第2回目のEU国民投票請願とロンドン独立都市への請願

ロンドン市長サディク・カーン
イギリスのEU国民投票で、大半が残留派だったロンドン。EU離脱に怒ったロンドン市民により、現ロンドン市長サディク・カーンに申請する、ロンドンを独立させようというオンライン・ペティション(請願)が始まり、すでにかなりの票が集まっているという話を聞きました。独立都市としてEUに留まろうというもの。現実味はないですが、少なくとも、離脱派政治家たち、特に前ロンドン市長、ボリス・ジョンソンを気まずくさせることはできる。ちなみに、サディク・カーンは、パキスタン系移民であったバス運転手の息子。コスモポリタンなロンドンにふさわしい顔です。常々思っていたのですが、ニューヨークがアメリカを代表しないように、ロンドンを見ていただけでは、イギリス全土は読めないのです。

やはり残留派が多数であったスコットランド議会は、すでに、EUに独立国としての残留の可能性のお伺いをし、2回目の独立国民投票を行う姿勢を出しています。前回の独立国民投票では、スコットランドには居残ってほしいと思ったのですが、今回は、こんな馬鹿なイングランドを残し、サヨナラしても責められないという気がします。

また、同時に、離脱派が60%に満たなかったとして、第2のEU国民投票を行おうという請願も始まり、立ち上がったばかりで、多数のサインを集めています。こちらは、私のような、イギリスのパスポートを持たない住民もサインできるので、さっそくサイン。EU脱退で陰った空に多少の希望の光?
EU第2回国民投票ペティション

追記
この2回目の国民投票請願は、なんでも、投票が閉まった段階で負けそうだと思ったリーブ派が出したそうで、離脱派が勝利した結果、残留派が大挙してサインをし始めたのだそうです。請願を出した人間は、今になって、残留派に、請願が乗っ取られたなんて文句言ってます。どんなにサインの数が増えても、もう2回目の国民投票の可能性はないということ。ただし、数が多ければ、離脱派政治家へのプレッシャーにはなりますか。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-eu-referendum-36634407

EUからのイギリスの離脱は、Brexit (ブレグジット、Britain + Exit)と言われていますが、離脱に投票したものの、それが現実となると、将来を心配し始め、自分が投じた票を後悔する、Bregret (ブレグレット、Britain + Regret)なる現象も現れています。現政権や、ロンドンのエリートや現政権に対するプロテスト票として投票したなんて人もいるようですから。こんな大切な事を決める投票で、プロテストも何もあったものではないのに。だんなが、学校の先生をしている幼馴染に電話をしたところ、彼はショックだと言いながら、「実は、自分も、現政権をぎゃふんと言わせようと、離脱に投票してしまった、勝つと思わなかったから。」などと言って。投票場から自宅へ帰る途中で、すでに後悔が始まり、離脱が勝ってしまった後、愕然とし、大急ぎで2回目の国民投票請願にサインしたのだそうです。彼の奥さんは、フランス人でもあるのに・・・。彼によると、移民を減らせ、と意気込む右翼政治家が力を増して来ているフランスでも、仮に今、EU国民投票をしたら、60%が離脱を指示するという調査も出ているのだそうです。なんだか、第2次世界大戦前の、ドイツ、ナチスの台頭みたいな。

蛇顔ナイジェル・ファラージ
ロンドンのエリートが大嫌いという、離脱に票を入れた一部の人間がヒーロー扱いする、イギリス独立党(ユーキップ)のリーダー、ナイジェル・ファラージにしても、保守党のボリス・ジョンソンにしても、エリートである事には変わらないんですけどね。爬虫類の顔をしたナイジェル・ファラージのユーキップを支持するタイプは、人種差別者が多く、あらゆる移民を毛嫌いしているのがほとんどなどで、彼らには、ブレグレットはないでしょうが。可笑しいのが、ナイジェル・ファラージの奥さんはドイツ人。非国民め!自分の意見を反映して、イギリス人と結婚しなさい!電車やバスの中で、外国語ばかり聞こえてくるのが嫌だ、なんていう発言もしている彼です。彼の奥さんと子供も、きっとドイツ語で喋ってるんでしょうにね。

道化師ボリス・ジョンソン、これが将来のイギリスの首相?本当に???
道化師ボリス・ジョンソンなどは、デイヴィッド・キャメロンと同じく、パブリック・スクールからオックスフォードに入った人で、キャメロンと同じくらいか、それ以上の、上流おぼっちゃま君。

EU離脱のための2年かかるという過程を開始するには、イギリス側から、「離脱します」という正式な申請をEU側に通達して始まりますが、今のところキャメロン首相は、それは次の首相の役目だとして、あと約3か月の自分が留任する間は行わない模様。一方、EU側は、「出ていくなら、さっさとその過程を始めてくれ」と、せかし始めています。離脱派の政治家たちも、今になって、「離脱のプロセス開始は、ゆっくり時間をかけて、状況がイギリスにいい様になってから。」と、足摺をしていている・・・。「いつやるんだ?」とニュースキャスターに聞かれても答えない。まあ、今年中には、などという中途半端な感じ。離脱プロセスを開始したら、もう後戻りはないですから。結果、イギリスに有利な条約が結べず、経済がぐちゃぐちゃになった場合の責任の重さが、段々、現実化し、怖くなっているのではないでしょうか。更には、移民の数を減らすと約束したはいいが、本当にできるのか。崖っぷちに立って、「飛ぶぞ、飛ぶぞ」と言いながら、「じゃあ、飛んでみろよ」と言われ、思いきれずに冷や汗かいている状態。

ある説によると、首相となる野心のあるボリス・ジョンソンは、本当は、EU離脱をしたいと思っておらず、実際に離脱派がいい線は行っても、勝つとも思っていなかったという話もあります。自分のプロファイルを挙げるために保守党の離脱派を率いて戦い、思いがけず勝ってしまい、現在、どうしたものか途方にくれている、というのです。ボリス・ジョンソンの粗忽者ぶりを考えると、あり得る話であるところがおそろしい。あんな人間に、首相になって欲しくないですが。いずれにしても、狂気の沙汰としか思えない、このBrexitドラマは、次にどんな展開を見せるでしょうか。

この結果が分かってから、まるで、今まで、永住しようと、大好きだったイギリスが違うものに変わった気がしています。はっきり言えないけれど、空気が違う、雰囲気が違う。いつの日か、この国から出ていくことがあるかも、という考えも漠然と頭に浮かび始めています。

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