イギリスのEU国民投票開始
昨夜の豪雨の後、EU残留(Remain)か離脱(Leave)を決める、国民投票が、今朝7時から始まっています。投票所が閉まるのは夜の10時。今のところ、どちらに転ぶか微妙です。指定された投票所に行き、投票用紙を渡され、それには、
Remain a member of the European Union EUのメンバーとして残留する
Leave the European Union EUを離脱する
の2つの選択肢が書かれ、どちらか支持する方に、バッテンをつけるもの。
こうして、リメイン(Remain)とリーブ(Leave)が選択肢となっていて、EUに留まるか、あるいは、EUを離脱するかにたいして、「 Yes」と 「No」を選択肢としなかった理由は、ネガティブな観念のある「No」という言葉だと、心理的に「No」側が不利になるからという慮りがあったようです。
地域ごとにカウントし、最初の地域の結果が出るのがおそらく真夜中くらい。どちらが勝ったかは、明日の朝、マンチェスターの市庁舎にて発表となります。
保守党は、キャメロン首相率いる残留派、かつてのロンドン市長ボリス・ジョンソン率いる離脱派で真っ二つに割れています。ちなみに、かつての首相のジョン・メイジャーは、熱心な残留派。マーガレット・サッチャー時代の蔵相ナイジェル・ローソンは、離脱派なのですが、自分はちゃっかりフランスに住んでるんですよね、これが・・・。
EU離脱を最大の目的としてかかげるユーキップ(UKIP、イギリス独立党)以外の他の大きな政党は、名目上は、Remain。ですから、残留派(RemaIn)のキャンペーンは、政党を超えて、各政党から色々な人間が参加して戦われています。もっとも、一般的な労働党支持者の大半は、東欧からの大量移民を嫌がり、党の姿勢とは反対に、Leaveに投票をする感じです。
離脱となった際の、経済的打撃を非常に心配しているうちのだんなは、一昨日、昨日と、残留キャンペーンのビラ配り。約800枚のビラを、へとへとになりながら配っていたのですが、面白かったのは、ビラの数に限りがあるため、ターゲットになる、指定された地域のみに配ってくれと頼まれたこと。その指定された地域と言うのは、うちの町の中では、比較的大き目の、裕福な感じの家が並ぶ通り。要は、保守党支持者で、党内部が割れているため、どちらに投票すべきか決めかねている人物が住んでいる可能性の高い通りに的をしぼる・・・というのが根拠の様です。UKIP支持者が多いエリアは、全く見込みがないとして、ビラを入れても時間の無駄のよう。ビラを配りながら、何人かの住人と話をしたようですが、「五分五分の感じ。」だそう。「話をしたうちの離脱派の一人を、説得できた気がする。」なんて言ってましたが。だんなは、今日も、残留派キャンペーンのボランティアとして、何人かで、残留派最後の一押しのため、町中へキャンペーンへ繰り出しました。
今の段階で離脱したら、もう、後から、EUへ再参加する可能性は皆無。今は留まって、本当に嫌気がさしたら、また、離脱する機会は、後にもあるはず・・・というのも、うちのだんなが、残留に投票する理由付けのひとつです。「内部に留まって、賛成できないことがあったら、机を叩いて意見し、それでも、らちが明かなかったら、言う事を聞かずに、EUの指示に従わないことだって、できるわけだから。それで、EU側が嫌だったら、EU側に、イギリスを追い出させればいい。わざわざ、自分から進んで出て行くなんて事をする必要はない。」確かに。離脱側は、「EUからコントロールを奪回する」なんてのをキャッチフレーズとしていますが、出て行ったら、EUのやることに対するコントロールの方は一切失うことになりますし。
ただし、さすがに、どちらに転んでも、数に制限をつけずに移民を入れるというシステムは、何とかした方がいいんでしょうね。
という事で、うちの窓ガラスには、Vote Remainのポスターが張ってあります。ちなみに、私は、日本のパスポート捨てていませんので、投票の権利はありません。
経済状況を重視するなら残留。移民問題を第一の懸念とするタイプは離脱。ロンドン、オックスフォード、ケンブリッジなどの裕福な外向きの都市は残留派。農業に多くの東欧人が従事していていて、EUからの移民人口が高い、リンカンシャー州や、イーストアングリア地方、貧しく仕事の少ないイングランド北東部は、離脱派が強い一方、スコットランドは残留派が強い。また、若者は残留派が多く、年寄りは離脱派が多い、というのが、単純化した分析です。当然、例外はあります。また、えてして、自分の事を「British」でななく、「English」(イングランド人)と見るタイプの人は、離脱派が多く、大卒者は、残留派が多いとのこと。
夕方から、また一時的に雨が降ってくる予報ですが、さて、どうなりますか。
*****
町の目抜き通りで、残留キャンペーン活動をして戻って来ただんなの体験談
ボランティアのほぼ全員が労働党メンバーだったそうで、無党派は、うちのだんなと、近くで電気機器を製造輸出しているという会社経営の80代の男性のみ。(この男性、イギリスがEUに加盟する以前から、長くビジネスをしており、EUに加盟してから、ヨーロッパへの輸出が非常に楽になったのだそうです。)
通りを行き来する人を捕まえて、約100人くらいと話をしたなどと言ってましたが、議論をしていると、見解を変えたり、そういう風な考え方はしてみなかった、という人もいたとか。タブロイド紙が唄う、あまり根拠のない半事実をそのまま信じ込んでいるような人物にも、スローガンだけで流さずに、具体的に、事実を挙げて話してみれば、意見を変える人もいるもんだ・・・としみじみ、自分で納得していましたが。可笑しかったのが、「リーブのキャンペーンも、リメインのキャンペーンも、金持ち連中の中だけで話あってるだけだ。俺たちみたいな一般人には関係ない。」という男性が一人いて、よろっとしたシャツを着、擦り切れた靴を履いたうちのだんなを、上から下まで見た後、「あんたみたいな人がなんでキャンペーンしてるんだ?」なんてのたまったそうです。よほど、貧乏に見えたんですかね。
この際に、印象として言えることは、「自分もリメイン派だ」と言う人たちは、ほぼ全員、マナーが温和で穏やかなタイプだったそうです。子供連れのイタリア人の若い女性で、こちらでイギリス人と結婚して生活している女性なども近づいてきて、「この町にも、貴方たちのような、リメイン派がいて良かった。」なんて言っていたそうです。リーブ派支持者の方が、声を挙げ、攻撃的な感じのタイプが多いというのは、良く言われていた事ですが。
特に、罵りを受けたり、嫌な思いをすることもなく戻ってきました。ただビラ配りの途中で一軒だけ、上半身裸でドアからいきなり出てきた男性が、入れたばかりのビラを地面にたたきつけ、「こんなもの入れるな、持って行かないと警察呼ぶぞ!」と、どなってきたそうです。だんなは、「どうぞ、呼んで下さい。」と、そのまま去ったと言ってましたが。こういうキレやすい人間がたまにいるから、ビラ配りですら、やりたがる人あまりおらんのですよ。
さて、そして、キャンペーン後、投票に出ただんなが目撃した投票場での出来事。同時期に到着した男性が、投票用紙と鉛筆を渡され、「どうして鉛筆なんだ?ペンじゃなくて?ペン置いてないの?」と係員に聞いたのだそうです。係員は、「今日、何回も同じこと聞かれたけど、あなたも、デイリー・メイル読んだわけ?鉛筆しかおいてない。後で、変えたりしないから、大丈夫ですよ。」
この事件は、離脱を支持するデイリー・メイルというタブロイド新聞が、投票場で、ペンでなく、鉛筆を渡されるのは、もし、離脱を選んだ場合、後で、鉛筆で書かれたマークを消して、残留に変えられるようにするためだ、という陰謀説を載せたからだとか。MI5も、この陰謀説に関わっている可能性あり、とまことしやかに報道されているそうです。本当にそんな陰謀があったら、わざわざ鉛筆で書かれたものを消して、書き直すより、リーブの投票用紙をまとめて捨てて、リメインのマークがついたものとすり替えた方がずっと簡単でしょうに。MI5のスタッフが、机に向かって、消しゴムで投票用紙のマークをごしごし消している姿を想像するだに、笑ってしまいます。本当に心配な人は、自分でペンを持参しても良いということですけどね。やれやれ。
Remain a member of the European Union EUのメンバーとして残留する
Leave the European Union EUを離脱する
の2つの選択肢が書かれ、どちらか支持する方に、バッテンをつけるもの。
こうして、リメイン(Remain)とリーブ(Leave)が選択肢となっていて、EUに留まるか、あるいは、EUを離脱するかにたいして、「 Yes」と 「No」を選択肢としなかった理由は、ネガティブな観念のある「No」という言葉だと、心理的に「No」側が不利になるからという慮りがあったようです。
地域ごとにカウントし、最初の地域の結果が出るのがおそらく真夜中くらい。どちらが勝ったかは、明日の朝、マンチェスターの市庁舎にて発表となります。
保守党は、キャメロン首相率いる残留派、かつてのロンドン市長ボリス・ジョンソン率いる離脱派で真っ二つに割れています。ちなみに、かつての首相のジョン・メイジャーは、熱心な残留派。マーガレット・サッチャー時代の蔵相ナイジェル・ローソンは、離脱派なのですが、自分はちゃっかりフランスに住んでるんですよね、これが・・・。
EU離脱を最大の目的としてかかげるユーキップ(UKIP、イギリス独立党)以外の他の大きな政党は、名目上は、Remain。ですから、残留派(RemaIn)のキャンペーンは、政党を超えて、各政党から色々な人間が参加して戦われています。もっとも、一般的な労働党支持者の大半は、東欧からの大量移民を嫌がり、党の姿勢とは反対に、Leaveに投票をする感じです。
離脱となった際の、経済的打撃を非常に心配しているうちのだんなは、一昨日、昨日と、残留キャンペーンのビラ配り。約800枚のビラを、へとへとになりながら配っていたのですが、面白かったのは、ビラの数に限りがあるため、ターゲットになる、指定された地域のみに配ってくれと頼まれたこと。その指定された地域と言うのは、うちの町の中では、比較的大き目の、裕福な感じの家が並ぶ通り。要は、保守党支持者で、党内部が割れているため、どちらに投票すべきか決めかねている人物が住んでいる可能性の高い通りに的をしぼる・・・というのが根拠の様です。UKIP支持者が多いエリアは、全く見込みがないとして、ビラを入れても時間の無駄のよう。ビラを配りながら、何人かの住人と話をしたようですが、「五分五分の感じ。」だそう。「話をしたうちの離脱派の一人を、説得できた気がする。」なんて言ってましたが。だんなは、今日も、残留派キャンペーンのボランティアとして、何人かで、残留派最後の一押しのため、町中へキャンペーンへ繰り出しました。
今の段階で離脱したら、もう、後から、EUへ再参加する可能性は皆無。今は留まって、本当に嫌気がさしたら、また、離脱する機会は、後にもあるはず・・・というのも、うちのだんなが、残留に投票する理由付けのひとつです。「内部に留まって、賛成できないことがあったら、机を叩いて意見し、それでも、らちが明かなかったら、言う事を聞かずに、EUの指示に従わないことだって、できるわけだから。それで、EU側が嫌だったら、EU側に、イギリスを追い出させればいい。わざわざ、自分から進んで出て行くなんて事をする必要はない。」確かに。離脱側は、「EUからコントロールを奪回する」なんてのをキャッチフレーズとしていますが、出て行ったら、EUのやることに対するコントロールの方は一切失うことになりますし。
ただし、さすがに、どちらに転んでも、数に制限をつけずに移民を入れるというシステムは、何とかした方がいいんでしょうね。
という事で、うちの窓ガラスには、Vote Remainのポスターが張ってあります。ちなみに、私は、日本のパスポート捨てていませんので、投票の権利はありません。
経済状況を重視するなら残留。移民問題を第一の懸念とするタイプは離脱。ロンドン、オックスフォード、ケンブリッジなどの裕福な外向きの都市は残留派。農業に多くの東欧人が従事していていて、EUからの移民人口が高い、リンカンシャー州や、イーストアングリア地方、貧しく仕事の少ないイングランド北東部は、離脱派が強い一方、スコットランドは残留派が強い。また、若者は残留派が多く、年寄りは離脱派が多い、というのが、単純化した分析です。当然、例外はあります。また、えてして、自分の事を「British」でななく、「English」(イングランド人)と見るタイプの人は、離脱派が多く、大卒者は、残留派が多いとのこと。
夕方から、また一時的に雨が降ってくる予報ですが、さて、どうなりますか。
*****
町の目抜き通りで、残留キャンペーン活動をして戻って来ただんなの体験談
ボランティアのほぼ全員が労働党メンバーだったそうで、無党派は、うちのだんなと、近くで電気機器を製造輸出しているという会社経営の80代の男性のみ。(この男性、イギリスがEUに加盟する以前から、長くビジネスをしており、EUに加盟してから、ヨーロッパへの輸出が非常に楽になったのだそうです。)
通りを行き来する人を捕まえて、約100人くらいと話をしたなどと言ってましたが、議論をしていると、見解を変えたり、そういう風な考え方はしてみなかった、という人もいたとか。タブロイド紙が唄う、あまり根拠のない半事実をそのまま信じ込んでいるような人物にも、スローガンだけで流さずに、具体的に、事実を挙げて話してみれば、意見を変える人もいるもんだ・・・としみじみ、自分で納得していましたが。可笑しかったのが、「リーブのキャンペーンも、リメインのキャンペーンも、金持ち連中の中だけで話あってるだけだ。俺たちみたいな一般人には関係ない。」という男性が一人いて、よろっとしたシャツを着、擦り切れた靴を履いたうちのだんなを、上から下まで見た後、「あんたみたいな人がなんでキャンペーンしてるんだ?」なんてのたまったそうです。よほど、貧乏に見えたんですかね。
この際に、印象として言えることは、「自分もリメイン派だ」と言う人たちは、ほぼ全員、マナーが温和で穏やかなタイプだったそうです。子供連れのイタリア人の若い女性で、こちらでイギリス人と結婚して生活している女性なども近づいてきて、「この町にも、貴方たちのような、リメイン派がいて良かった。」なんて言っていたそうです。リーブ派支持者の方が、声を挙げ、攻撃的な感じのタイプが多いというのは、良く言われていた事ですが。
特に、罵りを受けたり、嫌な思いをすることもなく戻ってきました。ただビラ配りの途中で一軒だけ、上半身裸でドアからいきなり出てきた男性が、入れたばかりのビラを地面にたたきつけ、「こんなもの入れるな、持って行かないと警察呼ぶぞ!」と、どなってきたそうです。だんなは、「どうぞ、呼んで下さい。」と、そのまま去ったと言ってましたが。こういうキレやすい人間がたまにいるから、ビラ配りですら、やりたがる人あまりおらんのですよ。
さて、そして、キャンペーン後、投票に出ただんなが目撃した投票場での出来事。同時期に到着した男性が、投票用紙と鉛筆を渡され、「どうして鉛筆なんだ?ペンじゃなくて?ペン置いてないの?」と係員に聞いたのだそうです。係員は、「今日、何回も同じこと聞かれたけど、あなたも、デイリー・メイル読んだわけ?鉛筆しかおいてない。後で、変えたりしないから、大丈夫ですよ。」
この事件は、離脱を支持するデイリー・メイルというタブロイド新聞が、投票場で、ペンでなく、鉛筆を渡されるのは、もし、離脱を選んだ場合、後で、鉛筆で書かれたマークを消して、残留に変えられるようにするためだ、という陰謀説を載せたからだとか。MI5も、この陰謀説に関わっている可能性あり、とまことしやかに報道されているそうです。本当にそんな陰謀があったら、わざわざ鉛筆で書かれたものを消して、書き直すより、リーブの投票用紙をまとめて捨てて、リメインのマークがついたものとすり替えた方がずっと簡単でしょうに。MI5のスタッフが、机に向かって、消しゴムで投票用紙のマークをごしごし消している姿を想像するだに、笑ってしまいます。本当に心配な人は、自分でペンを持参しても良いということですけどね。やれやれ。
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