ウィリアム王子結婚式参列者リスト一考

ウィリアム王子結婚式の参列者のリストが発表になりました。英国王室関係者及び、ウィリアム王子の友人達、ケイト・ミドルトンの親族友人達はともかく、それ以外、外部の誰を招待するかは、リスト作製するにも色々頭が痛いところはあるでしょう。参列が確定しているゲストの一覧はこちら

海外の王室、皇室からの出席者の名を読んでいて、ヨーロッパの王室からの参列者で気になったのが、ギリシャ王太子夫妻。1967年、ギリシャでは軍のクーデターが起こり、1974年に王制が終わっているので、ギリシャ王家は、今はタイトルだけ。実際に住んでいるのも、ロンドンのようです。ちなみに、エリザベス女王のご主人、エディンバラ公フィリップは、ギリシャ王家の出身。まあ、ヨーロッパの王族なんて、昔から皆親戚・・・という感じはします。ヨーロッパ外では、もちろん、大事な石油国サウジアラビアの王太子も参列。更に、バーレーンの王太子も招待されていたのですが、今年、2月から始まった同国での反政府デモに対し、サウジの軍の力も借り、武力で鎮圧して死者も出す中、「そんな王室の人間を結婚式に招待するのもちょっとね・・・」と多少の非難を受けていました。本日、バーレーンの王太子は、「国情が大変な時なので、残念ながら、参列を諦めました」と発表したいうニュース。英王室、「むこうから断ってくれて良かった」と内心ほっと一息しているかも。日本の皇太子夫妻は、地震の影響で不参加と言う事ですが。

興味深いのが、政治家の参列者。過去の首相達のうち、保守党のマーガレット・サッチャーとジョン・メージャーが招かれ(サッチャー女史は健康上の理由で欠席ではありますが)、トニー・ブレアとゴードン・ブラウンが招待を受けなかったのです。王室側は、ブレア、ブラウン共、騎士の称号(Knights of the Garter)がないから、という言い訳がましい理由を挙げているようです。所詮、王室はエスタブリッシュメント、保守党をひいきするのかね、と他の参列政治家をみると、野党労働党の党首エド・ミリバンドは参列。そしてスコットランド国民党党首アレックス・サモンドも参列なので、体制維持の保守党政治家だけ、というわけでもないようです。私、思うに、トニー・ブレアは昨今、公行事に登場すると、必ずと言っていいほど、イラク戦争に反対したプロテスト団体などが大挙して押し寄せるので、王室側は、万が一、変なプロテスト団体が現れたら困る、と事前措置に招かなかったのではないでしょうか。ブレアを招かないで、ブラウンだけ招くというのも、ひずみが出るかもしれないので、いっそ、2人とも、別の理由で招待リストから削ってしまえ、と。

海外からの政治家では、やはり縁の深いオーストラリアとニュージーランドは両方、首相が出席。オーストラリアのジュリア・ギラードは特に、生まれたのは英国のウェールズですから。それでも、小さい時に移民しているので、彼女の英語の発音はすっかりオーストラリアのオージーアクセントです。ニュージーランド首相のジョン・キーは、本人はニュージーランド生まれでも、父親はやはり英国からの移民。他の参列者も、イギリス連邦色が強いです。

また、宗教関係者も、たとえ少数派でも一定の宗教宗派を除外して怒らせるわけにはいかないので、色々な人たちが招かれてます。式典を執り行うイギリス国教会の長であるカンタベリー大主教、ローワン・ウィリアムズ氏はもちろん、カトリックのウェストミンスター大司教、ヴィンセント・ニコルス氏、その他、ギリシャ正教から、イスラム、ユダヤ教、仏教、ゾロアスター教(!)関係者、などなど・・・。イギリス内にゾロアスター教信者などと、一体どのくらいいるのだろう、としばし考えてしまいました。

モダンな王室としてのイメージをアップさせるためか、参列者の中には、エルトン・ジョンと彼のおホモだちパートナー、ベッカムさま夫妻、ウィリアム、ケイト両方の友人だというマドンナの前夫の映画監督ガイ・リッチー、またウィリアム王子の友人だというミスター・ビーン役者のローワン・アトキンソンなどなども入っています。時勢を見ながら、社会に少しづつ迎合して生き延びてきた英国王室ですから、一般庶民に受けそうな要素も取り入れるのは大事。確かに、固く、ぎこちない、パパのチャールズ皇太子よりは、少しでも普通の人の感じが強い王子様ではあります。

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追記(4月28日木曜日)

英国と通常の外交関係にある国の在英大使は一応全員、当結婚式への招待を受けているという話ですが、シリアでの反政府デモに対する武力鎮圧により、死者の数が上がる中、本日、シリア大使への招待が撤回されたというニュースが入りました。

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