ボディー・スナッチャー
宇宙から、ゼリー状のバクテリアの様な生物が地上に降ってきた。それは、赤い奇妙な花を咲かせ、やがて、そこから、巨大なさなぎにも似たポッド(さや)が育つ。さやは、其々の人間の外見をコピーして、新しい人間を複製する。複製が完了すると、元となった人間は消滅してしまう。こうして生まれたポッド・ピープル(さや人間)は、元の人間と外見は同じでありながら、一切の感情を持たない。さや人間たちは、次第に、その数を増し、普通の人間達は、いなくなっていく・・・というのが、この映画「Invasion of the Body Snatchers」(邦題:SF/ボディー・スナッチャー)の概要。
サンフランシスコの衛生管理官であるエリザベスは、外から摘んできた赤い花をコップに入れ、寝る前に、同居している彼氏、ジェフリーの枕元へ置く。翌朝、花は消えており、ジェフリーは、外見は同じながら、今までとは全く変わった感情を示さぬ冷たい人物と化していた。理由がわからぬエリザベスは、「ジェフリーがジェフリーでなくなった」と仲の良い同僚マシュー(ドナルド・サザランド)にうちあける。マシューは友人の精神科医デイビッド(スポックでお馴染みのレナード・ニモイ)にエリザベスを紹介するが、すでにさや人間と化していたデイビッドは、ジェフリーが変わったように見えるのは、エリザベスの精神的なものだとする。
そうこうするうち、さや人間はどんどん増えていき、警察や職場の人間も変身してしまう。事態に気づくと、マシューとエリザベスは、マシューの友人の売れない作家ジャック(ジェフ・ゴールドブラム)と、どろ風呂を経営するジャックの妻のナンシーと共に、自分達も仲間に加えようと追ってくる、さや人間達から、必死で逃れようとする。このさや人間達が追いかけてくる様子が、怖いのです。仲間でないと分かると、そちらへむかって指を刺して、「きーっ!」と異様な声を張り上げて、後ろをつけて走ってくる。途中、ジャックとナンシーは、追っ手をばかす為、他の2人を離れ、2手に別れるのですが、さあ、この4人は全員、逃げ切ることができるのか。
ラストまで、さや人間になってしまったかどうか定かでないナンシーとマシューが、最後に対面するところが、この映画の一番記憶に残る場面です。ドナルド・サザランドの、異様な雄たけびと、あの怖い顔が・・・忘れられない。
「きいいいいいーーーーーー!」
私は、スターウォーズ系のSFは、大体において、あまり好きではありません。でも、これは面白かった。不協和音の音楽と、カメラアングルも手伝い、最初から、何気ない日常シーンでも、何か不吉な事が起こりそうな怖さがあり。また、映画内で、ナンシーが、
Well why not a space flower? Why do we always expect metal ships?
そうよ、宇宙から来た花じゃないの?宇宙から来るのが、いつも鉄の船だとは限らないでしょ?
と言うように、UFOや、変な格好をした宇宙人が登場しないのもグッドです。バクテリアやウィルスの様なものが人体を犯して、人から人へ感染し、蔓延する、という実際起こりえる状況の延長線上のストーリーライン。まあ、ポッド・ピープルは、どんなすごいバクテリアでも、作ることはできないでしょうから、そこが、作り話のSFではありますが。今まで、仲良くしてきた周囲の人間が、一人また一人と、体制に飲み込まれ、段々、信じられなくなる、というのは、心理サスペンスです。
後、気色悪かったのは、いつも愛犬と一緒に外のベンチに座って楽器を弾いているおじさん。犬と一緒にコピーされてしまい、体が犬で顔が人間の物体に変身してしまう、というやつ。
港に停泊した船からバグ・パイプで演奏される「アメージング・グレース」が流れてくるシーンがあります。マシューは、船に乗って逃げられるかも、と喜び勇んで、音楽のほうへ駆けて行く。「アメージング・グレース」は、かなり古い曲ですが、1973年にスコットランドのロイヤル・スコッツ・ドラゴン・ガーズの楽隊がバグパイプで演奏したものが、イギリスで大ヒットとなり、アメリカでもかなりチャートの上まで行っているので、ここで使われているのは、そのバージョンでしょうか。実際、マシューが船に近づくと、輸出するためのさやが船に大量に積み込まれており、音楽はラジオから流れてくるもので、彼はがっくりくるのです。
さて、これは、1956年の同名の白黒映画のリメイクですが、インパクトの強さは、このリメイクの方がいけると、私は思います。欲を言えば、さや人間たちに追いかけられるシーンがいささか、長すぎるので、15分くらい短くしたほうがいいんじゃないか、と個人的には感じますが、リメイクがオリジナルより良いかもしれない、と思えるのは、わりと稀な出来事です。
原題:Invasion of the body snatchers (邦題:SF/ボディー・スナッチャー)
監督:Philip Kaufman
言語:英語
1978年
オリジナルの映画は、サンタ・ミラという架空の小さな町が舞台で、町の医者、ベネル医師が主人公。「自分の家族メンバーが、外見は同じなのに、別人になってしまった。」と、もらす人々が増えていく中、しばらくたつと、そう言った人達も、さや人間にされてしまう。
ベネル医師は、やはり、事態判明後、恋人のベッキーと共に、感情を持った人間としていき続けるため、必死で町から逃れようとするのです。
ベッキーは、途中で、さや人間と化してしまうものの、医師は、最終的に、なんとかサンタ・ミラから逃れて、別の町で警察に事情を伝え、助けを求める。FBIに連絡が取られ、アメリカはおそらく救われるであろう・・・という印象で終わります。
こちらは、作られたのが、マッカーシー主義(赤狩り)の頃で、この映画は、反赤狩り映画だとか、いいや、反共産主義映画だとか、色々言われているようです。裏に隠された意味があるにしろ無いにしろ、十分面白い映画です。
主役の医師役をしたケヴィン・マッカーシーは、上記リメーク映画にカメオ出演をしています。このオリジナル映画でのクライマックスシーンで、医師が、道路に飛び出し、行過ぎる車にむかって、「やつらは、もうここへやって来た!次はお前だ!」と叫ぶシーンがあるのですが、それをそのまま、リメイクの中で再現して、ドナルド・サザランド運転の車の前にいきなり飛び出して、同じようなセリフを叫ぶ人物として登場。オリジナルを見ている人だけがわかる、ちょっと、気が利いた演出でした。
原題:Invasion of the body snatchers (邦題:ボディー・スナッチャー 恐怖の街)
監督:Don Siegel
言語:英語
1956年
サンフランシスコの衛生管理官であるエリザベスは、外から摘んできた赤い花をコップに入れ、寝る前に、同居している彼氏、ジェフリーの枕元へ置く。翌朝、花は消えており、ジェフリーは、外見は同じながら、今までとは全く変わった感情を示さぬ冷たい人物と化していた。理由がわからぬエリザベスは、「ジェフリーがジェフリーでなくなった」と仲の良い同僚マシュー(ドナルド・サザランド)にうちあける。マシューは友人の精神科医デイビッド(スポックでお馴染みのレナード・ニモイ)にエリザベスを紹介するが、すでにさや人間と化していたデイビッドは、ジェフリーが変わったように見えるのは、エリザベスの精神的なものだとする。
そうこうするうち、さや人間はどんどん増えていき、警察や職場の人間も変身してしまう。事態に気づくと、マシューとエリザベスは、マシューの友人の売れない作家ジャック(ジェフ・ゴールドブラム)と、どろ風呂を経営するジャックの妻のナンシーと共に、自分達も仲間に加えようと追ってくる、さや人間達から、必死で逃れようとする。このさや人間達が追いかけてくる様子が、怖いのです。仲間でないと分かると、そちらへむかって指を刺して、「きーっ!」と異様な声を張り上げて、後ろをつけて走ってくる。途中、ジャックとナンシーは、追っ手をばかす為、他の2人を離れ、2手に別れるのですが、さあ、この4人は全員、逃げ切ることができるのか。
ラストまで、さや人間になってしまったかどうか定かでないナンシーとマシューが、最後に対面するところが、この映画の一番記憶に残る場面です。ドナルド・サザランドの、異様な雄たけびと、あの怖い顔が・・・忘れられない。
「きいいいいいーーーーーー!」
私は、スターウォーズ系のSFは、大体において、あまり好きではありません。でも、これは面白かった。不協和音の音楽と、カメラアングルも手伝い、最初から、何気ない日常シーンでも、何か不吉な事が起こりそうな怖さがあり。また、映画内で、ナンシーが、
Well why not a space flower? Why do we always expect metal ships?
そうよ、宇宙から来た花じゃないの?宇宙から来るのが、いつも鉄の船だとは限らないでしょ?
と言うように、UFOや、変な格好をした宇宙人が登場しないのもグッドです。バクテリアやウィルスの様なものが人体を犯して、人から人へ感染し、蔓延する、という実際起こりえる状況の延長線上のストーリーライン。まあ、ポッド・ピープルは、どんなすごいバクテリアでも、作ることはできないでしょうから、そこが、作り話のSFではありますが。今まで、仲良くしてきた周囲の人間が、一人また一人と、体制に飲み込まれ、段々、信じられなくなる、というのは、心理サスペンスです。
後、気色悪かったのは、いつも愛犬と一緒に外のベンチに座って楽器を弾いているおじさん。犬と一緒にコピーされてしまい、体が犬で顔が人間の物体に変身してしまう、というやつ。
港に停泊した船からバグ・パイプで演奏される「アメージング・グレース」が流れてくるシーンがあります。マシューは、船に乗って逃げられるかも、と喜び勇んで、音楽のほうへ駆けて行く。「アメージング・グレース」は、かなり古い曲ですが、1973年にスコットランドのロイヤル・スコッツ・ドラゴン・ガーズの楽隊がバグパイプで演奏したものが、イギリスで大ヒットとなり、アメリカでもかなりチャートの上まで行っているので、ここで使われているのは、そのバージョンでしょうか。実際、マシューが船に近づくと、輸出するためのさやが船に大量に積み込まれており、音楽はラジオから流れてくるもので、彼はがっくりくるのです。
さて、これは、1956年の同名の白黒映画のリメイクですが、インパクトの強さは、このリメイクの方がいけると、私は思います。欲を言えば、さや人間たちに追いかけられるシーンがいささか、長すぎるので、15分くらい短くしたほうがいいんじゃないか、と個人的には感じますが、リメイクがオリジナルより良いかもしれない、と思えるのは、わりと稀な出来事です。
原題:Invasion of the body snatchers (邦題:SF/ボディー・スナッチャー)
監督:Philip Kaufman
言語:英語
1978年
オリジナルの映画は、サンタ・ミラという架空の小さな町が舞台で、町の医者、ベネル医師が主人公。「自分の家族メンバーが、外見は同じなのに、別人になってしまった。」と、もらす人々が増えていく中、しばらくたつと、そう言った人達も、さや人間にされてしまう。
ベネル医師は、やはり、事態判明後、恋人のベッキーと共に、感情を持った人間としていき続けるため、必死で町から逃れようとするのです。
ベッキーは、途中で、さや人間と化してしまうものの、医師は、最終的に、なんとかサンタ・ミラから逃れて、別の町で警察に事情を伝え、助けを求める。FBIに連絡が取られ、アメリカはおそらく救われるであろう・・・という印象で終わります。
こちらは、作られたのが、マッカーシー主義(赤狩り)の頃で、この映画は、反赤狩り映画だとか、いいや、反共産主義映画だとか、色々言われているようです。裏に隠された意味があるにしろ無いにしろ、十分面白い映画です。
主役の医師役をしたケヴィン・マッカーシーは、上記リメーク映画にカメオ出演をしています。このオリジナル映画でのクライマックスシーンで、医師が、道路に飛び出し、行過ぎる車にむかって、「やつらは、もうここへやって来た!次はお前だ!」と叫ぶシーンがあるのですが、それをそのまま、リメイクの中で再現して、ドナルド・サザランド運転の車の前にいきなり飛び出して、同じようなセリフを叫ぶ人物として登場。オリジナルを見ている人だけがわかる、ちょっと、気が利いた演出でした。
原題:Invasion of the body snatchers (邦題:ボディー・スナッチャー 恐怖の街)
監督:Don Siegel
言語:英語
1956年
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