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バイオダイバーシティー(生物多様性)の低い国イギリス

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 イギリスは、バイオダイバーシティー(Biodiversity、生物多様性)が非常に低い国である、というニュースを聞きました。G7の国の中では最下位、また全世界中でも、下からの10%に入るというお粗末な結果。ちなみに、G7で一番の生物多様性を保っている国は、カナダで、それから、ドイツ、フランス、イタリア、日本、アメリカ、そしてイギリスとなっています。  日本は国土の70%近くが森林だというのに、もっと上でもいいのではないか、という気がしますが、日本の森林は、杉やヒノキなどの人工林が占める割合が非常に高いのがマイナス。要するに森林面積は広くても、種が限られ、モノカルチャーであるため、多種多様の昆虫や生物を支えることができない、おまけに、花粉症という弊害もある。このため、日本がこのバイオダイバーシティーリストの上にあがっていき、生物種の絶滅を防ぎ、バランスを守るためには、広葉樹林の拡大が望ましいようです。 カナダのように、人口のわりに、国土面積が広いアメリカなどが、 日本より悪いというのは、単一穀物を育てる、地平まで続く超大型農地が多いためでしょうか。これはあくまで、憶測です。 さて、イギリスは、ヨーロッパの他国に比べて森林面積が狭いという話は、前々から聞いて知っていました。その理由のひとつには、とにかく、国が たいら であるという事があったようです。 ストーンヘンジ などを作った、大昔のご先祖様たちの時代から、とにかく、木を切って土地を開拓するのが比較的楽であったので、どんどん、木がなくなっていった。そして、産業革命を最初に成し遂げ、ますます、手つかずの土地が減っていき。昔のままの姿の森林というのは、たしかに、イギリス国内でぽつん、ぽつんです。ドイツ、フランスなどは、グリム童話の背景に、今でも使えそうな森林がたくさん残っている感じはします。 庭に来る ブラックバード や ロビン などの鳥たち、 ハリネズミ 、町の中心に行く途中のやぶから飛び出すうさぎ、など、その辺でわりと小動物と遭遇する機会が多いので、なんかイギリスは、自然たくさん、というイリュージョンはあります。 ロンドンなどにしても、キツネが庭に出没したり、ハイドパークやら、ハムステッドヒースやらと広大な緑地が多いのも、緑大き国のイメージにつながっていますが、緑=バイオダイバーシティーという方程...

ちょっと遅い、残暑お見舞い

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  秋分の日も過ぎ、残暑お見舞いというには、遅すぎる季節となりました。 が、今夏、諸外国いろいろな場所で、暑さで森林などが炎上している最中、イギリスだけは、太陽から見放されたように、薄らくもり、ジト雨が降り、出した夏服もほとんど着る日がなかった気がします。そのため、せっかく庭に植えた、オレンジがかったひまわりも、非常に発育が悪く、9月も頭から、ようやく咲きそろい始め、今やっと、全部咲いたかな、という感じです。ここ数日の秋日和がうれしいところです。 しばらくブログ離れをしていたので、イギリスの昨今の近況をまとめ書きしてみます。 コロナ感染の昨日の数値は、感染者数34,460人、 感染してから28日以内で死亡 した人の数は166人。人口は日本の半分くらいの国で、ワクチン接種割合も上でありながら、いまだ、日本より高い数値です。 データは下の政府のサイトより https://coronavirus.data.gov.uk/   にもかかわらず、現在、公共交通機関、店やレストラン、バーなどでは、一切マスクをする義務はありません。地元のスーパーなどに行くと、「念のためにマスクをしましょう」という看板が出ており、私もいまだに入店する前にマスク着用しますが、していない人もかなりいます。 義務付けないと、着用しないという人の数は多いですから。このご時世に、咳してるのにマスクしてないで大手を振ってスーパーで買い物してる人の姿は、見ていて気味のいいものではありません。せめて、公共交通機関くらいは、マスク着用を政府が義務付けてほしいと思うのですが、保守党内には、自由の抑圧であるという大義名分を出す、いわゆるマスク反対派が多く、また反マスクの国民にいい顔をするために、行っていません。これから、冬に入り、インフルエンザなども増えていく中、これでは電車に乗りたくないですので、ロンドン行きも、しばらくは個人的には断念です。心配性の日本人ですから。。。 はっきりいって、もうこの国は、どんなに注意したって、死ぬ人は死ぬんだから、と切った感じがします。旅行もかなり制限がなくなり、いろんな所から、 コロナの新種を持ってきたらどうするんでしょうか。 そろそろ、50歳以上の人間に、3回目のブースターのワクチン接種を行う計画が出ていますが、これは、すべてファイザー社あるいはモデルナのものになる...

クロッカス

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今週は、かなり気温が上がり、本日は16度くらいもなるという嬉しい予報。とにかく、イギリスのグレイな冬の日々は、年と共に嫌になり、ながーく感じるのです。明日が、冬の間は中止されていた、今年初のグリーン・ビン・デイ(庭の枝や刈った芝など、緑のゴミを、トラックが回ってきて各家庭から、2週間に一回収集する日)なので、昨日は、あちこちの庭から芝刈り機や、藪を刈り込む音などが聞こえてきていました。私も、昨日から、久しぶりの本格ガーデニング・モードへ入り、小さな木やバラなどを掘り起こし、新しい場所に植え変えました。また、洗濯物が、外で干せるようになるのも助かり、ここ2,3日、近所の庭でも洗濯物がはためいています。2軒先のおばあさんの家の庭に、鯉のぼりもびっくりの、彼女のそれはカラフルなパンツが何枚も、washing line(洗濯ロープ)に並んで干してあるのを見て、にんまりし。 さて、イギリスの花の歳時記で、年の初めに、春の兆しを告げるのは、以前にも何度か書いた、スノードロップ( 待雪草 )ですが、スノードロップの咲くころは、まだ気温が低く、また白い花というのは可憐ではありますが、やはり、そろそろ色が欲しくなる。そして現れるのがクロッカス。 クロッカスも、スノードロップ同様、イギリス原生ではありません。時々、野原や自然の中にも見られますが、これもやはりスノードロップ同様、もともとは庭で栽培されていたものが、何かのきっかけで外へ逃げ出し、繁殖したものであるそうです。クロッカスは、アヤメ科の植物であるという事。 わが家の庭にも、私は植えた覚えがなく、おそらく、かなり昔、この家の以前の持ち主が植えたものの子孫と思われる真っ黄色のクロッカスが毎年ちょこちょこ黄色い顔をのぞかせます。また、前庭の芝生には、やはり植えた覚えのない、ほんのり紫のクロッカスが数個顔を出し、この同じ種ものは、隣の家、更にはその隣の家の芝生からも生えてくるので、一体、どうやって繁殖するのだろうと、それは不思議に思っています。 真っ黄色だけでなく、少々別の色のものを増やして見ようと、去年の秋、私が良く使う、その名も「クロッカス」というオンライン植物ショップから球根を注文しました。白地に薄紫の線が走っているもの、下の方が黄色く全体は紫のもの、それからクリームのやらかい黄色。これを、いくつかの鉢にまとめ植えをし、それは咲く...

20世紀初頭に日本を訪れたイギリス人女性たち

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エラ・デュ・ケインによる日本庭園の水彩画 最近スコットランドに引っ越した日本人の友人が、スコットランドにある「カウデン・ガーデン(Cowden Garden)という日本庭園へ行ってきました」というメールを写真付きで送ってくれました。イギリス各地に、日本庭園なるものは造園されていて、比較的新しい物もあるので、いつ頃に作られたのか、と興味半分で、 当庭園のサイト をのぞいて、その歴史を読んでみたところ、これがなかなか、面白かったのです。 富裕な実業家の娘に生まれた、エラ・クリスティー(Ella Christie 1861-1949)という女性が、自分の所有するカウデン・キャッスル(Cowden Castle)という屋敷の土地に、大きな池を掘りおこし、日本庭園の造園を開始したのが1908年だというので、かなり古いものです。 冒険心のあった女性の様で、1904年から、ヨーロッパをはるか離れた、インド、チベット、セイロン、マレー半島などのエキゾチックな場所を旅行して歩き、1906年から1907年にかけて、ロシア、中国、韓国、そして日本を訪問するのです。庭園のウェッブサイトの情報によると、彼女が、京都に滞在中に泊まったホテルで、日本庭園に関する本を書く目的で日本を訪れていた、水彩画家のエラ・デュ・ケイン(Ella du Cane)と執筆を司る、彼女の姉のフローレンス・デュ・ケイン(Florence du Cane)という、イギリス人姉妹に遭遇するのです。1908年に出版された、この姉妹の本のタイトルは「The Flowers and Gardens of Japan」(日本の花と庭園)。 ここで少々脱線します。このデュ・ケイン(du Cane)という苗字、「どこかで聞いたことがあるなあ・・・」と、しばし考えると、私の住むエセックス州内の、グレート・ブラクステッド(Great Braxted)という小さい村にあるパブの名前が、「デュ・ケイン」だったと思いだしました。その前を、幾度か車で通過したことがあり、「パブにしては聞かない名前だな。」と、記憶に残っていたのでしょう。そこで、このデュ・ケイン姉妹の事を調べてみると、一家は、このグレート・ブラクステッドにある大きな古い屋敷、ブラクステッド・パークに住んでいたのです。よって、パブはかつて周辺に住んだ,この一族の...

ロックダウン中のオアシス

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ガーデン・ルームに入って来たブラックバード 2年前(2018年)の6月から12月にかけて、非常に狭く、食べ物を作るだけで座るスペースもなかった我が家のキッチンを、庭に突き出すように拡大し、ダイニングテーブルを置けるエリアを作りました。3メートルx4メートルの、このエクステンション(拡大工事)のおかげで、かなり毎日の生活が向上した感があります。ちなみに、エクステンションというと、日本では、髪の毛を長くするヘア・エクステンションあたりが一番最初に頭に浮かぶかもしれませんが、イギリスでは、エクステンションというと、こうした、既存の家の拡大工事を指すことが多い感じです。 エクステンションが開始したばかりの頃 イギリスでの大工仕事は、最初に言われた期間よりずーっと長くかかるのが常で、始める前は、3,4か月と言われた工事が、のろのろ進んだ6か月の間、家の中はぐちゃぐちゃで、かなり大変でした。 つっかえ棒で、使い続けた以前の流し 台所の流しやコンロが比較的、長く使っていられるようにと、流しは以前のものを、つっかえ棒などをして、ぎりぎりまで使用。ついに、工事の後半に入り、流しとコンロを取り外してからは、大工の頭のナイジェルから借りた電気クッカーを使い、居間で調理、皿洗いは風呂場で、という、キャンプのような日々。 また、工事が始まる前の設計家との相談と設計図の作成、地方自治体への通知など、着工となるまでの道のりも長かった・・・。が、我慢した甲斐はありました。 何せ、日本の家のように、古くなったら、全部壊して、一から建て直すという事はほとんど行われないので、イギリスの古い家は、常に、内部の改善、改築、そしてエクステンション。昔の生活とニーズが異なってきているので、手を入れていない家というのは、ほとんど無いでしょうね。我が家も、1960年ごろに最初に建てられた、セミでタッチド(片側が隣家とくっついている家)で、前の家の所有者によって、すでに色々手が入れられていたのを、更に、私たちも、何やかやと多少の改造をしています。(これは、以前の記事「 まきストーブのある家 」でも書きましたが。)前の家の間取りに制限されずに、一から設計し直すことができたら、ずっと楽なのでしょうが。イギリスでは、こうしたセミでタッチド、更には、両隣がくっついている長屋のよう...

池の金魚の悲劇

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良い気候となってきました。昨日は、午前中、前庭の草むしりをしてひと汗かいた後、裏木戸から家へ戻る時、庭で日向ぼっこをしながら本を読んでいたお隣の女性を見かけ、あいさつ。 この隣家の庭には、約1メートルくらいの高さで、長方形をした小型の、イギリスの風呂おけを浅くしたような池があります。彼女は、この池のすぐわきの椅子に座っており、「私たちの金魚が・・・」と、長らく美容院に行っていないため爆発してきている髪の毛を手で押さえながらいわく、「1匹だけ残して、全部、かもめに食べられちゃったの!」 この言葉に、一瞬、映画「ワンダとダイヤと優しい奴ら」(A Fish Called Wanda)の一場面で、ケビン・クライン扮する性悪のオットーが、マイケル・ペイリン扮するケンが大切に育てていた熱帯魚をつまんで、ちゅるちゅるっと飲み込む映像が頭をよぎりました。お隣さんが留守の時、私も頼まれて朝晩餌をまいたことがある、赤い小さい金魚たちが、カモメの口の中へ消えていったのか。あーあ。 「お宅の反対側のお隣も池あるでしょ?大丈夫かしら?この前、カモメが、塀にとまって、あの家の庭のぞき込んでるの見たわ。」と彼女は続けて言いました。うちの反対側の隣人は、かなり大きな深い池を持っていますが、飼っているのは、でかい鯉。食べがいはあるかもしれませんが、金魚のように一飲みでちゅるっとはできないですね。それに、池の上には、金網をかぶせてあったはずだし。 そう、最近、やたらカモメが多く空を徘徊しているのには気が付いていました。それも、いつもより低空を飛んでいる感じで。新型コロナ感染に伴う、イギリスのロックダウンのため、海岸線の町やリゾートの人出がなくなり、今まで、そういった場所での、食べかけで捨てられていた、 フィッシュ・アンド・チップス などの、人間のおこぼれを頂戴していたカモメたちが、食べるものが減少して、内陸までやって来ているのではないかという話です。おそらく、同じ理由から、冬季は、カモメは比較的多いのですが、この季節でこれだけ見るのは、やはりロックダウンの影響でしょう。街のタウンセンターなどでも、くずかごなどに人間の食べかすが無くなっているので、郊外の庭の池までのぞき込んでいるのか。カモメは何でも食べますからね。そういえば、例年、あまり見ないカラスも庭に到来する数が増えている気がし...

犬のナイジェル

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禅の表情の犬のナイジェル 先週の初め、朝のラジオで、BBCの人気園芸番組「ガーデナーズ・ワールド」のプレゼンター、モンティ・ドン氏の愛犬、ゴールデン・レトリバーのナイジェルが死んでしまったというニュースが入りました。12歳。急に病気になり、静かに息をひきとったと。視聴者から、多くのお悔やみのメッセージが寄せられているようです。 「ガーデナーズ・ワールド」の放送は、ヘレフォード州にある、モンティ・ドンの自宅の広大な庭からの放映がメインになっており、いつのころからか、ナイジェルは、番組の大切な要素の一つになっていた感じです。 最初は、特に犬を一緒に撮影するという企画は無かったそうですが、とにかく、ナイジェルは、庭園内を手押し車を押して移動するモンティを追って、尻尾を振りながら、雨の日も晴れの日もついて回る。モンティが、種をまいたり、新しい苗を植えたりしている間は、そばで、のてっと横になって日向ぼっこをしている姿、よだれと土で薄ら汚れたテニスボールを、何度も何度も植木鉢の中に、くわえては落とす姿の愛らしさから、その人気と知名度が上昇。制作側は、偶然映ってしまっていたという状態から、ナイジェル人気のために、必ず映さなければ、という状態に。 2年前に、我が家のキッチンの拡張工事をしてくれた大工さんの名前がナイジェルでしたが、「ああ、モンティ・ドンの犬の名前と同じか」なんて思ったのを覚えています。こうした、ごく普通の人の名前を、犬の名前に付ける人がわりといますが、友人が、ある日、道を歩いていて、後ろから「デイブ!デイブ!」と呼ぶ声がする、周りには自分以外に人がいないし、「デイブ君」と勘違いされて、呼ばれているのか、と、とりえあえず、振り向いてみると、そばを走っていた犬の「デイブ」を呼んでいたのだとわかって、こけたようです。 「動物と子供と一緒にテレビに出るな、食われるから」と、よく言われますが、まさにその通りで、「ガーデナーズ・ワールド」を見ていて、ナイジェルが画面に登場しないと、「あれ?」って感じでした。一昨日の金曜日に、初めて、ナイジェルが死んでしまってからの放映があり、やっぱり、なんか物足りなく、うすらさびしいのですね、これが。番組の最後に公式に、ナイジェルは死にました、のアナウンスがあり、ちらっと、在りし日の姿を映しているのを見て、思わず、じわ...

西洋オキナグサ

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4月の日光を浴びて咲くこの花の、日本での俗名は翁草(オキナグサ)。花が終わった後の密集した種に、長い白い毛が付いて、風に吹かれている様子が、老人の白髪のようだというので、ついた名だそうです。葉も花びらも、柔らかな白い毛でおおわれています。少々うつむき加減でも、綺麗で、パッと目を引く紫の花は、老人という感覚より、おしゃれなボンネットをかぶった貴婦人が、はにかんでいるようで、コケティッシュな感じさえあります。 所変わって、イギリスでのこの花の俗名は、パスク・フラワー(pasque flower)。この「pasque」というのは、「イースターの」を意味する「paschal」という言葉から来ており、 イースター (復活祭)の時期に花開するために、こう呼ばれています。西洋オキナグサの、正式な ラテン語の学名 は、Pulsatilla vulgaris(プルサチラ・ヴァルガリス)。パスクフラワーで大体の場合は通っているので、学名で呼ぶ人はほとんどいませんが。ついでながら、イタリア語でイースターは、パスカ(Pasqua)。 西洋オキナグサは、もとは野生植物で、イギリスで一番美しい野生の花などとも言われます。もっとも、何をもって最も美しいとするかは、個人差があるでしょうが、野に咲いていたら目立つのは確かです。今ではイギリスで、野生のパスク・フラワーを見られる場所はごく限られていてしまっているようで、実際、私は庭園以外では見た事がありませんが、もし、野生で咲いているのを見られるとすれば、主に、 チルターン丘陵 、 コッツウォルズ 、イーストアングリアあたりの、チョーク層、石灰層の草原地帯だという事。ローマ人やデーン人(バイキング)が、戦闘で流した血がしみ込んだ土地から生えてくるという言い伝えがあるのだそうです。 我が家の西洋オキナグサは、去年の4月に購入したもの。多年草です。冬の間、葉は枯れて消えていたのが、早春に芽を吹き、今年もちゃんと、その名の通り、イースターに合わせて、先週末から咲いてくれました。去年植えた鉢で、そのまま、移し替えもせず、しかも、冬の間、あまりに乾燥している時に水をやった以外は、ほとんどなーんの手入れもしなかったのに。野生では、絶滅寸前、見られなくなっているのなら、せめて、我が家では、株を分けて、少しずつ増やしていきたいところ。今年は、ち...

ベス・チャトーのガーデン

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適材適所という言葉があります。それぞれの人間を、その人の気質・特徴にあった内容の仕事や役目につかせる、というような意味で良く使われていますが、愛想のいい明るい人なら、セールスや客商売、細部に気の届く、数字に強い人なら会計などの仕事・・・といった感じ。 植物にも、適材適所というのがあります。・・・というより、自然の成り行きで、砂漠では、水が無くても育つように進化したサボテンのような植物のみが生き残り、沼地では、ぐちゃぐちゃと湿った場所でも腐らないような体質を整えた植物ができあがった。ある条件の場所で生きていくために、それに見合う特徴を持った植物が成功するという意味で、適所適材と言った方が妥当かもしれません。 自然の世界ではそうであるものを、これを人が作った庭園となると、人間の手が入るため、好きだから、綺麗だから、と、ある種の植物を、その特徴に合わない場所に無理やり育てる、という事は多々あります。よって、育てる側は、場違いの植物が、ハッピーに育つような環境を人工的に作り上げねばならず、あの手この手で、面倒を見て、リラックスして楽しむための庭園に振り回され、疲れ果てるような事態も起こります。金があれば、庭師をやとえばいいでしょうが。 手間がかかるだけなら、個人の勝手で、まあいいですが、最近は、環境問題につながることもあります。以前、イギリスから移住した人たちが、オーストラリアでも、イギリスでのように エメラルドの芝生 を自分の庭に敷きつめ、乾燥した気候の中でも茶色くならないように、常にスプリンクラーで水やりをする必要があり、水不足に拍車をかけているという話を読んだことがあります。昨今、地球温暖化が騒がれる中、ますます、猛暑の夏を経験する国で、濡れるような芝生などと言うのは、植物の適所適材にまっこうから反抗するような感じです。こういう無理は、そろそろ、諦め時かもしれません。 エセックス州でイングランド最古の街として知られるコルチェスターの近く、エルムステッドマーケット(Elmstead Market)という場所に、有名なべス・チャトー・ガーデン(Beth Chatto Gardens)は、あります。 去年(2018年)に、94歳で亡くなった、園芸家のべス・チャトーは、ご主人と、1960年に、当時は、荒れ地であったこの場所を、開拓して庭園作りを開始...

フレッシュ・ミントティー

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ミントは消化にいいという事なので、ティーバッグのミントティーは、時折買って、食後に飲んだりしていました。最近は、カフェやレストランでも、ティーバッグで出した、ミントティーを含むハーブティーを出す店も増えています。健康志向ブームですから。 先日、地元の町で、夕食に、大好きなトルコ料理店へ出向き、美味しい小皿の料理をいくつも頼んで、たらふく平らげました。 こんなに食べた挙句の果てに、更にデザートメニューを頼み、デザートには、トルコの、パイ生地に入った甘いお菓子と、フレッシュ・ミントティーなるものを注文。親切なウェイトレスのお姉さんは、まず、お菓子は自分で焼いたと自慢して、お菓子のお皿と、ほくほく湯気の上がる、長い透明の耐熱ガラスのカップに入ったミントティーを目の前に並べてくれました。フレッシュというのは、ティーバッグではなく、3,4茎のミントが、そのまま入っているから。グラスのふちにレモン。そこに熱湯をがーっと注いだだけなのですが、これが、結構いけました。特に食後は、口に残った料理の味をきれいに流して爽やかな気分にもなれます。砂糖を入れずに飲んだので、甘いお菓子にもぴったり。お菓子と一緒でなければ、はちみつ入れても美味しいでしょうね。 うちの庭にも、夏季、ミントは雑草のように繁殖し、料理などに、使用したりはしているのですが、このトルコ料理店で出たフレッシュ・ミントは、うちの庭のものより、葉の形が丸く、お茶にした時の味も、ずっとまろやか。ウェイトレスのお姉さんに、どんなミントを使用してるのか聞くと、「普通のミントよ。トルコ総菜を売る店から仕入れてるの。うちのお母さんの庭にも、同じのが雑草みたいに沢山生えてるわ。」という事は、トルコの一般家庭の庭で雑草化するミントと、うちの庭で雑草化しているミントは、違う種類なのでしょう。お姉さん、続けていわく「ミントは脂肪を溶かすのよ。だから、私も必ず一日一回は、これ飲んでるの。」ミントが脂肪を溶かすというのは、ちょっと眉唾物ですが、爽快な飲み物であることには間違いありません。 さっそく、翌日、最寄りのスーパーで、レストランで出されたのと同じコーン形のガラスのカップを見つけ購入。最近、カフェなどでカフェ・ラテを頼むと、この形のカップで出される事が多く、ラテ・カップなどとラベルに書かれてありました。同じスーパー内で、ミン...

ナショナル・ガーデン・スキーム

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春も到来と、さっそく、ぽかぽかの昨日の日曜日、ガーデニング好きのお隣さんの車で、ナショナル・ガーデン・スキームで、一般公開されていた比較的近くの庭園へ出かけてきました。チューリップが見事な庭園だというので。さて、このナショナル・ガーデン・スキーム(National Garden Scheme)というのは、何ぞやというと・・・ 事の起こりは、1859年に遡り、リヴァプールに住んでいたとある実業家が、病気の妻を家で介護してもらえるようにと看護婦さんを雇った事。奥さんが亡くなった後、氏は、近所の貧しい人々の介護にあたってもらうため、その看護婦さんを雇い続け、やがては、リヴァプールの貧しい地域で活動できるような、看護婦のトレーニングと育成のための資金を集める。そして、時が経つこと1927年、当団体は、イギリス一般人のガーデン好きに目をつけて、綺麗な庭園の持ち主に、年に数回、ささやかな入場料を取り庭を公開することを呼びかけ、入場料と、内部で販売されたお茶やケーキなどの収益を、地方の看護婦養成などのための慈善に寄付するスキームを設立する事を考案し、ナショナル・ガーデン・スキームの始まりとなるのです。1年目、すでに、609の庭園が参加し、公開になったという事。イギリスの戦後、医療が無料となるナショナル・ヘルス・サービス(NHS)が設立されてからは、ナショナル・ガーデン・スキームは、地方看護婦の養成と援助のためというより、他の医療、健康関係の慈善団体に寄付をするスキームとして現在に至っています。 一般人としては、普段は開いていない庭園でお花を楽しんで、慈善にもなるという事で、春から秋にかけての恒例行事として、かなり成功しています。 このスキームに参加している庭は、まあ、ピンからキリまでで、大きな屋敷の大庭園もあれば、その辺の普通の家の綺麗な庭、なんてのもあります。庭自慢の人が、「私も参加したい」と申し出ることができるようになっているので。毎年、春になると、地域ごとに、どの庭園がいつオープンになっているかという小さなパンフレットなども発行され、私はお隣さんから、2週間ほど前にこのパンフレットを渡され、「行きたいところがあったら行こう」という話になっていたので、ちょっとした夏日となった昨日、家から車で15分ほどの庭園へお出かけとあいなりました。 訪れ...

イギリスでの菊しだれ桜の花見

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久しぶりに、ロンドンの日本の美容院に髪を切りに行くと、桜シーズンに日本に帰っていたという美容師さんが、「今年は桜が早く、梅と桜が一気咲きだったようです。」という話をしていました。 今年のイギリスは、冬の終わりが遅かったため、咲く機会を待っていた花たちの一気咲き。散歩に出るとさかんに、 ダファデル と プリムローズ が一緒に咲いている光景に出くわし、 前回の記事 で書いたチューリップもここぞと先揃い。前庭の椿などは、今頃咲き始めています。 一昨日は、いきなり、場所によっては27度という今年最高気温を達しました。そして、ついに、去年、イギリスの自分の庭で花見ができるようにと買った、菊しだれ桜の花がぼんぼりのような可愛いピンクの花を咲かせたのです。去年の冬の終わり、2歳くらいの菊しだれの苗をインターネットで購入。去年の春は、まだ若かったからか、各枝に少しずつしか花をつけなかったものの、今年は、結構豪華に咲いてくれました。ソメイヨシノなどに比べ開花は遅い桜です。それに、ちょっと寒めのイギリスだと、日本よりも更に遅くなるのでしょう。 こちらでも、わりと人気の桜で、ガーデンセンターなどでも「Prunus "Kiku-shidare-zakura"」として販売されているのを見かけます。ちなみに、桜って、バラ科(Rosaceae)の植物なのですよね。この「Prunus」は、桜の他にも、すもも、桃、ネクタリン、アプリコット、アーモンド等を含む属であるそうです。やはりバラ科のリンゴの木は、学名は「Malus」という属に入ります。 菊しだれ桜の木の、背の高さと幅は共に、2.5メートルから4メートルくらいと、比較的小柄なので、スペースがあまりない庭にもいい。まだ、最終的に庭のどこに植えるか決めていないので、ここ1年は、鉢で育てていますが、今のところ元気にしてくれています。去年の夏に、地面まで届いてしまった3,4本の長い枝の先を、切ったのですが、それもへっちゃらでした。場所的には、日当たりが良く、比較的風から守られている所に植えるのが良いようです。 本日も暖かいお日様の中、この菊しだれ桜のすぐ下に、ピクニックマットを敷いて、そこで腹ばいになって、試験勉強をしていましたが、気がつくと、こっくり、こっくり。庭を覗きに来た、近所のおばあちゃんが、「あ...