ウェストミンスター大聖堂

ウェストミンスター大聖堂(Westminster Cathedral)は、イギリス国教会のウェストミンスター寺院( Westminster Abbey)とは異なり、カトリックの教会です。ヴィクトリア駅からウェストミンスター駅方面に向かう、ヴィクトリア・ストリートにある縞々模様風建物がそれです。イングランド、ウェールズ内で一番大きく重要なカトリック教会。

聖堂内は、綺麗だと聞きながら、かつて一度も足を踏み入れずにきて、先日やっと覗いて来た次第。いつでも行けると思っていると、なかなか行かないのは人の常。内部は、映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」のスペインの教会内シーンにも使われていました。スペインまでロケに出るより、安上がりですから。この映画、内容自体は、前作の「エリザベス」がわりと良かった記憶があったので、私は、かなりがっかりしたのですが、建築物やコスチュームが綺麗で、視覚的には楽しめました。

イングランドでは、カトリック信者は、長年に渡って、公職からの締め出しを受け、また、一般的に疑惑の眼で見られてきたのですが、1829年、カトリック解放令(The Catholic Emancipation Act)が通り、カトリック信者でも、議員として選ばれる権利が認められる事により、法的には、一般市民としてのその社会的地位が一応は認められる形となります。この後、仕事を求めて、カトリックのアイルランド等からの移民がぐっと増え、社会的テンションが高くなるという現象も起こります。アイルランド人、またカトリックに対する反感は、これにより、増長したという話もありますが、それは、また後日。

この教会の建築もこの法の通った後、そして、ローマ教皇との関係も正常化し始めた後で、礎石が置かれたのが1895年、ここで初めてのミサが行われたのは、1903年になってから。正式に教会として機能をはじめるのが1910年で、去年は100周年だったわけです。

館内は、塔に登らなければ無料ですが、写真は禁止。また、観光客慣れしているウェストミンスター寺院に比べ、礼拝に訪れる人の方が多い感じの教会です。訪れたときはミサも行われていたので、見て回るのも、礼拝の邪魔にならないよう、そろそろ。告解室なども、所々に置かれているのも目に付き、「あなた、帽子を取って下さい。」と咎められていた観光客もいました。ロンドン、国際都市ですから、やはりカトリック信者もわりといるものです。最近では、ポーランドからの移民が増えたため、イギリス全国的に、カトリックのミサに出席する人数も増えたという話もありました。

内部は、良い香りが流れ、長い間抑圧されてきたカトリック教会が、ここぞとばかりに、金も労力も惜しまずに作りました・・・という感じで、ひとつひとつのチャペルが、きらびやかで美しいのです。モザイクも多く、まるでヴェニスあたりにいるような気分になります。わりと最近(とは言っても100年経っていますが)のものとは思えない。私も、50ペンスでキャンドルをひとつ灯して、雰囲気に参加。

塔は、この日は登らずに出てきましたので、これはまたいつかの楽しみに。ヴェニス旅行気分の内部から、いきなりロンドンの雑踏に出、不思議な感覚で帰途に着きました。

*Westminster Cathedralオフィシャルサイト
内部の写真はすべて、このサイトから拝借しました。

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