アーティチョークの大きな花

去年の初夏、庭の奥に新しい小さな畑コーナーを設け、スーパーではあまり売っていないような、少し変わった野菜を育ててみようと、アーティチョーク(artichoke)の苗を何本か買ってきて植えたのです。アーティチョークは、南欧などに比べ、イギリスでは、さほど人気の食べ物ではありませんが、私は好きなので。育てるのはわりと簡単で、巨大な葉がにょきにょき、背もぐんぐん高くなり、そのうち、爬虫類の皮膚の様な皮に包まれた丸い蕾が出てきたので、これらの蕾が、こぶしより大きくなった段階で、食用に、何個か収穫しました。

収穫した蕾は大きいものの、実際、食べられる部分と言うのは、アーティチョークのハート(artichoke hearts)と呼ばれる、蕾の下部の芯の部分のみで、周辺の蕾の皮と、その内部にある、チョーク(choke)と称される、ぷわぷわの綿毛のような部分を取り除く必要があります。この作業、結構、指がちくちくするし、時間がかかるのです。空気にあたると変色するので、レモンをこすりつけながら、やっと切り出したアーティチョークのハートは、「え、これだけ・・・?」という感じで、とても小さい。これを、レモンを入れた熱湯でゆで、切り刻んで、ドレッシングにまぶして、サラダにして食べました。苦労したわりには、本当にわずか。蕾が、ゴルフボールくらいの大きさの時に収穫すると、まだ全体がやわらかく、茹でれば丸ごと食べられるという話ですが、これは試したことはありません。

なんでも、伝統的なフランスの食べ方には、大きな蕾を、丸ごとそのまま、レモンスライスと一緒に40分ほどゆでて、その後、皮を一枚一枚取って、クリームやドレッシングなどにつけながら、皮の肉を、歯でしゅーっとこすぎ取りながら食べ、最後に、アーティチョークのハートをいただく・・・というのもあるそうです。こちらは、以前、買ってきたアーティチョークで試したのですが、いちいち何枚も皮を食べるのが面倒だったですね。それほど食べる部分もないのに。人が来たとき出すのには、ちょっとした余興にはなるくらいで。

手がかかるわりには、食べられる量が少ないので、以後、食用には、店で売っているアーティチョークのハートの油付けの瓶詰めを買って満足することにします。ということで、今年は、庭のアーティチョークは、人間の食用にする代わりに、観賞用と、蜂の食用になるよう花を咲かせてみよう、と収穫せずに、そのままつぼみを放っておく事としました。ちなみに、冬季は葉が枯れて消えうせますが、春になるとまた、勢い良く伸びてきます。

アーティチョークは、アザミ科の植物ですが、確かに、花は、巨大アザミ。鮮やかな紫です。バンブルビーがやって来て、もぞもぞと、蜜の物色をしています。

確かに、ずっと見ていると、入れ替わり立ち代り、色々な蜂が訪れています。これは、かなり小型の単独行動をする蜂。足に花粉を沢山ためこんで、可愛いな。

蜂だけではなく、ハナグモも、やってきてしまった!上の写真で、花粉の様に黄色くなりすませて隠れているハナグモが見えるでしょうか。白いハナグモは以前、何度も見たことがありますが、黄色に変身しているものを、うちの庭で見たのは、これが初めてです。(ハナグモに関して、詳しくは以前の記事、こちらまで。)

ミツバチが、段々、ハナグモに近づいていく・・・。ミツバチが、クモに、がぶっとやられるのを見るのが嫌なので、そんな事になる前に、ふっと息を吹きかけて、ミツバチを飛ばせました。本当は、あんまり介入は良くないのかもしれませんが、その後、枝でハナグモをつまみ上げ、庭の奥に移動させて。また、すぐに別の花に戻って、獲物を狙うでしょうから、同じことなんですけどね。クモも生きにゃあかんですから。

アーティチョークの花が終わった後は、しばらく、そのままにしておけば、結構おもしろいオブジェの様な感じで、ドライフラワーにも使用されたりするようです。秋の終わりには、乾いた頭を茎ごと切り取り、まとめて庭の奥において置くと、虫の冬越しの場にもなって良いようですし。一般の庭で育てるには、アーティチョークは、食用としてより、観賞用、また、庭のワイルドライフに良い植物としての価値の方が高いと思います。

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