雲を眺める

私の母親が、イギリスに遊びに来た際、「イギリスは雲がいい。」と言っていました。なだらかな丘の上に広がる空のあちらこちらに、色々な形の雲が浮いて、どんどん姿を変えていくのが面白いのだと。

The Clouud Appreciation Society(雲鑑賞協会)という協会があります。「さすが、変人の国イギリス、やってくれるね。」とうならせられる感じの団体です。前々から、存在は知っていたのですが、先日、テレビで、この協会の会員の人たちが登場する、雲に関するドキュメンタリーがあり、興味がわき、サイトを探し当てました。こちら

上の図(© Anthony Haythornthwaite)は、当協会のサイトに載っている10の基本的な雲の形と名前。

雲の分類も、生物、植物と同じく、世界各国で共通の区別ができるよう、ラテン語で行われているのです。

雲の識別、ラテン語による分類法が確立したのは、19世紀前半、英アマチュア気象学者であったルーク・ハワード(Luke Howard)氏の尽力によるもの。1802年に、彼が発表した論文、"On the modification of clouds" (雲の分類について)の中に、現在でも使われているいくつかの雲の名が提案されます。

特に3つの大元の分類、
Cirrus (ラテン語で縮れ毛の意)
Cumulus(ラテン語で層、体積の意)
Stratus(ラテン語で広がりの意)
も、彼の考案によるものだそうです。

ルーク・ハワードに関して、詳しくは、王立気象学協会サイトまで(英語)。

さて、雲鑑賞協会の宣誓文が、これまた、なかなか愉快なのです。ざっと日本語に訳すると、

我々は、雲は不平に悪いものと片付けられており、雲の無い人生は計り知れないほど味気無いものであると信じるのである。

我々は、雲は自然の詩であり、万人が、その姿を良く眺めることが出来るところから、最も公平な鑑賞物であると思うのである。

我々は、いかなる場所でも「青空思考」と戦う事を誓う。毎日毎日、雲の無い単調な空を見上げなければならないとしたら、人生はつまらないものであろう。

我々は、雲は大気の気分の表現であり、人間の表情と同じように読み取る事ができるのだと、人々に伝える事に尽力する。

雲は平凡なものであるため、その美しさは見逃されがちである。雲は夢見るもののためにあり、雲を思う事は心を豊かにする。正に、雲の形を思い眺める者は、精神分析医に金を払う必要などないのだ。

そこで、我々は、聞く耳を持つ全ての人々に告ぐ:
上を見上げ、そのつかの間の美しさに驚嘆し、雲のまにまに頭を掲げて人生を過ごせよ、と!

*最後の部分は、英語では、「and live life with your head in the clouds!」と書かれていますが、「head in the clouds」とは、「空想にふける、白昼夢をみる」などの意味の常套句としても使われます。

会員の分布を見ると、全会員数約2万6千人のうち、圧倒的に、イギリスが多い(約1万7千人)ですが、世界87カ国にメンバーがおり、日本にも現在81人いるようです。これを読んで、宣誓文に共感したら、参加して、日本のメンバー数を増やしてみては?会員になるには、4ポンド、プラス、送料を支払うと、メンバー証書とバッチが送られてきます。メンバーは、イラクにも2人、ジンバブエにも1人いるようですが、どういう人達なのでしょう。全世界が、雲の鑑賞が趣味だなどとう人間だらけであれば、争いなども減るのでは、などと思ったりもします。

雲を眺めて喜びを得る、世界各国の変人達に、万歳三唱!

コメント

  1. らぶらぶ^^2011/04/11 20:48:00

    たしかに、雲をながめていると人間ってちいさいな~って思いますね。ただ、昨日のように雷と雨と地震となると、さすがに
    逃げ出すことだけでせいいっぱい@@
    今日は晴れの予報ですから、満開の桜と青空を見上げて深呼吸してみようかしらん。
    しかし、雲鑑賞協会なるものがあったとは驚きです。そして、みにさんの知識の多さにもいつも感心させられてばかりです。

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  2. 昨日の地震はまた大変だったようですね。そうですよ、出来るだけ安全対策をとって逃げて下さい、雲の鑑賞だって命あってですから。段々、余震も下火になっていくと良いですが。
    のほほんと雲の事など書いていられるのが、心苦しい気もするのですが、ブログ記事を自粛したところで何の役に立つわけでもないと、ぼつぼつ続けています。
    ボランティアに地域活動、がんばって下さい。

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