イギリスで、最近、皿が売れない理由

ちょっと前に、近頃は、皿(plate)というものの売り上げが減っているという報道を聞いたのを覚えています。相対して、ボウル(bowl)の売り上げが急上昇なのだそうで。どんぶりの様な深いボウルから、浅めのボウルまで。要は、イギリスで食事をする時に、皿に食べ物を並べる人が減り、ボウルから食べる人が増えている、という現象を反映しているのだそうです。

この現象の理由として、まずは、食卓にきちんと座って食べる人が減っており、ソファーに座ってテレビを見ながらの食事だと、ボウルからの方が食べやすい、という事実。さらに、有名シェフなどが、きちんとしたディナープレートを並べての正式の晩餐的なものより、もっと肩の力を抜いたカジュアルな食べ方をファッショナブルとしている傾向。食べ物の嗜好が、がっしりとした肉と野菜の付け合わせてきなものを毎日食べる習慣から、クスクスやキヌアなどの、ちょいとエキゾチックな穀物などを使用してのヘルシー傾向の食べ物へと移行しているという理由もあるそうです。

また、ソーシャルメディアが盛んになり、食べる前に、ご飯の写真を撮ってインスタグラムなどでネットに載せる人が増えていることにも関係があり、皿に盛ったご飯より、まな板やボールに入れた食べ物のほうが、綺麗で美味しく見える、というのも手伝っているようです。

そう言えば、食べ物をまな板の上に並べて出す、というレストランは増えており、先日入ったカフェも、サラダつきアスパラガス・キッシュを注文したところ、上のように、まな板にのって出てきました。たしかに、なぜだか、オシャレ感があるのです。

ちょっと脱線しますが、このカフェ、なかなか良かったですね。ブック・カフェという名で、カフェ内にある本だなに並ぶ古本を、借りたり、読んだり、買ったりできるというお店でした。

内部のインテリアも素敵で、

木製の引き出しをプランター代わりに使用したりしていました。と、脱線したところで・・・

日本人としてみれば、最初から、ウェッジウッドなり、なんなりの同じ模様のディナーセットをそろえ、お行儀よくお皿からディナーをいただく・・・というのは、つまらないし、大変とは思っていたのです。大体、セットでそろえたものが欠けたとしたら、また同じものを補給せねばならないですし。

小さかったり、おおきかったり、形もデザインもまちまちだったりする、様々な皿や、ボウル(どんぶり)を寄せ集め、ミックスして並べる日本の食卓の偉大さと、日本の繊細な美的感覚に、ようやくイギリスも近づいてきたなという感じでしょうか。ぎゅうぎゅうで堅苦しいディナージャケットから解き放たれて、もっと遊び心のある食器揃えをはじめたわけで。

考えてみれば、まな板の上に食べ物を並べるなんてのも、すしや刺身でよくやる事ですし、おにぎりなんかは、葉の上に並べるなんていう粋な事を、昔から日本はやっていたわけですので。

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