲリラ活動を始めるため、妻と2歳の娘を置いて出て行った男、エル・チボ。20年間の刑務所送りになり、出てきてからは、リヤカーを押してのゴミ拾いと、殺し屋として生計をたてる。再婚した妻には背を向けられ、それでも娘、マルが愛しく忘れられない。浮浪者のような生活の中、何匹もの飼い犬に愛情をそそぐ。たまたま、交通事故に居合わせ、傷を負っていたのオクタビオの愛犬を助け出し、手当てをするのだが、闘犬で鍛えたこの犬、良くなるや、エル・チボの他の犬を全部かみ殺してしまい・・・。死んでしまった犬達の前で子供の様に泣きじゃくるエル・チボ。オクタビオの犬を撃ち殺そうと拳銃を向けるものの、殺せずに、犬の頭を殴って、「こんな事してはだめだろう!」と叫ぶのみ。
3人の主要人物は全て犬を飼っていて、その犬の状況が、主人公たちの心と生活の状況を反映しています。
最後の、エル・チボの話が一番好きです。彼の傷ついた聖人のようないでたちと顔つきも良いのです。エル・チボは、やがて、もじゃもじゃ髭をそり、髪を短く切り、住んでいたボロ屋を去って、オクタビオの犬と共に、「いつか娘に会えたときに恥ずかしくない」ような新しい人生に踏み出す。がらんとした風景の中に、彼らが消えていくエンディングは、じーんときます。それまでの人生に失敗し、大切だったものを失って、どん底を見てからの再出発。彼に救いが来る日が、近くあって欲しいものです。
原題:Amores perros
監督:Alejandro González Iñárritu
言語:スペイン語
2000年
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同アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督による、2003年の「21グラム」も良かったですが、2006年の「バベル」は私にはちょっと・・・。「バベル」は、人間間のコミュニケーションの難しさをテーマとする、やはり、個別の3つの話が、お互いに少しずつ関係している、というものでしたが、それぞれのストーリーの関係が、無理やりこじつけた感じで、居心地が悪く、インパクトも「アモーレス・ペロス」に比べ、かなり落ちた気がしました。構成にこだわりすぎた結果でしょうか。
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