グッバイ、レーニン !

「グッバイ、レーニン!」は、東ドイツの社会主義の崩壊を時代背景とした、コメディー・タッチの人間ドラマです。

*****

1989年、東ドイツ領ベルリン。青年アレックスの父は、彼が幼い時に西へ亡命したまま行方がわからず、母は、熱狂的社会主義者。ある日、アレックスは、反社会主義デモに参加し、その際、偶然、通りかかった母親が、それを目撃。母は、ショックで心臓麻痺を起こし、そのまま昏睡状態に。数ヵ月後、母が昏睡から覚めたときには、すでにベルリンの壁はくずれ落ちていた。

部屋でしばらく療養する事となった母の様態を心配し、再びショックを与えぬようにと、アレックスは、社会主義が崩れ落ちた現実を母から必死で隠すため、あの手、この手の工作・・・店の棚から消えていっている、社会主義時代出回っていた食べ物を入手、テレビのニュースを友人の力を借りて、自分達で作製。それでも、母の部屋の窓からも、西の資本主義の影響が見え始めてくる。アレックスは、西ドイツの人間達が、東へ亡命してきている、など、苦し紛れの説明。

その間、しばらく会わなかった父と、アレックス家族の再会もあり、アレックスは、父が、自分達を捨てたのではなく、父が西へ逃げた後、子供達を連れて追っていく予定でいた母が、怖くなって、西へ逃げずに、居残った事情を知らされる。

やがて、看護婦である、アレックスの恋人ラーラから、真実を説明された母は、それを冷静に受け入れ、まだ、母をかばうための芝居を続けるアレックスには何も言わず、1990年10月、統合ドイツが成立した3日後、静かに息を引き取る。

*****

共産時代の食べ物の、きゅーりの酢漬けのようなものを、このお母さんは好物としているのですが、これが、なかなかおいしそう。共産時代のポスターや物資なども、いまや、レトロものとしての価値がありそうな。

人づての話だと、西側のドイツ人は、東側の人間を、いまだ少々、見下している事が多いなどという話を聞きます。自分で住んでいるわけでもないので、何とも言えませんが。そして、社会主義の下で生まれ育った世代には、東時代をノスタルジーを抱いて思い起こす人もまだいるとか。まあ、統合してからまだ、20年ちょっとですから。全体としては、非常に良くやっている国に見えるのです。統合10年くらいで、「グッバイ・レーニン!」のような映画が作られたのも、過去とは一歩離れて、客観的に見れるようになった、心の余裕のでてきた社会になったとも言えるのでしょうか。

年末のモスクワでの、反プーチン・デモの様子をテレビニュースで見ている時、レーニンの部分をプーチンと書き換え、「グッバイ、プーチン!」とした、この映画のポスターを掲げている人がいたのが目に留まりました。本日、モスクワは、マイナス20度近く、体感気温は、マイナス26度などと言われる中、再び、反プーチン・デモが繰り広げられています。涙もちょちょぎれる寒さを押してのデモ。よほど、嫌気がさしている人が沢山いるのか・・・。それでも、名目上は民主主義でありながら、ロシアで、この手の映画が作られるのは、・・・まだまだ、ずっと先になりそうな気がします。

原題:Good Bye, Lenin!
監督:Wolfgang Becker
言語:ドイツ語
2003年

コメント