海を眺める老夫婦

前回の投稿のボディアム城を訪れた日の夕方、イーストサセックスの海岸線で一番の砂のビーチと言われるカンバーサンズ(Camber Sands)へ足を伸ばしました。約11.3キロ続く砂の海岸線は、夏休みが始まると、それは大繁盛になってしまうでしょうから。

しばらく、小石がごろごろの海岸ばかりに行っており、砂浜というのは実に久しぶりで、だんなと2人で、靴を脱いで、手からぶらさげ、海水を蹴りながら歩きました。水はまだ、全身つかるには、ちょっと冷たいです。ほんのわずか、泳いでいる人はいましたが。

内陸は、ちょっとした砂丘のようになっていて、海を一面に見渡せるよう、登ってみました。砂丘登りは、短距離でも、体力が要って、「よっこらしょ」ですが、さらさらの砂がとても暖かく、気持ちいい。

砂丘をよちよち行進している時、最近アンドレ・アガシの自伝を読んだだんなは、「アガシは体力作りにこういうところを走ったようだ。」などと言っていました。私は歩くだけで十分です。

遊んでいるうちに、引き潮になってきました。足を海水に浸して立っていると、足の下からどんどん、砂が消えて海へ引き込まれていく。不思議な感覚です。今まで海水下だった部分も顔を出し。その、引いて行く潮の速さは、かなりのものです。

さらさら砂のビーチを北へずっと歩くと、石ころがごろごろと多くなり、人もまばらになってきます。そんなビーチの静かな一角に、デッキチェアを並べて海を眺めて座っている老夫婦2人が目に入り、何気なく、彼らの後ろに回って、パチリと写真をとりました。自分達も、老年、こうして、まだ仲良く時間を共にしていられるといいな、とその時思ったのです。

この小旅行の直後、七夕様の日に、うちのだんなの白血病の再発が、血液検査でわかりました。再び入院です。再発後の闘病生活は、1回目よりも長くなりそうなので、2人で呑気に、こうして小旅行できるのは、再びあっても、随分先の話となりそうです。とりあえずは、近場でも、思い出になる旅行を少しでもできて良かったな・・・といった心境です。

白血病が再発してしまった今、また、この写真を眺めると、こういう老後を送るには、そこに辿り着くまで「ずっと仲良くいられる幸運」と、「ずっと健康でいられる幸運」のダブル・ラックが必要なのだと、しみじみ感じます。「有り難い」・・・という言葉は、有る事があまり無い、だから貴重である、という意味からきているのでしょうが、写真のような将来が待っていれば、それは、本当に有り難いことです。

コメント

  1. こんにちは
    涼しそうな海岸 砂浜 夏の海はおだやかですね。
    二人そろって海をのんびり眺めて過ごすなんていいですよね。
    病める時も、貧しい時も、ともに寄り添って生きる誓いを私もしました。ご主人様のご回復を心からお祈り申し上げます。

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