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オレンジポマンダーを作りましょ

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クリスマスは、例年、さほど大騒ぎをする方ではないです。が、あまりに何もしないというのもスクルージみたいですので、多少、室内の一角を、それらしく飾ることはします。ただし、飾ると言っても、プラスチック等でできた飾りや、ピカピカ光る室内イルミネーションなど、クリスマスシーズン後、リサイクルもできず、処理に困るごみと化すものにお金をかけたくない・・・というのは基本にあります。ですから、大体、庭の植物を切って作る クリスマスリース や、 室内用ヒヤシンスの鉢植え を何個か飾る、という比較的大人しい感じのものとなります。 今年は、もう少しにぎやかにしてみようと、オレンジポマンダーを作ることにしました。ポマンダー(pomander)は、英和辞典で見ると、日本語で「におい玉」と訳されています。古いフランス語のpomme d'ambre(琥珀のりんご)から派生した言葉ということです。中世には、球形のケースに香料を入れて、身に着けたもので、この香料を入れるケース、またその中身の香料共に、この名で呼ばれていたようです。 オレンジに、香辛料のクローブ(clove)を突き刺して模様を描くオレンジ・ポマンダーは、クリスマスとは相性ばっちり。見た目綺麗で、香り良く。クリスマスを香りで描写するとしたら、何と言っても、このオレンジとクローブの混ざり合った香りでしょう。 東インドネシアが原産、現在ではインドネシアの他、タンザニアなどでも栽培されている香辛料としてのクローブは、クローブ(チョウジ)の木の、まだ開かぬ花のつぼみを乾燥させたもの。見た目は、茶色の小さな釘のようです。開花は年に2回、こんな小さな花のつぼみを摘むのは、なかなかデリケートな作業でしょうね。13世紀に、すでにマルコ・ポーロは、東インドネシアで、クローブのプランテーションを見たということです。 さて、オレンジポマンダー作成の材料を仕入れます。まず、オレンジ(30ペンス)、クローブ(35グラムの瓶で約2ポンド、瓶の半分くらい使いました)、リボン2メートル(98ペンス)、あとは、家にあった、頭の小さいマチ針と、竹串。ということで、1個作るのに、大体、2ポンド30ペンスと、安いものです。別に、リボンをかける必要はないので、リボンなしでは、更に1ポンド30ペンス。ただ、リボンをつけると、つる下げることができる、とい

スノーマンとスノードッグ

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テレビ用短編アニメ映画として、1982年のクリスマス・イブ放送されて以来、毎年、イギリスのクリスマス期のテレビの常連となっていた、 「スノーマン」 (The Snowman)ですが、30年経った今年になって、遅ればせながら、この続編アニメ「スノーマンとスノードッグ」(The Snowman and The Snowdog)が、クリスマス・イブに放送されると話題になっています。子供でもあるまいに、恥ずかしながら、私、これ、わりと楽しみにしているのです。 ペットの犬の死を悼む少年が、自宅の床下に隠されていた靴箱を見つける。箱を開けると、そこに入っていたのは、緑色のマフラーと、ある少年と雪だるまの写真。この家は、30年前に、スノーマンを作って夢のような一夜を過ごした少年が、かつて住んでいた家。この過去の写真に触発され、少年は、雪だるま(スノーマン)と、雪の犬(スノードッグ)を庭に作る。そして、動き出したスノーマンとスノードッグと少年は、第1作目同様、空へ飛び立ち冒険旅行へ。今回は、ロンドン上空を飛ぶそうで、ビッグベン、ロンドンアイや、OXOタワーなどを見下ろす飛行シーンとなるようです。 手描きアニメは、手作りの暖かさはあるものの、手間はかかります。24分のアニメに、なんでも40人のスタッフが20万枚の絵を描き、色付けしたということ。コンピューターアニメものより、人件費も高いでしょうから、金もかかったでしょうが、すでに10カ国以上の国々への販売が確定しているという話なので、いずれは、もとは取れて、それにおまけがついて返ってくるのかな。こういうアニメの手描きをする仕事なども、そのうちに、先進国内で行うには高くつきすぎるので、人件費の安い国に回す・・・などという事態もでてくるのでしょう。 この「スノーマンとスノードッグ」でも、最後に、スノーマンは溶けてしまう。ただし、スノーマンと一緒に訪れたサンタさんからもらった犬の首輪のプレゼントを、スノードッグの首につけると、スノードッグは本物の犬に変身。少年のペットとして残ることになります。と、ストーリーは、犬を除けば、まるで第1作とそっくりなので、続編というより、ヴァリエーションといったところ。 30年前は、田舎のど真ん中にあった少年の家は、今は住宅地の真ん中にあり、オリジナルの少年は、両親が二人ともいたのに、「

バンカーズ・ランプ

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夕方の4時ともなると、薄暗くなるイギリスの冬。 先日は、ほぼ一日、晴れない霧がたちこめ、見慣れた町の公園も、摩周湖のごとく、いつもと違ったミステリアスな雰囲気を漂わせていました。こうした霧の中を歩くのも、ある意味では楽しいのですが、日が暮れてからは、ミステリアスでロマンチックな雰囲気も、切り裂きジャックが出そうな不穏な雰囲気と変わるので、夜までうろちょろすることも無く、さっさと暖かい室内へ戻り、読書やらをする時間が長くなる時期でもあります。今朝は、この辺りでは、今冬初めての雪まで降り、寒さもひとしお。 以前から、夜の読書用の気の利いた卓上ランプが欲しく、昔ながらの緑のガラスのシェードのついたバンカーズ・ランプ(バンカーズ・ライト)が気になっていたところです。バンカーズ・ランプは、名前の示すとおり、銀行員や、会計士など、卓上で細かい物を読む必要のある職業の人物が、ぎらぎらライトから、この緑のシェードで目を守るために使っていたもので、いまだ古めかしい図書館などにも供えてありそうな代物です。 こういうものは、インターネットで買いたくないので、先月、照明の専門店へ足を運び、「バンカーズ・ランプあります?」カウンターのむこうに座っていたおじさんは、それに答えて、はじかれたように立ち上がり、びっくりするようなスピードで、バンカーズ・ランプの3つのモデルが飾っている場所へ連れて行ってくれました。さほど大きな店でもないのに、3つモデルが置いてあったのは、この照明、今でも根強い人気があるのでしょう。一番気に入ったものを、さっそく買って戻りました。65ポンド。こういうのも、今や、メイド・イン・チャイナですが。 こうして購入すると、映画などに、このバンカーズ・ランプが映っていると、すぐ目に留まるようになってくるものです。最近DVDを買って見た007の「カジノ・ロワイヤル」のワンシーンで、卓上のバンカーズ・ランプに気がつき、また、ジャマイカのボブスレーチームを話題にした映画「クール・ランニング」をテレビで見たいたときに、ジャマイカのオフィスにまで、このランプが置かれていたのに気づき。 部屋の電灯をつけずに、これだけで、卓上は十分明るくなる上、やさしい緑色がほおーっと浮き立つ様子は、なかなかです。 暗い室内で、卓上だけが明るい方が、やっている事に集中できるもの

キャサリン妃妊娠と王位継承

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キャサリン妃おめでたのニュースが流れました。まだ12週間ほどで、かなり強烈なつわりに悩んでいるという話ですが、王位後継者の妃たるもの、「生まねばならぬ。生まねば失敗。」のプレッシャーが取れただけでも、ほっと一息というところでしょう。 また、現イギリスでは、ヘンリー8世の妃達のように、「男児を生め」というプレッシャーもない。後のエリザベス1世を生んだものの、男児を生むことに失敗し、首ちょんぱ、というアン・ブリンのような女性もいたわけですから、昔はプレッシャーどころか、まさに生と死の問題となることもあったので、思えば遠くへ来たもんだ、ですね。 さて、現エリザベス2世は、妹マーガレット王妃が女の子で、他に男兄弟がいなかったため、女王となった人です。これが、もし彼女に弟が生まれていたら、こちらに、王位継承の優先位が行っていたわけです。エリザベス2世が君臨しなかったイギリスなど、今では想像できませんが。 この少々、時代遅れで、社会の現状を反映していない王位継承法を変え、性別に関わり無く、第1子が必ず継承権を得る、という方針が、去年の秋にはすでに、イギリス連邦の国々の首相の間では承認され、あとは、それぞれの国会で、法が通るのを待つのみ。この改正と共に、王位継承者がカソリック信者と結婚することも認められるようになる予定ですが、カソリック信者自身が、王位継承することができるようになるのは・・・まあ、おそらく、長い間ないでしょう。 ですから、現在キャサリン妃のお腹にいる第1子が、男であれ、女であれ、めでたく生まれた暁には、チャールズ皇太子、ウィリアム王子に次、王位継承第3位となります。もし、第1子が女の子で、後に男兄弟ができても、先に死んでしまわない限り、継承順は変わりません。エリザベス1世、ヴィクトリア女王、エリザベス2世と、女王の国のイメージが強いイギリスで、それこそ今更ながら、という感じではあります。「新しい歴史の第一歩を目撃したいから、ケイトの子供が女の子だといいな・・・」という人もかなりいるようで、今度は逆に、「女児を生まねば」のプレッシャーが多少かかってきているような気配も無きにしも非ず。 (こうして、モダンになろうとする王室に相反して、先月、イギリス国教会では、まだ、女性の主教の選出を認めないという、時代を反映しない取り決めがなされたばかりです。