エセックスウェイを歩いた夏
はや、秋分の日です。この夏を振り返り、一番頭に残り、後の記憶にも残りそうなのが、エセックスウェイ(Essex Way)を完歩した夏・・・だという事でしょうか。EU離脱の国民投票が行われた夏だという事を除けば。
イギリスには、全国つづうらうら、パブリック・フットパス(Public Footpath)なる歩行者が通る権利のあるハイキング道が張り巡らされており、時に農家の畑、私有地の只中、丘の上、森林の中、海岸線などを通り、基本的に、土地の持ち主は、パブリック・フットパスが自分の土地を通っている限り、法に従い、人がそこを歩くことを容認することになっています。そんなフットパスをつなげて作られた、名前のついた長距離ハイキング路(Long Distance Trails)も、イギリス内、いくつもあります。
Essex Wayは、その名のとおり、エセックス州を縦断する長距離ハイキング路。エセックス州は、いわゆるホーム・カウンティー(Home County、東京の首都圏のようなもの)のひとつで、ロンドンに隣接する州。ロンドン内では比較的ガラの悪い東ロンドンに隣接しているため、一般的評判はよろしくないのです。エセックス・ガールとかエセックス・マンなどと言うと、品の悪いねーちゃん、にーちゃんの代名詞の様に使われ、笑いの種にされ。
私は、エセックスの住人ですが、一部の、本当にガラの悪く近寄りたくない場所を除けば、以前、色々、当ブログにも紹介したように、素敵な場所も多々あるのです。このいまいちの評判のため、わざわざ他の州からエセックスに観光に来る人や、歩きに来る人はあまりいません。
エセックスに住み始めてから、長らく、私は、このエセックスウェイを、端から端まで歩いてみたかったのですが、だんなは、今一つ興味を見せなかった上、波長の合う、良いウォーキングの相棒も見つからず、今日に至っていました。途中のあちらこちらは、部分的に歩いたことがある場所もあり、通過する村のいくつかも訪れた事はあるのですが、最初から、最後まで、すべて、どんなものだか歩いてみる・・・となると、やはり気合が違います。
たまたま、近くに、やはり歩くのが好きな日本人の主婦友達が見つかり、彼女と、それじゃー、やってみよー、と意気投合。南はロンドンの地下鉄が走るエッピング駅を出発し、北はオランダへのフェリーが出る港町ハリッジまで、約81マイルの道。当然、一挙にやるような強行軍ではなく、景色を楽しみながら、のんびりと10回に切って行いました。出発のエッピングの地下鉄駅を出たのが6月初め、終点のハリッジで、ここにてエセックスウェイは終わると書かれたプラークの前で記念写真を撮ったのが8月の終わり。写真を整理して見返してみると、3か月の間の季節の移ろいで、野原や畑の植物や作物の変化もわかります。途中数多くの教会と小さな集落や村を抜け。
当然、出発地点と、終わり地点の場所が違うので、毎回、バス、電車の時刻表確認は必至。特にバスしか走っていないような場所では、バス停の確認と、一日に4回くらいしかないバスの場合は、乗り過ごさないよう要注意でしたが、それはそれで、珍道中ぶりに味をつけ、いい思い出となっています。双方、スマホも持たぬ超アナログ人間。道に迷ったら、地図とコンパスと、他人に道を聞くことで難を逃れ。2人で写真を撮りたいときは、カメラに3脚をつけ、10秒以内に走ってポーズ。毎回、水ボトルとサンドイッチのお昼をリックサックに詰め。
ここに、各区間の私なりのハイライトと、気に入った風景の写真を載せておきます。外国からわざわざエセックスウェイを歩くためにやって来る人は、まずいないでしょうから、興味のない人も多いかもしれませんが、私の個人的記録と思い出にしたためておきます。
エセックス州の花はポピー(ケシの花)。よって、エセックスウェイの道しるべには、赤い2輪のポピーが描かれています。この道しるべを追って、レッツゴー!
パート1 6月前半
エッピング(Epping)からオンガー(Ongar)
この写真は、青々とした小麦を見ながら、第一回目のピクニック・ランチをした記念の場所。
通った森の中には、野生化した紫のシャクナゲが沢山咲いており。
エセックスは一般に平らな土地、という観念が強いのですが、それなりにアップダウンはあります。この頃は、まだ菜の花もちらほら咲いていましたね。
最後の方で、春先にも一度訪れた、グリーンステッドの世界最古の木造教会に再会。中で一休みしました。
パート2 6月後半
オンガー(Ongar)からウィリンゲール(Willingale)
出発点のオンガーの目抜き通り。ここでバスを降り、歩き始めます。
この区間は、非常に長いグリーンレーン(生垣と木で両側を覆われたフットパスの総称)があり、日がほとんど当たらないのも手伝い、内部はぐちゃぐちゃにぬかるみ、途中一部、まるで小川の様になっていました。ここを歩いている途中、ふやけた友人の靴の底が剥げてしまい、大笑い。
ちょっとユニークな藁ぶき屋根のキャラバン・ハウス(移動住宅)。
靴底はがれ事件により、予定より区間を短くし、敷地内2つの教会があることで知られるウィリンゲールの村でバスに乗り帰りました。
パート3 7月前半
ウィリンゲール(Willingale)からグレート・ウォルサム(Great Waltham)
グレート・イースター(Great Easter)という村へ向かう途中の、実り始めた小麦畑を通るこの道が、印象に残っています。コッペパンの様な雲もいい。
グレート・イースターは、かつて、村人たちが、ギネスブックにも載る、世界で一番長い2・12キロメートルのデイジー・チェーン(ひな菊の花輪)を作ったことが、村の名声であり、誇りのようです。村のサイン(Village Sign)にも、堂々とこのデイジー・チェーンのモチーフが使われています。
旅路の最後の方で見たサイクリスト。道路を横切って流れている浅瀬にむかって、高速で降りてきました。彼が水をバシャーンとはじかせる瞬間のシャッターチャンスは逃したのですが。
この日は、前回の遅れを取り戻すため、かなり長距離を歩きました。友人は、強力な接着剤を使い、靴底をはりつけ修繕してあったので、以後、再び底が剥がれることもありませんでした。
パート4 7月中盤
グレート・ウォルサム(Great Waltham)からターリン(Terling)
唯一、雨の中を歩いたコース。前半は、お天気も良く爽快。出だして見た立派なお屋敷は、ラングリーズ(Langleys)。
リトル・リー(Little Leigh)の教会の外のベンチでランチ。全行程で一番気に入ったランチスポットでした。教会の写真を撮るときに、2人のサイクリストが到着。「僕たち入ったら、写真の邪魔?」などと聞かれたけれど、カラフルな色が入り、写真はずっと良くなったと思ってます。
可愛らしいこのコテージを越えたあたりから、雲行き怪しくなってきて、しかも、2人して、一面ぬかるみの草地に踏み込み、ずぶずぶと足首まで浸水。靴の中まで水浸しで靴下びちゃびちゃという災難にも降りかかられ、
グレート・リー(Great Leigh)の、おとぎ話に出てきそうな円形タワーがある教会のポーチで、靴下を絞って、雨宿り。
途中、Essex Wayと書かれた電話ボックスを発見。中には、周辺の地図が貼ってあり、エセックスウェイの情報を載せた小冊子が置かれています。
あまりにも、濡れた靴下が気持ち悪く、雨が降ったりやんだりと続くので、ついに、予定より短めにし、だんなタクシーに拾ってもらいました。雨降り、ぬかるみにかかわらず、私も友人も、このコースが一番よかったね、などと後から感想。
パート5 7月中盤
ターリン(Terling)からブラッドウェル(Bradwell)
以前にも何回か訪れた事があるフェアステッド(Fairstead)教会は、エセックスの中でも私のお気に入りの教会のひとつです。
フェアステッド教会は、そのたたづまいも好きですし、内部には、壁画も残っています。
道中歩行者用の橋で横切った、ブレイン川(River Brain)の風情もよろしく。
ぶーちゃんたちが、くつろぐ姿を眺め。
・・・と、前半は非常に楽しかったのに、
後半、2つの農家を通り、1件目の農家の脇で、野放しで飼っていた小さいが非常に攻撃的な犬3匹に、わんわんきゃんきゃん囲まれ、しまいに、ズボンの端まで噛まれるというハプニング。2件目では、農家の意地悪じーさんが、トラクターから降りてきて、「お前らどこを歩いてるんだ!道を外れてるぞ!歩いてるやつらが多すぎてうんざりだ!」と怒鳴りかかってきて、非常に不快な気分。周りを見渡す限り、私たちの他に人っ子一人いない上、私たちが歩いていたのは、作物が育ててある場所からかなり外れた畑のへり。
一般的に、農家には、パブリック・フットパスが自分の土地を走っているのが面白くない人が多く、できる限り、人が歩かないようにする努力(?)をしている人が多いのです。犬を野放しにするのもそうなら、わざと、道しるべを倒してわからないようにするのもそう。このじーさんの土地内も、道しるべがほとんど見当たらずに、方向感覚を失ったのです。おそらく、抜き取るか蹴倒すかしたのでしょう。別に作物の生えている部分を歩いていたわけでもないのに、大変な剣幕でした。おかげで、嫌な気分で、ウォークを終えました。もっとも、農家の人でも理解ある人も多く、全行程中、出くわしたのは、ほとんど気持ちの良い人たちばかりで、嫌な奴は、この意地悪じーさんだけだったのですが。
二人とも、あまりに動揺したため、予定より短めに切り、古いブラッドウェルの教会で、また、だんなタクシーに拾ってもらいました。半分、人間不信になりかけていたところ、教会敷地内に座って車を待っていた間、芝を刈っていたおじさんが、「どうしたの?道に迷った?」と親切に聞いてきてくれ、冷めた心が少し暖かくなったのです。この教会にも壁画があるという話なのですが、過去何度か訪れ、ドアが開いているのを見たことは、残念ながらありません。
パート6 7月後半
ブラッドウェル(Bradwell)からグレートテイ(Great Tey)
歩きだしてすぐ、たくさんのアルパカがいました。興味深そうに、通過する私たちをジロジロ。
途中通過した村コグシャル(Coggeshall)は、観光のために訪れても見どころ多く楽しい村です。直売はちみつを買った、グレンジ・バーンがあるのもこの村。
ここの思い出は、何といっても、一面、青い湖のごとく咲いていたエキウム・ブルガレ。コグシャルを通過してすぐに、A120という車びゅんびゅんの道路を渡る必要があったのですが、恐れおののきながらも、タイミングを見計らって、なんとか渡ったあと、しばらく歩いて巡り合った風景。怖い思いをした甲斐があった!
この日の終地点、グレート・テイ(Great Tey)の教会の塔は、城の様な貫禄。
パート7 8月前半
グレートテイ(Great Tey)からグレートホークスリー(Great Horkesley )
このコース、最初の方は、過去も何回か歩いたことがある、のどかなコーン川(River Colne)のほとり。いつ見ても心がのびのびする風景です。
牛も羊も数多く、野原に放牧されており。
畑で収獲が盛んに行われているのを見たのはこのコース。まだ収穫が済んでいない場所の小麦の穂は、茶色く重く。
パート8 8月中盤
グレートホークスリー(Great Horkesley)からマニンツリー(Manningtree)
いよいよ、コンスタブルカントリーに突入。コンスタブルの絵の様な景色も眺め。
コンスタブルが学校へ通ったゆかりの村、デダム(Dedham)も通過。
丘を上がったり下がったり。一番起伏が多かったコースです。この辺りで、暑い太陽の下、馬糞が燃えているのを見ました。
パート9 8月後半
マニンツリー(Manningtree)からラブネス(Wrabness)
北のサフォーク州との境界線を形作るスタワー川(River Stour)。この河口へと向かい、東へ歩くこのコース、パート4と良い線で、一番のお気に入りのコースを競えます。
途中、ミストリー(Mistley)で、ミストリー・タワーズ( Mistley Towers)なる2つの塔に出くわします。これはかつて、著名建築家ロバート・アダムズ設計の、新古典主義スタイルのたいそう立派な教会であったそうですが、今残るのは、この2つの塔のみ。
干し草が転がる畑の斜面から望むスタワー川。
河口に近づき、川幅の広くなってきたスタワー川のこの景色、ヴェニスみたい。
この日の最終地点は、ラブネスの教会。檻のような建物に収まっているのは教会の鐘。
パート10 8月後半
ラブネス(Wrabness)からハリッジ(Harwich)
ラブネスの駅からの道の途中に、時に女装をして登場する、エセックス出身のアーティスト、グレイソン・ペリー(Grayson Perry)が設計した金色の屋根の家が、終点地ハリッジのクレーンを背景に輝いていました。去年建てられたばかりで、考案、設計、建築の過程のドキュメンタリーをテレビで見たのを覚えています。今は、ホリデーホームとして借りられるようです。
このコースは全体的に、あまり日影がなく、8月の終わりの暑い日に、じりじり焼かれながら歩きました。
干からびた景色の中、まだ果敢に咲いていた一輪のポピー。
海岸線にたどり着き、南側を見ると、やはり先月訪れた、ウォルトン・オン・ザ・ネイズにあるネイズ・タワーがかすかに見え。あの時は、タワーの上から、こちらの風景を眺めたのでした。
あとはひたすら、ハリッジの港に並ぶクレーンを目的に歩くのみ。ちょっとした海水浴を楽しむ人たちも沢山いました。
Here ends the Essex Way, 81 footpath miles from Epping
この地点にて、エッピングから81マイルのフットパスである、エセックス・ウェイは終わる
のプラークを見て、「おお、ついに、着いた」と感無量。
このプラークのついている、ハリッジのレンガの灯台(High Lighthouse)で、やったー!あ、ちょちょんがちょん、ちょちょんがちょん、お疲れ様でした!パチパチ。
イギリスには、全国つづうらうら、パブリック・フットパス(Public Footpath)なる歩行者が通る権利のあるハイキング道が張り巡らされており、時に農家の畑、私有地の只中、丘の上、森林の中、海岸線などを通り、基本的に、土地の持ち主は、パブリック・フットパスが自分の土地を通っている限り、法に従い、人がそこを歩くことを容認することになっています。そんなフットパスをつなげて作られた、名前のついた長距離ハイキング路(Long Distance Trails)も、イギリス内、いくつもあります。
Essex Wayは、その名のとおり、エセックス州を縦断する長距離ハイキング路。エセックス州は、いわゆるホーム・カウンティー(Home County、東京の首都圏のようなもの)のひとつで、ロンドンに隣接する州。ロンドン内では比較的ガラの悪い東ロンドンに隣接しているため、一般的評判はよろしくないのです。エセックス・ガールとかエセックス・マンなどと言うと、品の悪いねーちゃん、にーちゃんの代名詞の様に使われ、笑いの種にされ。
私は、エセックスの住人ですが、一部の、本当にガラの悪く近寄りたくない場所を除けば、以前、色々、当ブログにも紹介したように、素敵な場所も多々あるのです。このいまいちの評判のため、わざわざ他の州からエセックスに観光に来る人や、歩きに来る人はあまりいません。
エセックスに住み始めてから、長らく、私は、このエセックスウェイを、端から端まで歩いてみたかったのですが、だんなは、今一つ興味を見せなかった上、波長の合う、良いウォーキングの相棒も見つからず、今日に至っていました。途中のあちらこちらは、部分的に歩いたことがある場所もあり、通過する村のいくつかも訪れた事はあるのですが、最初から、最後まで、すべて、どんなものだか歩いてみる・・・となると、やはり気合が違います。
たまたま、近くに、やはり歩くのが好きな日本人の主婦友達が見つかり、彼女と、それじゃー、やってみよー、と意気投合。南はロンドンの地下鉄が走るエッピング駅を出発し、北はオランダへのフェリーが出る港町ハリッジまで、約81マイルの道。当然、一挙にやるような強行軍ではなく、景色を楽しみながら、のんびりと10回に切って行いました。出発のエッピングの地下鉄駅を出たのが6月初め、終点のハリッジで、ここにてエセックスウェイは終わると書かれたプラークの前で記念写真を撮ったのが8月の終わり。写真を整理して見返してみると、3か月の間の季節の移ろいで、野原や畑の植物や作物の変化もわかります。途中数多くの教会と小さな集落や村を抜け。
当然、出発地点と、終わり地点の場所が違うので、毎回、バス、電車の時刻表確認は必至。特にバスしか走っていないような場所では、バス停の確認と、一日に4回くらいしかないバスの場合は、乗り過ごさないよう要注意でしたが、それはそれで、珍道中ぶりに味をつけ、いい思い出となっています。双方、スマホも持たぬ超アナログ人間。道に迷ったら、地図とコンパスと、他人に道を聞くことで難を逃れ。2人で写真を撮りたいときは、カメラに3脚をつけ、10秒以内に走ってポーズ。毎回、水ボトルとサンドイッチのお昼をリックサックに詰め。
ここに、各区間の私なりのハイライトと、気に入った風景の写真を載せておきます。外国からわざわざエセックスウェイを歩くためにやって来る人は、まずいないでしょうから、興味のない人も多いかもしれませんが、私の個人的記録と思い出にしたためておきます。
エセックス州の花はポピー(ケシの花)。よって、エセックスウェイの道しるべには、赤い2輪のポピーが描かれています。この道しるべを追って、レッツゴー!
パート1 6月前半
エッピング(Epping)からオンガー(Ongar)
この写真は、青々とした小麦を見ながら、第一回目のピクニック・ランチをした記念の場所。
通った森の中には、野生化した紫のシャクナゲが沢山咲いており。
エセックスは一般に平らな土地、という観念が強いのですが、それなりにアップダウンはあります。この頃は、まだ菜の花もちらほら咲いていましたね。
最後の方で、春先にも一度訪れた、グリーンステッドの世界最古の木造教会に再会。中で一休みしました。
パート2 6月後半
オンガー(Ongar)からウィリンゲール(Willingale)
出発点のオンガーの目抜き通り。ここでバスを降り、歩き始めます。
この区間は、非常に長いグリーンレーン(生垣と木で両側を覆われたフットパスの総称)があり、日がほとんど当たらないのも手伝い、内部はぐちゃぐちゃにぬかるみ、途中一部、まるで小川の様になっていました。ここを歩いている途中、ふやけた友人の靴の底が剥げてしまい、大笑い。
ちょっとユニークな藁ぶき屋根のキャラバン・ハウス(移動住宅)。
靴底はがれ事件により、予定より区間を短くし、敷地内2つの教会があることで知られるウィリンゲールの村でバスに乗り帰りました。
パート3 7月前半
ウィリンゲール(Willingale)からグレート・ウォルサム(Great Waltham)
グレート・イースター(Great Easter)という村へ向かう途中の、実り始めた小麦畑を通るこの道が、印象に残っています。コッペパンの様な雲もいい。
グレート・イースターは、かつて、村人たちが、ギネスブックにも載る、世界で一番長い2・12キロメートルのデイジー・チェーン(ひな菊の花輪)を作ったことが、村の名声であり、誇りのようです。村のサイン(Village Sign)にも、堂々とこのデイジー・チェーンのモチーフが使われています。
旅路の最後の方で見たサイクリスト。道路を横切って流れている浅瀬にむかって、高速で降りてきました。彼が水をバシャーンとはじかせる瞬間のシャッターチャンスは逃したのですが。
この日は、前回の遅れを取り戻すため、かなり長距離を歩きました。友人は、強力な接着剤を使い、靴底をはりつけ修繕してあったので、以後、再び底が剥がれることもありませんでした。
パート4 7月中盤
グレート・ウォルサム(Great Waltham)からターリン(Terling)
唯一、雨の中を歩いたコース。前半は、お天気も良く爽快。出だして見た立派なお屋敷は、ラングリーズ(Langleys)。
リトル・リー(Little Leigh)の教会の外のベンチでランチ。全行程で一番気に入ったランチスポットでした。教会の写真を撮るときに、2人のサイクリストが到着。「僕たち入ったら、写真の邪魔?」などと聞かれたけれど、カラフルな色が入り、写真はずっと良くなったと思ってます。
可愛らしいこのコテージを越えたあたりから、雲行き怪しくなってきて、しかも、2人して、一面ぬかるみの草地に踏み込み、ずぶずぶと足首まで浸水。靴の中まで水浸しで靴下びちゃびちゃという災難にも降りかかられ、
グレート・リー(Great Leigh)の、おとぎ話に出てきそうな円形タワーがある教会のポーチで、靴下を絞って、雨宿り。
途中、Essex Wayと書かれた電話ボックスを発見。中には、周辺の地図が貼ってあり、エセックスウェイの情報を載せた小冊子が置かれています。
あまりにも、濡れた靴下が気持ち悪く、雨が降ったりやんだりと続くので、ついに、予定より短めにし、だんなタクシーに拾ってもらいました。雨降り、ぬかるみにかかわらず、私も友人も、このコースが一番よかったね、などと後から感想。
パート5 7月中盤
ターリン(Terling)からブラッドウェル(Bradwell)
以前にも何回か訪れた事があるフェアステッド(Fairstead)教会は、エセックスの中でも私のお気に入りの教会のひとつです。
フェアステッド教会は、そのたたづまいも好きですし、内部には、壁画も残っています。
道中歩行者用の橋で横切った、ブレイン川(River Brain)の風情もよろしく。
ぶーちゃんたちが、くつろぐ姿を眺め。
・・・と、前半は非常に楽しかったのに、
後半、2つの農家を通り、1件目の農家の脇で、野放しで飼っていた小さいが非常に攻撃的な犬3匹に、わんわんきゃんきゃん囲まれ、しまいに、ズボンの端まで噛まれるというハプニング。2件目では、農家の意地悪じーさんが、トラクターから降りてきて、「お前らどこを歩いてるんだ!道を外れてるぞ!歩いてるやつらが多すぎてうんざりだ!」と怒鳴りかかってきて、非常に不快な気分。周りを見渡す限り、私たちの他に人っ子一人いない上、私たちが歩いていたのは、作物が育ててある場所からかなり外れた畑のへり。
一般的に、農家には、パブリック・フットパスが自分の土地を走っているのが面白くない人が多く、できる限り、人が歩かないようにする努力(?)をしている人が多いのです。犬を野放しにするのもそうなら、わざと、道しるべを倒してわからないようにするのもそう。このじーさんの土地内も、道しるべがほとんど見当たらずに、方向感覚を失ったのです。おそらく、抜き取るか蹴倒すかしたのでしょう。別に作物の生えている部分を歩いていたわけでもないのに、大変な剣幕でした。おかげで、嫌な気分で、ウォークを終えました。もっとも、農家の人でも理解ある人も多く、全行程中、出くわしたのは、ほとんど気持ちの良い人たちばかりで、嫌な奴は、この意地悪じーさんだけだったのですが。
二人とも、あまりに動揺したため、予定より短めに切り、古いブラッドウェルの教会で、また、だんなタクシーに拾ってもらいました。半分、人間不信になりかけていたところ、教会敷地内に座って車を待っていた間、芝を刈っていたおじさんが、「どうしたの?道に迷った?」と親切に聞いてきてくれ、冷めた心が少し暖かくなったのです。この教会にも壁画があるという話なのですが、過去何度か訪れ、ドアが開いているのを見たことは、残念ながらありません。
パート6 7月後半
ブラッドウェル(Bradwell)からグレートテイ(Great Tey)
歩きだしてすぐ、たくさんのアルパカがいました。興味深そうに、通過する私たちをジロジロ。
途中通過した村コグシャル(Coggeshall)は、観光のために訪れても見どころ多く楽しい村です。直売はちみつを買った、グレンジ・バーンがあるのもこの村。
ここの思い出は、何といっても、一面、青い湖のごとく咲いていたエキウム・ブルガレ。コグシャルを通過してすぐに、A120という車びゅんびゅんの道路を渡る必要があったのですが、恐れおののきながらも、タイミングを見計らって、なんとか渡ったあと、しばらく歩いて巡り合った風景。怖い思いをした甲斐があった!
この日の終地点、グレート・テイ(Great Tey)の教会の塔は、城の様な貫禄。
パート7 8月前半
グレートテイ(Great Tey)からグレートホークスリー(Great Horkesley )
このコース、最初の方は、過去も何回か歩いたことがある、のどかなコーン川(River Colne)のほとり。いつ見ても心がのびのびする風景です。
牛も羊も数多く、野原に放牧されており。
畑で収獲が盛んに行われているのを見たのはこのコース。まだ収穫が済んでいない場所の小麦の穂は、茶色く重く。
パート8 8月中盤
グレートホークスリー(Great Horkesley)からマニンツリー(Manningtree)
いよいよ、コンスタブルカントリーに突入。コンスタブルの絵の様な景色も眺め。
コンスタブルが学校へ通ったゆかりの村、デダム(Dedham)も通過。
丘を上がったり下がったり。一番起伏が多かったコースです。この辺りで、暑い太陽の下、馬糞が燃えているのを見ました。
パート9 8月後半
マニンツリー(Manningtree)からラブネス(Wrabness)
北のサフォーク州との境界線を形作るスタワー川(River Stour)。この河口へと向かい、東へ歩くこのコース、パート4と良い線で、一番のお気に入りのコースを競えます。
途中、ミストリー(Mistley)で、ミストリー・タワーズ( Mistley Towers)なる2つの塔に出くわします。これはかつて、著名建築家ロバート・アダムズ設計の、新古典主義スタイルのたいそう立派な教会であったそうですが、今残るのは、この2つの塔のみ。
干し草が転がる畑の斜面から望むスタワー川。
河口に近づき、川幅の広くなってきたスタワー川のこの景色、ヴェニスみたい。
この日の最終地点は、ラブネスの教会。檻のような建物に収まっているのは教会の鐘。
パート10 8月後半
ラブネス(Wrabness)からハリッジ(Harwich)
ラブネスの駅からの道の途中に、時に女装をして登場する、エセックス出身のアーティスト、グレイソン・ペリー(Grayson Perry)が設計した金色の屋根の家が、終点地ハリッジのクレーンを背景に輝いていました。去年建てられたばかりで、考案、設計、建築の過程のドキュメンタリーをテレビで見たのを覚えています。今は、ホリデーホームとして借りられるようです。
このコースは全体的に、あまり日影がなく、8月の終わりの暑い日に、じりじり焼かれながら歩きました。
干からびた景色の中、まだ果敢に咲いていた一輪のポピー。
海岸線にたどり着き、南側を見ると、やはり先月訪れた、ウォルトン・オン・ザ・ネイズにあるネイズ・タワーがかすかに見え。あの時は、タワーの上から、こちらの風景を眺めたのでした。
あとはひたすら、ハリッジの港に並ぶクレーンを目的に歩くのみ。ちょっとした海水浴を楽しむ人たちも沢山いました。
Here ends the Essex Way, 81 footpath miles from Epping
この地点にて、エッピングから81マイルのフットパスである、エセックス・ウェイは終わる
のプラークを見て、「おお、ついに、着いた」と感無量。
このプラークのついている、ハリッジのレンガの灯台(High Lighthouse)で、やったー!あ、ちょちょんがちょん、ちょちょんがちょん、お疲れ様でした!パチパチ。
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