息をひそめて冬を待つ


人恋しと泣けば十三夜
月はおぼろ淡い色具合
雲は月を隠さぬように、やさしく流れ
丸い月には流れる雲が
ちぎれた雲が良く似合う

風がさわぐ、今や冬隣り
逃げるように渡り鳥が行く
列についてゆけない者に、また来る春が
あるかどうかは誰も知らない
ただひたすらの風まかせ

神無月に僕はかこまれて
口笛吹く、それはこだまする
青い夜の空気の中に、生きてる者は
涙も見せず笑いも忘れ
息をひそめて冬を待つ

井上揚水の「神無月にかこまれて」の歌詞です。

また一年が過ぎた、と感じるのは、師走よりこの季節です。神無月に囲まれて、息をひそめて冬を待つのは、動物だけでなく、人間も。

初霜のうわさが流れ、スコットランドで雪の予報が出、毎朝、庭の芝は露にぬれ、昨日の夕方は外の空気が冷たく、吐く息が白かった。そして、昨夜は夜一度中起きたとき、素足が冷たく。

そろそろ、まだ踏ん張って咲いている夏の花たちを始末して、球根を植えたほうが良いものかどうか悩み。ここ2,3ヶ月、野原や森林に沢山食べ物が見つけられたためか、庭から姿を消していたブラックバード達を、ちらほらと見かけるようになる。彼らの大半に、また来る春があるように、餌出しをそろそろ開始しようか・・・。

イギリス在住の白鳥とは別に、冬になると、シベリアの白鳥たちが、この国へ渡ってくるのですが、昨日のニュースでは、彼ら、例年より3週間も早く、イングランドに上陸し始めたということ。これは、長く厳しい冬の前兆である・・・などとありがたくない事を言っていました。

ただ、この季節の快晴の朝は、一段と澄んだ空気の中、木々の葉の一枚一枚がはっきり見えるほど光がまぶしい時もあり。そんな中を歩くのは、非常に気持ちが良くもあり。口笛ふく、それがこだまする・・・そうそう、そういう感じの空気の張りです。

鮮やかに変わった木の葉の色は、夏への別れの最後のショーといった感じです。花火を揚げてファンファーレを鳴らして、また去って行く一つの季節を、見る者の記憶に焼き付けて。だんなが、本日2回目の退院で家へ戻ります。再び11月に病院へ戻る前に、何度かの散歩で神無月のショーを満喫することにします。

*一番上の絵は、ヴィクトリア女王のお気に入りの画家で、動物画に優れたエドウィン・ランドシーア(Edwin Landseer)のThe Sactuary。牡鹿が、狩人の追跡から逃れきったところのイメージを描いたものということ。ランドシーアは、一般の人には、トラファルガー広場の4頭のライオンの彫刻の作者と言ったほうがぴんと来るかもしれません。
この絵は、1842年に、ヴィクトリア女王が購入し、最愛のご主人アルバート公の誕生日プレゼントとして捧げたそうです。大昔に買った絵葉書をスキャンしました。

コメント

  1. 井上陽水は好きですが、この歌知りませんでした。歌詞がいいですね。神無月にこの内容を実感できるのは日本では北のほうだけかも。とうとう天気予報に雪マークがでました。来週の水曜日。これからの季節、この地では晴れた日の朝は白い靄で明けることが多くなります。

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  2. この人の日本語の使い方好きです。
    今朝は窓からのぞいた家々の屋根が白く霜っぽくなっていて、ますます、そういう気分になりました。さすがにイングランドは雪マークはまだだとは思いますが、サマータイムの終わりが、今からうっとおしいです。

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  3. こんにちは
    今日は秋らしい天気です。気温も下がりました。沼にも鴨が増えました。これから楽しみです。そして、カワセミもりっぱなのを見ました。
    井上陽水は同年代として外せません。息の長い歌手ですよね。フォークっぽいのからロック、歌謡曲、歌曲風と幅広いですもの。それにちょっと外した語り口も面白いです。真珠じゃないのよ涙は なんて好きな曲です。
    ご主人様もお帰りになって、ゆっくりですね。
    我が家は昨夜、まつたけ御飯でした。レトルトですけど、秋の味覚を楽しみました。さんまも美味しいですよ。ミニさんの秋の定番は何ですか?

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  4. 秋の味覚のマツタケご飯食べたいです。秋の定番、とりたてて無いのですよ。ナッツ類を沢山買ってきて、ナッツ・クラッカーで、割りながら、夕食のあと食べるくらいで。
    実は、だんなは、退院した翌日、39.6度の熱を出して、病院に戻り、いまだ、熱があがったり下がったりの状態です。本日は、病院通い休むつもりだったのですが、様態が変わらないようなので、午後、行く事にします。
    こちら、寒いけれど、再び美しい日となりました。

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