労働者のいないハーベスト
藁を四角にまとめ落としていくベーラー |
昔は、小麦(wheat)、大麦( barley)、エンバク( oats)の穀物を収穫する、ハーベストの時期というと、村の人間は総出の上、季節労働者なども雇い、小麦畑の中は人がいっぱいで、にぎやかだったのでしょう。穀物を刈って、束ねて、乾かすために積み上げて、その後、乾いたものを少しずつ脱穀。刈った小麦の積み上げ方は、地方によって色々バリエーションがあったようです。老いも若きもで、小さな子供なども、労働者のためのお昼やおやつ、飲み物などを運ぶのを手伝い。
人がいっぱいの昔の収穫風景 |
収獲のための刈り込み機械(reaper)がパトリック・べルにより、スコットランドで発明されたのは、1828年ですが、なかなか、一般的に使われるようにはならず、1851年、アメリカの会社によって、これをデザインし直したものが、ロンドンの大英博覧会に展示され、話題を呼ぶこととなります。それでも、高価であったため、一年に一回のみ使用するもののために、これを購入する農家はまだ少なく、しばらくは、収穫は、昔ながらの多くの労働者を雇っての一大共同労働。ハーベスト期に人手を確保するために、各農家、給料をはずんだようですし、全員に、食料飲み物も提供したので、最終的には、全給料が機械1台の値段とそれほど違わないか、それより高くつく場合などもあったと言います。1860年代以降、刈り込み機を購入する農家も少しずつ増えていったようで、収穫に必要となる人員も下降を辿ることになります。
「大きな森の小さな家」脱穀風景のガース・ウィリアムズによる挿絵 |
機械化の過程で職を無くした人間は、他の生きる術を探す事を余儀なくされたわけですが、その一方、農業の効率はぐんと上がり、コストが減り、収獲も増え、最終的にはパンや野菜などの食べ物の値段が下がり、一般市民には好結果となるわけです。まあ、これは、農業だけに限らず、現代人の便利な生活を可能にした、産業革命すべての面に当てはまることでしょうが。
収穫が行われている小麦畑 |
小麦の収穫をするコンバイン |
ついでに、
こちらが、今年の4月の風景。小麦はまだ緑の芝のよう。
こちら、同じ場所で、8月の収穫後。
まだ刈っていない小麦畑の真ん中を抜けるフットパスも辿り歩きました。1週間以内には、ここも、収穫がおわっているかもしれません。
小麦大麦の他に、じゃがいもの収穫を行っている農地もあり、こちらも当然、今では機械化。収獲機と並行してトラックを走らせ、おじゃがは、トラックにつまれたカートの中にごろごろと転がり落ち。カート内部には、そのジャガイモを平らにならすために、誰かが一人乗っていました。
そんなこんなで、都会での人口は増えているものの、田舎の人口というのは、昔と変わりないか、実際に減っているところもあると言います。ハイキングをしていて、人をほとんど見ず、のびのびとした気分となれるのと同時に、数人でも、こうして畑で働いている人がいると、それはそれなりに、少し風景に活気が出るな、などとも思います。
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