ムスカリ・アルメニアクム

毎春、植えた覚えのないムスカリ・アルメニアクム(Muscari armeniacum)の可憐な花が、庭のところどころに、ちょぼちょぼと顔を出して咲いてはいたのですが、この手の小さな花は、数が少ないとインパクトにかけるのです。そこで、去年の秋、この球根を大量買いし、いくつかの鉢に、まとめ植えしました。

ムスカリは、「じゃ香、musk」を意味するギリシャ語が名の由来。ムスカリの種類の中には、香りを放つものがあるのだそうですが、ガーデン用のムスカリで一番人気のムスカリ・アルメニアクムは、ほとんど香りはありません。ムスカリ・アルメニアクムの原生地は、小アジアと名前の通りアルメニアを含むヨーロッパの東南部。

英語では、グレープ・ヒヤシンス(Grape Hacinth)の俗名で知られるとおり、青の花は、小さな葡萄の房風。花の先端は微妙に白く、提灯袖にささやかなレース飾りがついてる様。

ムスカリは、なんでも、アスパラガス科に属する植物だそうで、そう言われてみれば、まだ色のつかない、生えてきたばかりの花の茎は、ちょんぎってゆでたら食べられそうな雰囲気もあります。実際につぼみの房も花の房も、酢漬けにして食べられる、などという話もあります。だからといって、本当に食べてみようという気はおこりませんが・・・。

去年の10月初に植えてから、かなり早い時期にしんなりした葉っぱがにょきにょきと生えだし、「こんな葉っぱばかりで、ちゃんと咲くのやら。」の心配をよそに、イースター・サンデーの本日、綺麗に咲きそろいました。

ムスカリ・アルメニアクムを沢山植えてよかったなと思うのは、色が綺麗なのもあるし、蜂たちが好んで寄ってくるのもあります。大型のバンブルビーがグレープ・ヒヤシンスの小花にしがみついている様子は、微笑ましいのです。早春、まだ花が少ない時期に、蜂に蜜を提供する花は貴重。春の球根類では、チューリップやヒヤシンスなどは華やかではありますが、昆虫に食物を提供する意味では、クロッカスやムスカリに比べ、価値が低い植物です。観賞用に改良されすぎた結果でしょうかね?いずれにしても、自然にやさしいガーデンを心がけたい人には、春の球根の鉢植えの中に、チューリップ、ヒヤシンス、ダフォデルと一緒に、クロッカスやムスカリを混ぜて植えるのは、ひと押しです。

鉢植えした春の球根類は、花が終わった後、私は、大体の場合、そのまま庭の奥に移動させ、葉が枯れるまで、時に水やりし続け、球根がお休み中の、夏の間に、掘り起こして球根を分けなおしています。そして、秋の10月あたりに再び、植えなおし。地面植えした場合は、そのまま放っておくと、野生化していくようです。この場合も、数年ごとに、時々掘り起こして、根割をして、別の場所にも増やしていくという手もあります。

余談ながら、一番上の写真に写っているガーデンノームは最近新しく購入したもの。ガーデンノームの数を増やしたいと以前から思いながら、これでやっと2つめ。買いたくなるほど気に入った顔をしたノームをあまり見ることがないので。これは、底に貼ってあったラベルを読むとメード・イン・ジャーマニーでドイツ製でした。ノームはもともと、ドイツからイギリスに伝わってきたものなので、ふさわしくはあります。ムスカリ・アルメニアクムに囲まれ、「余は満足じゃ」と言った面持。

今年のイースターは例年より少々早めです。近くの教会内には、毛糸で編んだ人形で、キリストの最後の晩餐の様子を再現していました。食べ物も毛糸で編んであり、良くできています。

外は雨模様。ぐずついた天気はだらだらとイースター期間中続きそうです。恵みの雨となり、4月に入ったら一気に他の花も、緑も噴出してきてくれることを楽しみに。

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