コーンフラワー入りアールグレイと紅茶よもやま話
普段は、紅茶は、ブランドなどはほとんどお構いなく、その辺にあるスーパーの自社ブランド、しかも、葉と言うより粉状のダストと呼ばれるタイプの安物を飲んでいますが、最近遊びに来た人が、ウィタード(Whittard of Chelsea)のアールグレイ(Earl Grey tea)を手土産に持ってきてくれました。
ウィタードは1886年、ウォルター・ウィタード氏により、ロンドンのシティにて開業された紅茶の老舗。昨年末、経営危機に瀕し、英国内の店舗の数も減ってしまいましたが、新しい経営者に買われ、何とか生き残ってくれました。ウィタード・ジャパンのHPを見つけました。最近は、何でも日本で購入できるものです。
アールグレイは、映画「ある公爵夫人の生涯」にも登場し、1830年に英国首相となった、チャールズ・グレイ(第2代アール・グレイ/グレイ伯爵)の名から取った紅茶。ギフトとして、チャールズ・グレイが、中国から来たこの紅茶を受け取って、大変気に入り、この国で飲まれるようになったと言われていますが。
柑橘系の植物、ベルガモット(bergamot)の実の皮から取った精油で香りをつけたアールグレイ。ものによっては、この香りがきつすぎて、紅茶を飲んでる気にならないようなものもありますが、ウィタードの頂き物は、適度な香りのお上品な味でなかなか美味しい。葉の中に青い乾燥した花びらの様なものがはいっているな、と思って、パッケージの材料のリストを見ると、これには、コーンフラワー(矢車菊)が混ぜてあるそうです。少量混じった乾燥コーンフラワーの花びらが、どれだけ風味に参加しているかわかりませんが、花を飲む、というのは、何となくロマンチック気分にさせてくれます。
毎朝、起き立ての、もうろうとした頭がしゃきっとしてくるまで、ベッドの中で、ラジオを聞きながら、紅茶を飲むのが常ですが、ここのところは、ずっとこのコーンフラワー入りアールグレイで、一日を良い香りでスタートしてます。
普通の紅茶を入れるときは、我家は、マグカップの底が見えないほど濃く出して、ミルクをだぼだぼ入れるのですが、アールグレイはやや薄めの方が美味しい。・・・ちなみに、濃い紅茶を好むのは労働階級で、お貴族様は、薄い紅茶をおすすりになる、なんていう話がありますが、普段の我家は、紅茶判断でいくと、労働階級に入れられてしまいそうです。
労働階級と紅茶と言うと、労働者が、まともな仕事もせず、紅茶ばかり飲んでいる様子を歌った、1960年代の「Right said Fred」という面白い歌があります。ある物を室内に運搬しようとしている労働者達、ちょっと動いては休憩に紅茶を飲んで、なかなか事が運ばない。
"Right," said Fred, "Both of us together
One on each end and steady as we go."
Tried to shift it, couldn't even lift it
We was getting nowhere
And so we had a cuppa tea and
"Right," said Fred, "Give a shout for Charlie."
Up comes Charlie from the floor below.
After strainin', heavin' and complainin'
We was getting nowhere
And so we had a cuppa tea.
「よし、」とフレッドは言った、「俺達一緒に
片端ずつ持って、用心深く。」
持ち上げようとしても、持ち上げられずに
何ともらちがあかないので
俺達、紅茶を一杯飲んだ、そして
「よし、」とフレッドは言った、「チャーリーを呼ぼう。」
チャーリーは階下からやって来た。
きばって、息張って、文句を言っても
何ともらちがあかないので
俺達、紅茶を一杯飲んだ。
この労働者達、挙句の果てには、ドアを取り外し、壁を打ち壊し、屋根を打ち壊し、家を崩壊状態に陥れた後も、運搬できず、紅茶をまた飲んで、そのまま帰途につく・・・という歌詞。彼らの結論は、「急ぐとろくな事は無い。」何だか、この国では、とてもありそうな話なのが、余計可笑しいです。
これよりは、ずっと浪漫のある紅茶の歌は、「Tea for Two」。
Picture me upon your knee,
With tea for two and two for tea,
Just me for you and you for me, alone!
あなたの膝に座る私を想像して
2人分の紅茶、2人で飲む紅茶
私にはあなただけ、あなたには私だけ、2人だけで!
そして、この女性、愛するあなたを喜ばせる為、朝も早くから、シュガー・ケーキなど焼いてしまう。昔の古風な家庭的女性です。こんな女性、今の欧米では、そんなにいない気がします。
日本や中国では、「紅茶」は、液体の色を指して、「紅色」と例えていますが、英語では、紅茶を、緑茶(green tea)などと区別して呼ぶときは、葉の色を指して「black tea」で、直訳すると黒茶。(普段は当然、ただteaとだけ呼びますが。)紅茶の液体の色は、水の質によっても違いが出るようで、我家のように、硬水地域に住んでいると、色はやや黒ずんでにごった感じで、液体を指しても黒茶と呼べそうです。軟水地域の紅茶はもっと澄んだ色。
また、カップに、ミルクを先に入れるか、紅茶を先に注ぐかは、時々、議論となるところで、先日も、知り合い家族とティーショップへ出かけた際、私のカップに先にミルクを注いでくれたご主人に「ミルクが先?」と聞くと、「オブコース。」との返事でした。別に、どちらが先でも、味は同じだと思うのですが、うちは、ただ単に習慣から、紅茶が先派です。
*****
我家の庭のコーンフラワーは、晩夏だというのに、まだがんばって咲いています。夏の間、毎朝、まめに枯れ花を摘み捨てていた成果。
この綺麗な青い花たち、長期間、ミツバチやバンブルビー(マルハナバチ)に食料を提供してくれています。手持ちのハーブの本に、コーンフラワーの花は食用にも使えると書いてありました。だから、紅茶にも入っていたわけで。後は、花を熱湯にしばらくひたした後、冷ました水をコットンパッドに含ませ、目の上にあてがうと、目のはれぼったさや、疲れがとれるという効用もあると。
そして雨の日には、こうして、蜂が花の下に身を潜めて傘代わりに使用。なんてお役立ちの花でしょう。来夏もまた植えましょうかね。
ウィタードは1886年、ウォルター・ウィタード氏により、ロンドンのシティにて開業された紅茶の老舗。昨年末、経営危機に瀕し、英国内の店舗の数も減ってしまいましたが、新しい経営者に買われ、何とか生き残ってくれました。ウィタード・ジャパンのHPを見つけました。最近は、何でも日本で購入できるものです。
アールグレイは、映画「ある公爵夫人の生涯」にも登場し、1830年に英国首相となった、チャールズ・グレイ(第2代アール・グレイ/グレイ伯爵)の名から取った紅茶。ギフトとして、チャールズ・グレイが、中国から来たこの紅茶を受け取って、大変気に入り、この国で飲まれるようになったと言われていますが。
柑橘系の植物、ベルガモット(bergamot)の実の皮から取った精油で香りをつけたアールグレイ。ものによっては、この香りがきつすぎて、紅茶を飲んでる気にならないようなものもありますが、ウィタードの頂き物は、適度な香りのお上品な味でなかなか美味しい。葉の中に青い乾燥した花びらの様なものがはいっているな、と思って、パッケージの材料のリストを見ると、これには、コーンフラワー(矢車菊)が混ぜてあるそうです。少量混じった乾燥コーンフラワーの花びらが、どれだけ風味に参加しているかわかりませんが、花を飲む、というのは、何となくロマンチック気分にさせてくれます。
毎朝、起き立ての、もうろうとした頭がしゃきっとしてくるまで、ベッドの中で、ラジオを聞きながら、紅茶を飲むのが常ですが、ここのところは、ずっとこのコーンフラワー入りアールグレイで、一日を良い香りでスタートしてます。
普通の紅茶を入れるときは、我家は、マグカップの底が見えないほど濃く出して、ミルクをだぼだぼ入れるのですが、アールグレイはやや薄めの方が美味しい。・・・ちなみに、濃い紅茶を好むのは労働階級で、お貴族様は、薄い紅茶をおすすりになる、なんていう話がありますが、普段の我家は、紅茶判断でいくと、労働階級に入れられてしまいそうです。
労働階級と紅茶と言うと、労働者が、まともな仕事もせず、紅茶ばかり飲んでいる様子を歌った、1960年代の「Right said Fred」という面白い歌があります。ある物を室内に運搬しようとしている労働者達、ちょっと動いては休憩に紅茶を飲んで、なかなか事が運ばない。
"Right," said Fred, "Both of us together
One on each end and steady as we go."
Tried to shift it, couldn't even lift it
We was getting nowhere
And so we had a cuppa tea and
"Right," said Fred, "Give a shout for Charlie."
Up comes Charlie from the floor below.
After strainin', heavin' and complainin'
We was getting nowhere
And so we had a cuppa tea.
「よし、」とフレッドは言った、「俺達一緒に
片端ずつ持って、用心深く。」
持ち上げようとしても、持ち上げられずに
何ともらちがあかないので
俺達、紅茶を一杯飲んだ、そして
「よし、」とフレッドは言った、「チャーリーを呼ぼう。」
チャーリーは階下からやって来た。
きばって、息張って、文句を言っても
何ともらちがあかないので
俺達、紅茶を一杯飲んだ。
この労働者達、挙句の果てには、ドアを取り外し、壁を打ち壊し、屋根を打ち壊し、家を崩壊状態に陥れた後も、運搬できず、紅茶をまた飲んで、そのまま帰途につく・・・という歌詞。彼らの結論は、「急ぐとろくな事は無い。」何だか、この国では、とてもありそうな話なのが、余計可笑しいです。
これよりは、ずっと浪漫のある紅茶の歌は、「Tea for Two」。
Picture me upon your knee,
With tea for two and two for tea,
Just me for you and you for me, alone!
あなたの膝に座る私を想像して
2人分の紅茶、2人で飲む紅茶
私にはあなただけ、あなたには私だけ、2人だけで!
そして、この女性、愛するあなたを喜ばせる為、朝も早くから、シュガー・ケーキなど焼いてしまう。昔の古風な家庭的女性です。こんな女性、今の欧米では、そんなにいない気がします。
日本や中国では、「紅茶」は、液体の色を指して、「紅色」と例えていますが、英語では、紅茶を、緑茶(green tea)などと区別して呼ぶときは、葉の色を指して「black tea」で、直訳すると黒茶。(普段は当然、ただteaとだけ呼びますが。)紅茶の液体の色は、水の質によっても違いが出るようで、我家のように、硬水地域に住んでいると、色はやや黒ずんでにごった感じで、液体を指しても黒茶と呼べそうです。軟水地域の紅茶はもっと澄んだ色。
また、カップに、ミルクを先に入れるか、紅茶を先に注ぐかは、時々、議論となるところで、先日も、知り合い家族とティーショップへ出かけた際、私のカップに先にミルクを注いでくれたご主人に「ミルクが先?」と聞くと、「オブコース。」との返事でした。別に、どちらが先でも、味は同じだと思うのですが、うちは、ただ単に習慣から、紅茶が先派です。
*****
我家の庭のコーンフラワーは、晩夏だというのに、まだがんばって咲いています。夏の間、毎朝、まめに枯れ花を摘み捨てていた成果。
この綺麗な青い花たち、長期間、ミツバチやバンブルビー(マルハナバチ)に食料を提供してくれています。手持ちのハーブの本に、コーンフラワーの花は食用にも使えると書いてありました。だから、紅茶にも入っていたわけで。後は、花を熱湯にしばらくひたした後、冷ました水をコットンパッドに含ませ、目の上にあてがうと、目のはれぼったさや、疲れがとれるという効用もあると。
そして雨の日には、こうして、蜂が花の下に身を潜めて傘代わりに使用。なんてお役立ちの花でしょう。来夏もまた植えましょうかね。
アールグレイ、大好きです。
返信削除そういえばトワイニングのレディーグレイには
矢車草の花びらが入っていたとはずです。
他にオレンジピールなども。
そちらのほうも好みでしたが、ミルクティーには
アールグレイのほうが合うようです。
写真の手前の赤い花はバラでしょうか。
タチアオイにも似て見えます。
レディーグレイはコーンフラワー入りでしたか。グレイの奥さんの名を取ってトワイニングが作ったとは聞いたことがありましたが、飲んだことは無いんですよ、実は。そのうち試してみます。このウィタードのアールグレイは、それでは、レディーグレイからコーンフラワーのアイデア頂いて作ったのかもしれませんね。
返信削除赤いのはタチアオイです。好きな人多いのか、夏の民家の前で良く目にします