ベツレヘムへ

上は、ベルギー王立美術館蔵のピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel the Elder)の「Census at Bethlehem」(ベツレヘムの国勢調査)。建物の感じや風景は、中東のベツレヘムというより、北ヨーロッパ。

イエスは、ベツレヘムで生まれた・・・幼稚園のクリスマスで、キリストの降誕劇をやった覚えがあります。ちなみに私は、マリア様(注:英語では、マリアはメアリーです)にはなれず、お星様でした。ただ、何故、ジョーゼフとメアリーがベツレヘムへ出向いて、馬小屋で子供を生むはめになったか、幼稚園の先生は教えてくれなかったのです。

彼らは、ローマ帝国からの発令の、課税を目的とした国勢調査(センサス)のためベツレヘムへ。この絵は、そのシーンを描いたもので、やや右手中央の前方に、疲れ果てた顔をしたメアリーが、ジョーゼフの引くロバに乗っているのが見えます。左手の小屋では、センサスが執り行なわれています。

ブリューゲルの絵には、メインの出来事が、風景や全体の構図の中に、小さく、それとなく、埋め込まれて、さっと見ると、テーマを見過ごしてしまうものがありますが、これもその一つで、絵の題名も知らず、さっと見ると、キリスト教がらみの絵と言うより、小さなヨーロッパの村の冬の風景。


ルカによる福音書(The Gospel according to Luke)、2:1~7によると

1 And it came to pass in those days, that there went out a decree from Caesar Augustus, that all the world should be taxed.
そしてその頃、皇帝アウグストより全人民に課税せよとの勅令が出された。

2 (And this taxing was first made when Cyrenius was governor of Syria.)
そして、この最初の課税は、クレオニがシリアの総督であった時に行われた。

3 And all went to be taxed, every one into his own city.
そこで、全ての人民は、課税されるべく、それぞれ、己の故郷へと出向いた。

4 And Joseph also went up from Galilee, out of the city of Nazareth, into Judaea, unto the city of David, which is called Bethlehem; (because he was of the house and lineage of David:)
ジョーゼフも、ガリレアの町ナザレを出発し、ユダヤのダビデの町であるベツレヘムへと赴いた。(ジョーゼフはダビデの家系であったので。)

5 To be taxed with Mary his espoused wife, being great with child.
身重の妻メアリーと共に課税されるべく。

6 And so it was, that, while they were there, the days were accomplished that she should be delivered.
そして、彼らがそこにいる時に、メアリーは出産することとなる。

7 And she brought forth her firstborn son, and wrapped him in swaddling clothes, and laid him in a manger; because there was no room for them in the inn.
第1子を産み落とし、メアリーは赤子を布でくるみ、飼い葉おけに横たえた。宿には、泊まれる空き部屋がなかったのだ。

そして、このルカの福音書によると、このすぐ後に、同じ国に住む羊飼い達が、夜、野原で羊の番をしていると、天使が現れ、ベツレヘムに救いの御子が生まれた事、その赤子は飼い葉おけに横たわっている事を伝えて、消える。羊飼い達は、それでは、その救いの御子を一目拝みに行こうと、ベツレヘムへとむかうのです。

上は、ロンドン、ウォレス・コレクションにあるムリリョ(Bartolomé Esteban Murillo)作、Adoration of the shpeperds(羊飼い達の崇拝)。ベツレヘムへ辿り着いた羊飼い達が、赤子を探し当て、感嘆するシーン。同じテーマの絵は、大体どの美術館へ行っても、ひとつやふたつはある事でしょう。

この絵には、羊飼い達の贈り物として、籠に入ったはと(生誕後の清浄の象徴)、足を縛られた子羊(イエスの後の自己犠牲の象徴)が描かれています。

以下ルカによる福音書2:15~20。

15 And it came to pass, as the angels were gone away from them into heaven, the shepherds said one to another, Let us now go even unto Bethlehem, and see this thing which is come to pass, which the Lord hath made known unto us.
天使達が天へと消えてしまったあと、羊飼い達は、お互いに語り合った、ベツレヘムへ赴き、天が我々にその存在を教えてくれた赤子を見に行こうではないか、と。

16 And they came with haste, and found Mary, and Joseph, and the babe lying in a manger.
彼らは、急いでやって来た、そしてメアリーを、ジョーゼフを、更に、飼い葉おけに横たわる赤子を見つけた。

17 And when they had seen it, they made known abroad the saying which was told them concerning this child.
羊飼い達は赤子を見ると、天使達から告げられた内容をその場にいる者達に伝えた。

18 And all they that heard it wondered at those things which were told them by the shepherds.
羊飼いの話を聞いたものは、皆、驚いた。

19 But Mary kept all these things, and pondered them in her heart.
しかし、メアリーは、その事に関しては何も語らず、心の中で一人思いにふけた。

20 And the shepherds returned, glorifying and praising God for all the things that they had heard and seen, as it was told unto them.
そして、羊飼い達は、お告げの通りの事を目撃した事に、神を讃え、感謝しながら帰途に着いた。

羊飼いの他にも、救いの主を一目見ようと、遠方から、贈り物を携えて、東方の賢者たちがやってくるのですが、こちらは、クリスマスの晩の出来事ではなく、キリスト誕生から数日後(12月6日、公現節)に繰り広げられます。これについて、詳しくは、別の記事「東方の三賢者」まで。


これを書きながら、普段はあまり聞く事がないラジオ局、クラッシクFMにチューニングして、クリスマス・キャロルやクリスマス関係の曲のリクエスト番組を聴いています。ランチは、クラッシクFMのみんなの好きなクリスマス・キャロル、トップ30のカウントダウンを聞きながらになるでしょう。

だんなは、インターネットを使って、すでに数日前、クラッシクFMのサイトで、お気に入りのキャロル、In the Bleak Midwinterに一票入れた模様。これは、グスタフ・ホルスト(Gustav Holst)作曲のバージョンもありますが、彼が好きなのは、ハロルド・ダーク(Harold Darke)によるものの方。

私は、対抗して、現役英作曲家、ジョン・ラター(John Rutter)による比較的新しいキャロルである、Shepherd's Pipe Carolに一票、と思ったのですが、そうこうするうち、時間切れとなりました。

Uチューブで聞く、
In the Bleak Midwinter
Shepherd's Pipe Carol

メリークリスマス!

コメント

  1. Miniさんが選んだ曲に1票。ハッピーな雰囲気が好きです。ところで、どちらかがトップ30に入っていましたか。ブリューゲルの絵、好きです。見ていていろいろ発見があります。悲惨な題材のもあるけれど、見ていて飽きない。

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  2. 私の方の曲、盛り上がりますよね。17位でした。伝統的なものの中で好きなGod Rest Ye Merry Gentlemenは、14位。だんなのは、4位で、ホルストのバージョンに3位の座を取られていました。1位は、O Holy Night。去年もこれだったような気が。下のリンクに結果がのっています。
    http://www.classicfm.co.uk/christmas/carols/nations-top-30-christmas-carols/
    この番組、ちゃんと3時の、クリスマス恒例女王のスピーチの前に終わる様になっているのがみそです。

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  3. こんばんは
    ベツレヘム、ブリューゲルは大好きな画家です。大きな題材ですが、ささやかな日常の暮らしが描かれるのが気に入ってます。色調もいいですよね。この聖書の一説は私が高校生のころ通った教会のバイブル教室で牧師さんがテキストに使った箇所です。牧師さんは横田基地からくる方で、ベトナム戦争のさなかでしたから、忙しかった?でしょうに、数人の高校生に丁寧に聖書の話を英語でしてくださいました。初めて話したアメリカ人でした。
    クリスマスキャロル たくさん聞きたいです。

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  4. せつこさん、
    私もブリューゲルは大好きです。色々な要素が入っていて、見ていて飽きないのと、わりとあるテーマの絵でも、視点が変わっているのが良いです。
    ここに載せた聖書の英語訳は、「キング・ジェームズの聖書」と呼ばれて、400年前のジェームス1世の時代に訳されたもの。うちの家庭の聖書も、レンブラントの挿絵入りの、キング・ジェームスのものです。資料となるので、大切にしています。

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