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桑の実摘んで現行犯

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caught red-handed(コート・レッドハンデッド)という英語のフレーズがあります。直訳すると、「赤い手をしているところを捕らえられる」ですが、「(犯罪や、その他よからぬ事を)行っている最中に捕まる、発見される」という意味。要は、現行犯です。 He was caught red-handed. 殺人を犯して、その血で手がまだ染まっている時に、発見されて捕まってしまう・・・というところから来たフレーズで、このレッドハンデッドが初めて、文学作品内で使用されたのは、スコットランドの作家ウォルター・スコットによる、「 アイヴァンホー 」だったと言います。この本読んだんですけどね、気がつかなかったです、このフレーズ。何せ、わりと長い本なので(・・・と言い訳)。 さて、先日見たテレビ番組で、エセックス州 チップトリー にあるジャム会社、ウィルキン・アンド・サンズ社の果実園で、桑の実(mulberry マルベリー)を摘む様子と、それをジャムにする様子を放送していました。この放送の中で、マルベリーを密かに摘み取ると、その実の汁で手が赤く染まってしまい、その色がなかなか落ちないのだそうで、「あ、こいつは、桑の実盗んでおった!」と犯罪が発覚してしまう・・・まさに、これも、「caught red-handed」である、などとやっていました。血に染まった手よりもご愛嬌ですが。 この番組を見た後、さっそくスーパーでマルベリージャムを探したのですが、ウィルキン社のものも、他社のものも、マルベリージャムなど置いていない。そこで、ジャム工場とショップが一緒になっている、チップトリーのウィルキン本社へ乗り込んだものの、ここのショップでも売っていなかったのです。レジの人に聞くと、「売切れてしまって、今週中には、また店に出せるようになると思うけれど。」そこで、「テレビ番組でやっていたから、ちょっと、どんな味かと思って。」という話をすると、「そうそう、それ以来、かなり人気が出たんですよね~。」テレビの威力はすごいのです。 その帰途、ちょろりと寄ったガーデンセンター。ガーデンセンターの一角にあったファームショップへ足を運ぶと、あったのです、ウィルキン社のマルベリージャム!テレビを見た人たちは、皆、私の様に、本社へ直行して、本社では品切れになってしまったのでしょう。約6ポンド

2月の窓辺

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2月は、一年の中で、一番嫌いな月です。春がもうすぐで、その気配が感じられる時期ではありますが、この、春がもうすぐなのに・・・というのが、私には、とてもまどろこしいのです。マラソンで、ゴールが見え始めた、あと、一息だ~という最後の距離が一番つらいく、非常に長く感じられるのと同じように。一番短い月であるのに、一番長く感じる月。 バレンタインデーに、「花は何がいい?」とだんなに聞かれ、ダファデル(ラッパ水仙)とチューリップを頼みました。バラの花よりも、何よりも、家の中だけでも春を感じられる花がいいなと。バレンタインの当日には、まだ黄色のきの字も見えないつぼみだったダファデルも、窓辺の光と室内の暖かさで咲きそろいました。庭には、まだクロッカスがちらほらと咲くのみなので、室内に光が溢れたようなうれしさがあります。 暖冬ではあったものの、イングランド南部は特に大洪水で大騒ぎとなった冬でした。うちの周辺は、庭の芝生がぐしょぐしょとなっている程度で、被害と呼べる規模のものでなく、調度、この時期に更新の家財保険料金も、洪水にあった地域に比べ、比較的安めで済みそうです。 春の花が咲きそろう窓辺から外を眺めつつ、今年の抱負、今夏は絶対実行に移したい事などを、色々と思い巡らしています。過去10年ほど、ほぼ毎年、同じような抱負を抱いてきた気がするのですが、そんな意気込みも、2,3ヶ月で、いつも、日々の生活の間に消えうせていくのでした。毎年、災いも経験しながらも、それなりに良い年だったと思える事はあったのですが。10年などと言葉ではとても長く思える月日が、気がつくと、するりと指からすり抜けて行ってしまっているものです。 ダファデルの黄色い顔を見ながら、自分に言ってみています。「今年こそは、抱負を実行し続けようね。」と。

イングリッシュ・ロングボウ

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ロングボウとは、長弓の事です。もともとは、狩猟用の弓であったものが、まずウェールズで、戦いの武器として使用され始めます。12世紀に、ウェールズでの戦で、厚い教会のドアも貫く長弓の威力に、イングランド軍は感銘を受け、イングランド内でも、戦に導入されていきます。そして、イングリッシュ・ロングボウは、その後、中世イングランドの戦略を画期的に変える事となるのです。 ただし、上手く使えるようになるためには、かなりの訓練を要する武器であるため、エドワード1世の時代から、毎日曜日に、イングランド各地の村人達は、的をめがけて、長弓の練習せねばならん、という法が敷かれます。「いざ、戦!」となった際に、役に立つ弓兵が沢山いるように。 ロングボウは、主にイチイの木(yew tree、ユートリー)で作られました。イチイは、常緑樹で比較的長寿であるため、永久の命のシンボルとして、教会の敷地に良く見られる木です。また、どっしりとした深い緑は、風雨から教会の建物を守るのにも役立ったようです。イチイの枝は、 パームサンデー (棕櫚の主日)に行われる教会の儀式で、棕櫚の葉の代りに使用された事もあったため、中世の時代には、パーム・サンデーは、ユー・サンデーと称された事もあり。毒性があるため、家畜にむしゃむしゃとやられてしまう事もないのも、教会の敷地を守るのに便利であったのでしょう。 そんなお役立ちの、イチイの木。木の皮のすぐ内側にある白い部分(サップウッド)は、木が風になびくときなどに、ボキンと折れぬよう、柔軟な素材であり、さらにその内側にある赤みがかった色の部分(ハートウッド)は、収縮された時の圧力に強い性質を持つ素材。これは、木に強風が当たる時の事を頭に浮かべれば、わかりやすいですが、木の外側の部分は、風になびいて少々くなっと曲がり、木の内側は、その圧力で、いささか収縮する・・・この多少異なった特徴を持つ2つの木の部分を巧みに利用し、弓糸を張ってあるのと反対の部分にサップウッド、糸を張ってある側に圧力に強いハートウッドがいくようにして、木目にそって弓を作ったわけです。その割合なども微妙で、作るのに、なかなか技術を要したのではないでしょうか。弓の長さは、約173センチ~193センチ。かなり長いのです。まあ、だから、ロングボウと呼ばれるのですが。 練習し慣れた弓兵たちは、矢を続けざ