リージェンツ運河

ロンドンとバーミンガムを結ぶ運河は、グランド・ユニオン運河(グランド・ユニオン・カナル)。リージェンツ運河(リージェンツ・カナル)は、この巨大なグランド・ユニオン運河の一環で、ロンドンのパディントンから、東へ走り、リージェンツ・パークの北を抜け、カムデン・タウン、イズリントン、ハックニー等を通り、ライムハウスにて、テムズ河へ通じています。こちらの地図で見ると、Grand Union Canal (Regent's Canal) と記載されています。

リージェンツ運河は、リージェンツ・パークやリージェント・ストリートと同様、プリンス・リージェント(摂政王子、後のジョージ4世)が父親ジョージ3世が狂気の発作を起こしたための摂政時代(リージェンシー)に建設されたため、この名がついています。リージェンツ運河の、パディントンとカムデン間の開通は1816年。残り部分は1820年開通。

まだ車や鉄道の無い時代は、物資の移動に重要な役割を果たした運河も、今は、もっぱら、国民にレジャーと憩いの場を与えています。

そうそう、物資の移動・・・といえば、1874年10月、この運河のリージェンツ・パーク北門付近で、砂糖やナッツなどのほかに多量の火薬を運んでいた船が何かの原因で発火し、大爆発を起こす、という事件も記録されています。乗組員4人は全員吹き飛ばされ死亡。周辺の建物に多大な被害をもたらし、かなり遠くの建物も、窓ガラスが割れるなどの被害が出たそうです。

もう、火薬を運んだボートがわきを通る心配も無いですから、運河沿いはお散歩には絶好です。なにせ、平坦ですし、車も見ずに、のんびりと歩ける。また、ひたすら、運河沿いに歩けば、道に迷うことも無い。(間違って、反対方向へずんずん歩いてしまい・・・あれ、思った場所になかなかつかないぞ!ということはあるかもしれませんが。)リージェンツ・パーク北東部から、パディントンの北にあるリトル・ベニスまでの運河沿い歩道は、特に、静かで距離もちょうどよく、周辺を訪れると、時に足を運びます。

ロンドン動物園の動物たちなども運河の向こう側に目に入り。

橋の下、橋にうつる水の反映もきれいです。

運河脇には、ボート・ハウスなども停泊して、生活している人たちもいます。このボート・ハウスの住人は、鉢植え園芸に凝っている様子で、ボートの周りは鉢だらけ。ボート・ハウス自体は、普通の家を買うよりは安いでしょうが、場所によっては、停泊代が高いですからね。こんなロンドンの一等地に停泊させるのは、結構お金かかるのではないでしょうか。

親亀の上に小亀が乗って・・・ではないですが、ボートの上にカヌーを乗せて、その中にポットが入っている・・・。

さて、ずっと運河沿いを西へと進み、辿りつくのは、リトル・ベニス。

リトル・ベニスは、3本の運河が出合う、3角形の運河の交差点のような場所。ここから北西に流れる運河は、上述のグランド・ユニオン運河で、これは最終的にはバーミンガムまで続くわけです。南は、リージェンツ運河の始点、パディントン・ベースン(パディントン貯水場)へと行きます。

ボートを利用したカフェなどもあり。

それなりに雰囲気ありますが、ベニスというよりは、リトル・アムステルダムと呼んだほうがいいような気がします。

大昔、はじめてイギリスに来てロンドン観光した時にも、このリトル・ベニスを訪れました。ちょうど、何かの催しがあり、それはカラフルなボートやカヌーでいっぱいだったのを覚えていますが、この日はなんだか、がらーんとしてました。

この記事に載せた写真を撮ったのは、初春でしたが、これからの季節、枯葉を踏みながら、頭の中でバイオリンのメロディーをかなで、ロマンチックな気分での散歩をするにも、運河沿いはもってこいなのです。

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