資源に頼る社会

日本の原子力発電危機が続く中、こちらでガスの値段が上がっているというニュースを読みました。(ロイターによる、この件のニュースはこちら。)普段は原子力に頼っていた部分を、ガスによる発電で補うため、カタールなどの国から、冷却された液化天然ガス(liquefied natural gas、LNG )が日本へ大量に輸出されている事が原因となっているようです。

この話を、だんなとしている時に、「前に日本に行ったとき、(房総の)鋸山の上から、LNGを入れた丸いコンテナの乗ったタンカーが港に入ってくるのを見たでしょ?あんなのが、今、沢山、日本に送られてるわけだよ。」妙な事を良く覚えている人だと、感心しながら、鋸山旅行の写真を掘り返してみたら、本当に、丸い4つのコンテナを乗せたLNGタンカーが海に浮かんでいるのが写真に写っていました。上の写真の海上のやや左、春霞にほーっとほやけた感じですが、わかるでしょうか。

イギリスに供給されるガスは、ほとんどが、大陸からのパイプラインを通して気体のまま送られてきますが、はるかかなたの日本へは、こうして冷却して液状にしたものが輸出されるわけです。

また、ガスのみならず、揺れるアラブ諸国の現状、特にリビアでの不安な状況が長期化しそうな影響で、石油の値段も上がっています。日本でも、これに加え、買いだめなどからも、ガソリン不足で、被災地東北への物資の搬送なども大変なようですが。つくづく、石油、ガス、その他、自国に無い資源に頼る社会の不安定さ、そしてその将来の生活水準維持の難しさを感じる日々。

イギリスでは、アメリカやオーストラリアほどでは無いとしても、日本よりは車社会。歩けば10分くらいの場所でも、車で出かける人などわりといます。そして、ガソリンを安い価格でゲットできるのは、まるで基本的人権のひとつと思い込んでいるような発言も一般人の間で聞かれます。「石油の値段が高すぎる。政府は何しているのか。」「必需品だ、石油に税金かけるな。」確かに、この国のガソリンにかかる税金は、高いですが、文句を言ったって、石油はその辺の畑でひょろひょろ生えてくるものでなく、有限。出来る限り節約しながら使う姿勢をみせない事には。

イギリスには北海油田があるとは言え、こちらも先が見えており。また、石油輸出国には、不安要素がある国が多い。もし、リビアで起こっているようなことが、サウジアラビアで起こったら、その影響たるや、リビアどころの騒ぎでなく、石油の値段は急騰する事でしょう。しかも、サウジの国民が、リビアでの様に、支配者層に反対して一大デモを引き起こし、サウジの王族が、自国民を殺し始めたら、西洋国家はどうでるのでしょう。確かにその狂気にはかなりのものがあるとしても、リビアのカダフィを悪者にした以上、石油大事さに仲良くしてきたサウジの王族に目をつぶるとしたら、それは、それこそダブルスタンダードと言われても仕方が無い。

現在の西洋諸国の一般市民の生活は、かなりの部分こうした不安定な国々に維持されているのだから、「もし」その供給の一部が大幅に途絶えた場合を考慮して、今から、石油、ガスにおんぶにだっこせずにも基本的生活が続けられるような、社会作りを、これからはしていかない事には。まずは、デブちゃん国イギリスは、歩ける場所へは車を使わない、ような基本的な事から始めて。

天然資源を使い果たしたら、江戸時代の様な生活に戻って、不便でも、毎日楽しく、浮世を暮らすつもりでいるのなら、それはそれで、いいのでしょうが。そうした生活に戻りたいなどという人が、一体何人いるでしょう。

*写真、一番上から、
鋸山から望む海
鋸山日本寺大仏
鋸山地獄覗き
鋸山百尺観音

コメント

  1. こんにちは
    とてもいい天気です。少し疲れたので休暇をとりました。資源の問題はいよいよ切実な問題になって来ました。湯水のごとく使っていた電気にガソリンに水に食料、先進国であるが故のおごりと無関心はこういう形でしっぺ返しをして来ました。つつましく、かつ豊に暮らすとはどういう事なのか?お日様のあたたかさをありがたく感じています。
    他の文章も楽しく読ませて頂いています。

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  2. 原発も反対する人の気持ちも分かるものの、それでは、その代わりに何を使うのか、という話になります。中東の状況とは別に、今まで貧しかった国の国民も、先進国の様な暮らしをしたいと、資源の使用も世界的に増え、資源の値が上がっていくのは、もう必須の気がするので。コールドフュージョンでも発明されない限り、先進国の物質的生活の水準は落ちていくと思います。余分、無駄、過度をはぶく事が、初めの一歩でしょうか。日本は、こちらに比べお日様強いですので、ソーラーパネルなども、もっとあっていいような気もします。

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