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8月, 2020の投稿を表示しています

イギリスのブルーチーズ買って!

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ずらっと並ぶスティルトン・チーズ(FT記事より) イギリスのEU圏離脱の移行期間が、今年(2020年)末で終わるにあたり、来年1月からの、新しい日英経済連携協定を結ぶための交渉に、先日、日本から茂木外務大臣が来英していました。日本側の一大関心事としては、日本からの車の輸出にかかる関税を、徐々に引き下げ2026年に撤廃する事に決定した模様。リズ・トラス(Liz Truss)国際貿易相との会合の後、協定内容はほぼ決まり、あとは、一部農産物に関しての細かい課題を解決するだけ・・・のような感じだったのですが、この残された課題とされるものが、アオカビチーズであるブルーチーズ、特にイギリス固有のスティルトン(Stilton)である、という記事が昨日、FT(ファイナンシャル・タイムズ)紙に掲載されていました。 (スティルトン・チーズに関して、詳しく知りたい方は、日本語のウィキペディアのページまで。 こちら 。) 2019年の2月に発行された、日本とEUの経済連携協定によると、日本からの車の輸出にかかる関税を段階的に引き下げ、最終的に撤廃する一方、同様に、ヨーロッパからのワイン、チーズ、肉類を含む一部農産物にかかる関税を、やはり段階的に引き下げ、撤廃する取り決めになっています。 上述のFTの記事によると、EUと日本の協定では、29%であったヨーロッパからの輸入のハード系チーズにかかる日本の関税を段階的に2033年までに撤廃、またブルーチーズや、ピザなどに使うモッツアレラ・チーズを含むソフト系チーズに関しては、関税割当にし、決められた枠内の量のみを、やはり2033年までに関税を0とするという内容であるそうです。イギリスとの新しい協定も、大枠は、対EUのものと同じ。ところが、リズ・トラス女史は、チーズ、特にスティルトンを代表とするイギリス産ブルーチーズに関しては、EU-日本間の取り決めより、好条件を出して欲しいと、日本から、更なる妥協を請求して、ふんばっているようなのです。 さらに、この記事によると、去年、イギリスは、1800万ポンド相当のブルーチーズ(主にスティルトン)を他国へ輸出し、日本に売ったものは、そのうちたったの、10万2千ポンド!そんな程度の金額では、昨今、イギリスで一軒家すら買えません。たとえ、今後、日本人が、関税が消えて、多少安くなったスティル

20世紀初頭に日本を訪れたイギリス人女性たち

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エラ・デュ・ケインによる日本庭園の水彩画 最近スコットランドに引っ越した日本人の友人が、スコットランドにある「カウデン・ガーデン(Cowden Garden)という日本庭園へ行ってきました」というメールを写真付きで送ってくれました。イギリス各地に、日本庭園なるものは造園されていて、比較的新しい物もあるので、いつ頃に作られたのか、と興味半分で、 当庭園のサイト をのぞいて、その歴史を読んでみたところ、これがなかなか、面白かったのです。 富裕な実業家の娘に生まれた、エラ・クリスティー(Ella Christie 1861-1949)という女性が、自分の所有するカウデン・キャッスル(Cowden Castle)という屋敷の土地に、大きな池を掘りおこし、日本庭園の造園を開始したのが1908年だというので、かなり古いものです。 冒険心のあった女性の様で、1904年から、ヨーロッパをはるか離れた、インド、チベット、セイロン、マレー半島などのエキゾチックな場所を旅行して歩き、1906年から1907年にかけて、ロシア、中国、韓国、そして日本を訪問するのです。庭園のウェッブサイトの情報によると、彼女が、京都に滞在中に泊まったホテルで、日本庭園に関する本を書く目的で日本を訪れていた、水彩画家のエラ・デュ・ケイン(Ella du Cane)と執筆を司る、彼女の姉のフローレンス・デュ・ケイン(Florence du Cane)という、イギリス人姉妹に遭遇するのです。1908年に出版された、この姉妹の本のタイトルは「The Flowers and Gardens of Japan」(日本の花と庭園)。 ここで少々脱線します。このデュ・ケイン(du Cane)という苗字、「どこかで聞いたことがあるなあ・・・」と、しばし考えると、私の住むエセックス州内の、グレート・ブラクステッド(Great Braxted)という小さい村にあるパブの名前が、「デュ・ケイン」だったと思いだしました。その前を、幾度か車で通過したことがあり、「パブにしては聞かない名前だな。」と、記憶に残っていたのでしょう。そこで、このデュ・ケイン姉妹の事を調べてみると、一家は、このグレート・ブラクステッドにある大きな古い屋敷、ブラクステッド・パークに住んでいたのです。よって、パブはかつて周辺に住んだ,この一族の

イギリスは動物愛護の国?山羊のミルク事件

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牛乳より体に良いという話で、うちでは、かなり前から、牛乳から山羊のミルクに切り替えていました。山羊のミルクを生産する主なブランドは、セント・ヘレンズと言う名の、イギリス北部のヨークシャー州にあるブランド。(この事は以前の記事にも書きました。 こちら 。)セント・ヘレンズのゴート・ミルクは、健康ブームで人気も上がっていたのか、我が家のある小さな町のスーパーでも簡単に手に入る商品でした。 コロナウィルスの影響によるロックダウンが始まってから、週に1回、大手スーパーであるテスコに宅配をしてもらっていますが、セント・ヘレンズの山羊のセミ・スキム・ミルクも毎週欠かさず2カートン購入。ところが、先週から、テスコのオンラインサイトに、「この商品の販売は中止になりました」のメッセージが出て、「なんでだろう」と思いながら、仕方なく、再び牛乳を購入することとなったのですが、この理由が、昨日聞いていたラジオでわかりました。 セント・ヘレンズのロゴは、草を口にくわえて、にこっとしている山羊さん。それは健康で、牧歌的なイメージをかもしだしています。きっと山羊さんたちは、ヨークシャーの草原で、緑の草を食みながら、のびのびと生活して、農家の人たちからきちんと面倒を見てもらっているんだろうな、と思わせるのです。それこそ、アルプスの少女 ハイジ の世界のような。ところがどっこい・・・・ セント・ヘレンズ・ファームは、ヨークシャーの、いくつかの複数の農場から山羊の乳を供給させて、商品としてのミルクやヨーグルト、チーズを加工製造しているのですが、その中のひとつの農場に、動物愛護活動家の一人が隠しカメラをもって潜入して、内部での山羊の残酷な取り扱いを暴露。 そのビデオを見ると、農場の労働者たちは、山羊を蹴ったり叩いたり、耳でひきずったり、首を絞めつけて拘束したり、ひづめを短く切るのに、手荒く投げ飛ばしたりと、それはひどい扱い。まるで山羊の拷問所。外でのびのび、どころか、ずっと納屋の内部で飼育され、戸外での生活と違い、自然にひずめがすれる事もないため、定期的にひずめを切るという必要があるのだそうで。また、ミルクを出すために、絶えず妊娠出産を繰り返す必要があり、生まれた子やぎを荒々しく親からもぎ取り、柵のむこうに放り投げる様子もビデオに収まっていました。オスの子ヤギは役立たずなので殺さ