日本の最高の姿
昨日、友人宅を訪れた後の帰り道、暗い空にどんと構えたまん丸のお月様の大きさにびっくりしました。18年以上ぶりに、月が地球に一番近くなった夜だったそうです。この、月が地球へ接近している現象が、大地震等が起こる原因のひとつともなっている・・・などという説も出てきています。(写真は、BBCサイトより。)
月のせいかどうかはともかく、地震、津波、そして挙句の果てには、放射能・・・。
各国の政府からも、日本に滞在の母国民に戻ってくるよう呼びかけが出ていました。それは、わかるんですけどね、どの国の政府も、後で、母国民を守るために、十分な措置を取らなかった、と非難されるのが怖いですから。それにしても・・・フランス政府の反応は、パニックを引き起こしかねないような過敏さで、しかも電光石火の速さでした。これには、東京に住む友人も、いささか憤慨して「フランス嫌い」とメールで書いてきました。電力の約75%を原子力に頼る国、それは沢山の原発実験(200以上)を、いつも自国から遠く離れたアフリカや、太平洋で行ってきた国なのに、その逃げ足の速さたるや・・・確かに、びっくり。
地震が起こった際に日本にいた外人たちが、日本人の冷静さと、災害時の他人への思いやり、規律を守る態度に、深い印象を受けたというような内容の、記事を読みました(記事は、こちら:英語です)。この記事の中には、東京に住むフランス人の音楽家が「僕の母国人たちは、ほとんど帰国してしまったけれど、それによって、彼らは、日本の最もすばらしい姿(Japan at its best)を見逃す事になるわけだ。」という感想をもらしていました。「他の人たちが冷静に、きちんとしているのを見ていたら、自分もパニック状態に陥る事はない。これがフランスだったら、大混乱だった。」彼は、日本人の奥さんと、日本に踏みとどまるつもりだということ。
去る外人も多い中、このフランス人の他にも、好きな日本にとどまる事にした外人は幾人もいるようです。先日の夜のニュースでは、日本在住の英国人用に、チャーター便で700席が用意してあったものの、実際に現れたのは100人だったという話をしていました。
上に載せた記事はごく一例で、他にも、この1週間、似たような論調の記事を沢山読みました。災難にあいながらも、日本人は、冷静、ねばり強い、規律正しい、自己に対する哀れみを見せない、文句を言わない、協調性がある、効率的・・・などなどの言葉が繰り返し使われ。チャーチルが、第2次世界大戦中をイギリスの「最もすばらしい時」(The finest hour)と称したように、大被害となってしまったものの、世界が、日本のこうした良いところを再確認するショーケースともなっている感があります。再建が始まる際の、世界への日本と日本人への好感と信頼は貴重ですので、これは、ネガティブから生まれた、ひとつのポジティブと言えるでしょうか。
福島の原子力発電所で、最悪を回避しようと、今も働く人達は、イギリスでも、ヒーローと呼ばれ。こちらも、また、チャーチルが、戦時中、イギリスの空を守ったパイロット達を讃えたスピーチを引用して、
Never ... was so much owed by so many to so few.
(これほど多くの人間が、これほど多大なる恩恵を、これほどわずかの人々から受けたことは無い。)
と、ある新聞記事に書かれていました。
この国からも、幾つかの慈善団体の人たちが、慣れない余震や放射能の危険に不安を感じながらも、乗り込んでいって活動を行っている模様です。助ける側も、助けられる側が、出来る限りの自助をしているのを見ると、ますます、やる気が出るでしょう。
その中でも、特に、この国で、Japan Emergency Appealと銘打って、積極的な募金活動を行い、ラジオなどでも日本からのインタヴューを幾つか聞いた慈善団体が、Save the Children。被災地で、災害によりショックを受けたり、親を亡くしたりした子供達が、安全に遊べる場所を確保し、非日常の中での日常を少しでも持てるような活動を行っている団体です。安全なイギリスで、これを書いている私は、こういう団体に寄付して、勇気ある人たちが、乗り込んで、助けてくれるのを感謝する事くらいが関の山。日本のような国が、他国で、こんな募金の対象になる日が来るとは思いも寄りませんでしたが、やはり有難いのです。
また、2,3日前は、赤十字社からのレポートがラジオで流れ、「とにかく規模が大きくて、大変だが、何とかがんばっている」様な趣旨。赤十字も、災害地、戦闘地に、いつも真っ先に飛び込んで活動を始める、大いにサポートを続けたい団体です。
災害の中、人間の良い面がクローズアップされる一方、人の不幸をネタに儲けようとか、いじめてやろうとかいう、情けない輩も出てくるものです。日本でも、義援金を装った詐欺などが出ているようですが、こちらでも。「津波にあった日本の人たちに」と募金集めのバケツを振りかざして、後でそれをポッポする奴ら、慈善団体を装ったメールを送るこそ泥、しかも、募金とは別に、親戚が日本滞在中、災害に会い、連絡が取れず心配している家族に、「あんんたの息子は死んでいる」の様なメールを送る輩まで出てきたそうです。こんなのは、少し頭が異常としか思えない。いずれにしても、寄付金を送る際には、こちらでも、日本でも、相手先が信頼できる団体かを確かめて、気をつけて送る事にしましょう。
現在リビアで、大変な事となっているため、イギリスでは、日本からのニュースが、テレビ、新聞に占める度合いは、徐々に少なくなっていっています。以前、やはりSave the Childrenのスポークスマンが、「世界のメディアが、現地から去ってしまった後も、我々は、残って援助を続ける」と言っていたのを覚えています。
東北に、早く春が来ますように。そして、日本が最悪の事態を、最高の姿で、早く乗り越えられますように。
*****
Save the Childrenサイト。2番目の写真は、このサイトより拝借。
British Red Crossのサイト。
チャーチルの戦時中スピーチに関する過去の記事、Business as usual。
月のせいかどうかはともかく、地震、津波、そして挙句の果てには、放射能・・・。
各国の政府からも、日本に滞在の母国民に戻ってくるよう呼びかけが出ていました。それは、わかるんですけどね、どの国の政府も、後で、母国民を守るために、十分な措置を取らなかった、と非難されるのが怖いですから。それにしても・・・フランス政府の反応は、パニックを引き起こしかねないような過敏さで、しかも電光石火の速さでした。これには、東京に住む友人も、いささか憤慨して「フランス嫌い」とメールで書いてきました。電力の約75%を原子力に頼る国、それは沢山の原発実験(200以上)を、いつも自国から遠く離れたアフリカや、太平洋で行ってきた国なのに、その逃げ足の速さたるや・・・確かに、びっくり。
地震が起こった際に日本にいた外人たちが、日本人の冷静さと、災害時の他人への思いやり、規律を守る態度に、深い印象を受けたというような内容の、記事を読みました(記事は、こちら:英語です)。この記事の中には、東京に住むフランス人の音楽家が「僕の母国人たちは、ほとんど帰国してしまったけれど、それによって、彼らは、日本の最もすばらしい姿(Japan at its best)を見逃す事になるわけだ。」という感想をもらしていました。「他の人たちが冷静に、きちんとしているのを見ていたら、自分もパニック状態に陥る事はない。これがフランスだったら、大混乱だった。」彼は、日本人の奥さんと、日本に踏みとどまるつもりだということ。
去る外人も多い中、このフランス人の他にも、好きな日本にとどまる事にした外人は幾人もいるようです。先日の夜のニュースでは、日本在住の英国人用に、チャーター便で700席が用意してあったものの、実際に現れたのは100人だったという話をしていました。
上に載せた記事はごく一例で、他にも、この1週間、似たような論調の記事を沢山読みました。災難にあいながらも、日本人は、冷静、ねばり強い、規律正しい、自己に対する哀れみを見せない、文句を言わない、協調性がある、効率的・・・などなどの言葉が繰り返し使われ。チャーチルが、第2次世界大戦中をイギリスの「最もすばらしい時」(The finest hour)と称したように、大被害となってしまったものの、世界が、日本のこうした良いところを再確認するショーケースともなっている感があります。再建が始まる際の、世界への日本と日本人への好感と信頼は貴重ですので、これは、ネガティブから生まれた、ひとつのポジティブと言えるでしょうか。
福島の原子力発電所で、最悪を回避しようと、今も働く人達は、イギリスでも、ヒーローと呼ばれ。こちらも、また、チャーチルが、戦時中、イギリスの空を守ったパイロット達を讃えたスピーチを引用して、
Never ... was so much owed by so many to so few.
(これほど多くの人間が、これほど多大なる恩恵を、これほどわずかの人々から受けたことは無い。)
と、ある新聞記事に書かれていました。
この国からも、幾つかの慈善団体の人たちが、慣れない余震や放射能の危険に不安を感じながらも、乗り込んでいって活動を行っている模様です。助ける側も、助けられる側が、出来る限りの自助をしているのを見ると、ますます、やる気が出るでしょう。
その中でも、特に、この国で、Japan Emergency Appealと銘打って、積極的な募金活動を行い、ラジオなどでも日本からのインタヴューを幾つか聞いた慈善団体が、Save the Children。被災地で、災害によりショックを受けたり、親を亡くしたりした子供達が、安全に遊べる場所を確保し、非日常の中での日常を少しでも持てるような活動を行っている団体です。安全なイギリスで、これを書いている私は、こういう団体に寄付して、勇気ある人たちが、乗り込んで、助けてくれるのを感謝する事くらいが関の山。日本のような国が、他国で、こんな募金の対象になる日が来るとは思いも寄りませんでしたが、やはり有難いのです。
また、2,3日前は、赤十字社からのレポートがラジオで流れ、「とにかく規模が大きくて、大変だが、何とかがんばっている」様な趣旨。赤十字も、災害地、戦闘地に、いつも真っ先に飛び込んで活動を始める、大いにサポートを続けたい団体です。
災害の中、人間の良い面がクローズアップされる一方、人の不幸をネタに儲けようとか、いじめてやろうとかいう、情けない輩も出てくるものです。日本でも、義援金を装った詐欺などが出ているようですが、こちらでも。「津波にあった日本の人たちに」と募金集めのバケツを振りかざして、後でそれをポッポする奴ら、慈善団体を装ったメールを送るこそ泥、しかも、募金とは別に、親戚が日本滞在中、災害に会い、連絡が取れず心配している家族に、「あんんたの息子は死んでいる」の様なメールを送る輩まで出てきたそうです。こんなのは、少し頭が異常としか思えない。いずれにしても、寄付金を送る際には、こちらでも、日本でも、相手先が信頼できる団体かを確かめて、気をつけて送る事にしましょう。
現在リビアで、大変な事となっているため、イギリスでは、日本からのニュースが、テレビ、新聞に占める度合いは、徐々に少なくなっていっています。以前、やはりSave the Childrenのスポークスマンが、「世界のメディアが、現地から去ってしまった後も、我々は、残って援助を続ける」と言っていたのを覚えています。
東北に、早く春が来ますように。そして、日本が最悪の事態を、最高の姿で、早く乗り越えられますように。
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Save the Childrenサイト。2番目の写真は、このサイトより拝借。
British Red Crossのサイト。
チャーチルの戦時中スピーチに関する過去の記事、Business as usual。
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