漆喰装飾の建物

イングランド南東部で、古い建物が残っている町や村などを歩いていると、漆喰で絵や模様を描いた壁で飾られた木製の骨組みの家を時に目にします。こうした外壁の漆喰装飾は、英語でパーゲッティングまたはパージェティング(pargetting)と称されますが、特に、サフォーク、エセックス、ハートフォードシャー州に多く見られるということ。なかなか、凝っている物もあれば、何だか絵が下手な人が作ったんじゃないか、と思うようないびつなデザインのものもあり。

パーゲッティングは、16世紀後半のイングランドで、こうしてコテージの壁に使われるようになります。17世紀後半にその人気は頂点に達し、その後50年くらいで徐々に流行りは消えていったという事。

先日、サフォーク州のイプスウィッチという町に行って来ましたが、この町の中心部にある、「エインシェント・ハウス」(Ancient House)と呼ばれる、チューダー朝の建物は、特に、この外壁一面に広がる漆喰装飾で有名。こちらのガイドブックにも記載されていたので、しっかり見て、写真も撮って来ました。

正面部分の装飾は、アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパを、チューダーの人たちがイメージしたもの。上の写真は、アジアだそうですが・・・まあ、昔の人の考えたアジアですから、こんなものか。

当建物、今はキッチン用具などを売っている店として使われていました。私の古いガイドブックには、本屋だと書かれていたので、テナントが変わったのでしょう。

家に帰ってから、ウィキペディアでパーゲティングを調べたところ、あ、エインシェント・ハウスの写真が載っていました。ちなみにパーゲッティングのスペルは、pargettingと t を2ついれるのと、pargetingと t を1つだけいれるものと、まちまちのようですが、伝統的には前者のスペルだと思います。

それから、同ページに、もうひとつ見たことがある漆喰装飾の建物の写真・・・こちらは、サフォーク州のクレアに数年前に出かけた時に見たものだと思い出し、写真を掘り返してみたら、ありました。クレアの小さな博物館の建物。綺麗なパーゲティングだと思ってパチリと撮ったのですが、ウィキペディアのページに載っているところを見ると、やはり、漆喰装飾として比較的有名な物なのでしょう。私はエンシェント・ハウスのパーゲッティングより、こちらの方が好きです。

パーゲッティングの職人さんというのは、現在でもいるようで、いつぞやか、テレビのドキュメンタリーで、職人が、漆喰装飾を作っているところを見せていました。「毎夜、さあ、今度のプロジェクトはどんな模様にしようか、と考えながら眠るのも楽しい」、のような事を言っていたのを覚えています。収入はさほどでは無いかもしれませんが、こういう伝統職人と言うのは、やりがいのある商売でしょうね。憧れない事もありません。

さて、本日から、ブリティッシュ・サマータイム(英国夏時間)が始まり、時計の針を1時間すすめました。これで、日本との時差は今までの9時間から、8時間と、1時間短くなります。日没も時刻的には遅くなり。サマーは、まだまだですが、春の行進は、着々と。

コメント

  1. こんにちは
    日本のなまこ壁ににていますね。伊豆下田の港町などにある蔵などには装飾を兼ねた漆喰彫刻もあります。職人の腕の見せ所なんでしょうね。「良い仕事してます」

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  2. なまこ壁と言うのは知らなかったので、検索して写真をみてみました。面白いパターンですね。職人技は下手なモダンアートなどより技術と芸術を感じます。

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