ハチミツ直売

昨日の8月3日は、日本ではハチミツの日だったのだそうですね。8と3で「ハチミツ」か~。というわけで、本日は、それにちなんで、最近買ったハチミツを話題にします。

ミツバチ、マルハナバチなどの、農作物、果実の受粉に必要な蜂の数が減少し、その将来が心配されていることから、色々、ハチたちの生存を助ける努力が促されてきています。そのせいもあってか、個人や団体でミツバチを飼うという人の数も増えているようです。田舎はもちろん、都会でもルーフテラスなどに巣を設置し、ついでに、ハチミツもいただき、という美味しい事をしている人のニュースも良く耳にします。

先日訪れた、ナショナルトラスト所有の古い木造納屋(Coggeshall Grange Barn、コグシャル・グレンジ・バーン)で、敷地内に蜂の巣を設置して、ハチミツを集め、それを瓶詰にして、納屋内で直売していました。実際に見た蜂たちと蜂の巣から取れたハチミツとなると、なんとなく、それだけで、スーパーに並ぶものより、ずっと魅力的な気がして、土産に購入。レジのお姉さんは、「巣はもう見てきた?これは、今朝、あの巣から集めたばかりよ。」と言っており、それが、さらに魅力度を上げる事となりました。彼女によると、ハチミツに結晶ができて、硬くなってしまったときは、オブンに瓶ごと、ほんの短時間つっこめば、味を損ねることなく、またトロッとなると言うのですが、本当でしょうか。試していないのでわかりません。いずれにせよ、瓶をリックサックに突っ込み、ほくほくの焼きたてトーストにバターを塗って、これをトロリとかけて食べるところを想像し、よだれしました。

ちなみに、エセックス州の可愛い村コグシャルにある、このグレンジ・バーンは、13世紀に遡る、近辺にあった修道院の穀物を貯蔵していた巨大納屋。やはりエセックス州のクレッシング・テンプルの納屋と似た感じです。

上記の通り、ナショナルトラストにより所有管理され、内部の見学もできます。蜂の巣が設置されていたのは、この納屋の向かい側。

産地直売など、消費者が生産の過程を見る事ができる産物は、消費者側には安心感と、自分の払った金がどこに行くか(私の場合はナショナルトラスト)がわかるという満足感を与え、生産者側には、第3者が入らない分収入が上がるという利点があります。また、第3者が入らないからと、思いっきり値を下げずとも、消費者にとって魅力的な商品である分、値段がさほど低くなくても売れる、という効果もあるでしょう。私の購入したものは、227グラムで3ポンド50でしたから、決して安くはないですから。この場合は、特に、ナショナルトラストがイギリスの自然美と由緒ある建物を維持するチャリティーであり、誰かの私腹を肥やすための物でない、というのも、「ちょっと高くてもいいや」と思える理由となっています。

直売と言うと、ハチミツ以外でも、庭に果物のある家の前には、時にプラムやリンゴなどの果物が袋に入れられ小テーブルに並べられ、1袋50ペンスとか1ポンドとかのささやかな値段をつけて売っているのを見かけたりします。大体の場合、田舎家の前に置かれ、番をしている人もいませんので、備え付けてある正直箱や瓶に、コインを落とすようになっています。上の写真のプラムは、去年、近所の人と近郊をハイキングに出たとき、古めかしい田舎家の前で見たものですが、彼女は、「歩きながら食べよう」と一袋購入。約3時間後、帰途に同じ場所を通ったら、お金はしっかり回収してあり、置かれてあるプラムの数も増えていました。放置してあるようで、一応、時々チェックして管理してたんですね、ここの家の人。商品補給まで、定期的にやっているのですから。彼女は、「ジャム作るから」とさらに2袋購入し、良いお客さんとなっていました。

ニワトリを飼っているような家には、卵を売っているところもあり。また、気前のいい人が、籠いっぱいのリンゴを家の前において、「無料。自由に食べてください。」と書かれているのも見かけたことがあります。腐るより、誰かに食べてもらった方が良いというわけでしょう。

さて再び、蜂の話に戻りますが、蜂の数の減少、蜂群崩壊症候群の原因のひとつではないかとされている農薬ネオニコチノイドがEUにより、使用禁止となっていますが、このため、イギリスの菜の花畑は、キャベツ系の植物に害を与える甲虫の害が増え、収穫に影が差しているという報道が伝えられています。コグシャルの周辺の農地も春には、菜の花で真っ黄色となり、私の見学した巣箱の蜂たちも、さかんに、この蜜を集めていた事でしょうが。これを背景に、イギリスの農業協会は、政府に、ネオニコチノイドの禁止の撤回を要請しているようですが、いまのところ政府は、この農家の圧力に対して踏みとどまっています(関連記事はこちら)。ネオニコチノイドが、実際にどれだけ、現在の蜂の危機に関係があるかは、科学者によっても意見が違うところも多く、禁止の是非については論議を呼ぶところです。こんな農薬の規制なども、ブレグジット(イギリスEU離脱)の後は、緩和されてしまうかもしれませんが。

コメント