サッカーがイングランドに戻ってくる

It's coming home,
It's coming home,
It's coming
Football's coming home!

戻って来るぞ、
戻って来るぞ、
来るんだ、
フットボール(サッカー)がイングランドに戻って来るんだ!

これは、1996年に、イングランド主催で行われた、UEFA欧州選手権(UEFA Euro '96)の際に、ライトニング・シーズ(The Lightning Seeds)により歌われ、リリースされたシングル「スリー・ライオンズ(フットボール・イズ・カミング・ホーム)」(Three Lions, Football's coming home)のコーラス部分。スリー・ライオンズ(3匹のライオン)は、イングランド代表のシンボルを指し、以後も、サッカー大会があると盛んに歌われる曲です。

この96年欧州選手権では、イングランドは、準決勝まで進み、東西統合して初めてのドイツ代表にPK戦で敗れています。この時、イングランド側のPKをミスったのが、ガレス・サウスゲート、現イングランド代表の監督(上の写真)です。私はこの準決勝、ロンドンの混み混みのパブで見たのですが、試合が始まってから、パブを探して入ったので、通りはしーんとしているのに、どのパブもこのパブも満員御礼、2,3件回ってから、やっと、確か、トッテンナム・コート・ロード周辺の、とあるパブで、テレビの前に潜り込み、本当に最後の方だけ、立ち見観戦した記憶があります。それは、みんな、最後の最後のPKで、がーっくり。

比較的地味なガリス・サウスゲート率いるイングランド代表、今ロシア大会開始前は、あまり期待もされておらず、さほど騒がれてもいなかった感じです。そこまでサッカー狂でない私も、監督のサウスゲートと、ハリー・ケイン以外の選手は誰も知らなかった。なのに、気が付くと、昨日の対スウェーデン戦、2対0で、準決勝進出が決定。久々の好ニュースで、イングランド各地で大騒ぎとなり、試合後、誰もが盛んに、「ついに、フットボール・イズ・カミング・ホームかな?」と口にしていました。ただ、昨日の試合を見ていて思ったのが、それぞれのチームの、ファンの美しさ比べをしたら、スウェーデンの圧勝ですね。スウェーデンのお兄さんもそうだけど、お姉さんも、ブロンド美人が沢山映っていました。イングランドの観客の方は・・・うーん・・・まあ、言わないでおこう。

イングランドが、過去、最後に、ワールドカップで準決勝まで進んだのは、「スリー・ライオンズ」がリリースされた96年の欧州大会から、更に6年戻った、1990年のイタリア大会。この時も、準決勝では、当時の西ドイツにPK戦で敗北。今回、ガレス・サウスゲート率いるイングランド代表は、若い選手が多く、28年前のイタリア大会では生まれていなかった選手も沢山。私は、当然生まれており、まだ青春してましたよ。1990年の夏は、イタリア人の友達と、たまたまイタリア旅行をしていたのです。大会のイメージソングとして、ルチアーノ・パヴァロッティの歌うネッスン・ドルマ(Nessun Dorma、誰も寝てはならぬ)が流れるイタリア。上記の通り、イングランドは、対西ドイツに準決勝負け。もうひとつの準決勝が、イタリア対アルゼンチン。この試合があった日は、フィレンツェに泊まっており、広場で飲み物やスナックを売っていた屋台の小さなテレビを囲んで、イタリアのおじさんたちと、当試合を観戦しました。マラドーナがボールを奪って走るたびに、大興奮のおじさんたちは、「ノ!マーラードーナー!ノー!」と大騒ぎ。イタリアは先行点を入れながら、アルゼンチンに1点を許し、このアルゼンチンのゴールの直後、観戦していたイタリアおじさんのひとりは、テレビを持ち上げ、ゴールが映っているのと反対側にテレビを傾け、ボールをゴールから転がりださせようという、すごい事をして、観戦していた人たちは、がっかりしながらも、これには大笑い。店の人は、テレビを壊されちゃかなわぬと、あわてて止めていましたが。この後、イタリアも確か、PKでアルゼンチンに負けたのでした。いまだ、私は、フィレンツェというと、この、ワールドカップの最中の、街かどテレビの風景が頭の中によみがえる次第です。・・・と、イングランドのサッカーの話から少々脱線したところで・・・

イングランドが、ワールドカップの優勝を果たしたのは、なんと遡る事、1966年。この大会でも、イングランド主催であったため、決勝戦はロンドンのウェンブリー・スタジアムでの対西ドイツ戦でした。以来、欧州選手権、ワールドカップで、優勝のトロフィーを手にすることがないままのイングランド。

「スリー・ライオンズ」の残りの歌詞は、イングランドのサッカー代表、なんかいけそうでいて、いまひとつ、だめなんだよな、それでも、夢はすてないぞ、のような、面白可笑しい内容になっています。

Everyone seems to know the score
They've seen it all before
They just know
They're so sure
That England's gonna throw it away
Gonna blow it away,
But I know they can play,

Cause I remember
Three lions on a shirt,
Jules Rimet still gleaming,
Thirty years of hurt,
Never stopped me dreaming

So many jokes, so many sneers
But all those oh-so-nears,
Wear you down through the year,
But I still see that tackle by Moore,
And when Lineker scored,
Bobby belting the ball,
And Nobby dancing

Cause I remember
Three lions on a shirt
Jules Rimet still gleaming
I know that was then
But it could be again

It's coming home
It's coming home
It's coming
Football\s coming home

みんな、得点を知っているようだ
前にもあったこと
みんな、わかってるんだよ
みんな、そりゃーよくわかってる
イングランドは、後で逆転されるって
点入れたって無駄にするって
でも、僕は知っている、イングランドは素質はあるんだよ

だって覚えているんだ
3匹のライオンがシャツの胸にあり
ジュール・リメ(ワールドカップのトロフィー)が輝いていたこと
(1966年優勝からの)30年の傷心の後も
夢見る気持ちは止まらない

冗談や、嘲笑のネタにされ
繰り返される「ああ、惜しかった」に
年を重ねるにつれ、疲れ果て
でも、まだ覚えてる、ボビー・モーアのタックルを
ゲーリー・リネカーのスコアを
ボビー・チャールトンのボールの蹴り込み
ノビー・スタイルズがダンスしたのを

だって覚えているんだ
3匹のライオンがシャツの胸にあり
ジュール・リメが輝いていた事
知ってるよ、過去の事だと
でも、再び成しえる可能性だってある

戻って来るぞ
戻って来るぞ
戻って来るんだ
フットボールがイングランドに戻って来る

近代サッカーのルールを形作ったのは、イングランドとされていますから、「Football's coming home」というフレーズは、生みの親のイングランドにサッカーがまた戻って来る、また花開いて蘇る、という意味でしょう。さあ、対クロアチアとの準決勝、どうなることやら。サッカーは本当に、イングランドに戻って来るかな?

さて、監督のガリス・サウスゲートは、試合の度に、冒頭の写真のように、ウェストコートを着用している、その紳士っぽいスタイルが話題を呼んでいます。本日、テニスクラブに出かけて行ったうちのだんなは、私が日本からの土産に買った、パンダちゃんの漫画が入る白いTシャツの上に、「余興だから」と、箪笥の奥深くから取り出した、サウスゲート風のウェストコートを着込んで、出かけていきました。これを最後に着たのは、もう20年以上前だとかで、前ボタンはぴちぴちで閉まらず、Tシャツのパンダちゃんの漫画が見えたままの、妙ないでたち。ちょっと笑いを取るために、暑い中、あんなものを着て出ていくわが夫に、少々、あきれると同時に、にやけました。

追記 (7月12日)

昨夜のイングランド対クロアチア、毎度おなじみの筋書となってしまいました。先行点をながら、クロアチアにどんどん押されて、「これはそのうち、点を入れられてしまう、入れられてしまう」と思っているうちに同点。そして、そのまま続く、クロアチアからの押せ押せで、「これは逆転される、逆転される」と思っているうちに、延長時間内で逆転負け。若返ったイングランドチームでも、なんか、パターンは同じというのが・・・。この感じでは、3位決勝戦で、ベルギーを下せるとも思えないし、これからも、しばらくは、夢を見るイングランド・ファンたちによって、「スリー・ライオンズ」は歌われ続けそうです。

そして本日の午後、サッカーが戻って来る代わりに、イングランドにやってくるのは、ドナルド・トランプ!

コメント

  1. 日本は残念ながらベルギーに破れベスト8には進めませんでした。でも予想外の成績だと思います。イギリスもそうなんですね。クロアチア戦たのしみですね。チョキとかベストと言うのではなくてウェストコートと言うのですね。かっこいいと思います。

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    1. 日本は残念でした。相手が、ベルギーではなく、イングランドだったら、意外と、勝っていたかも。客観的には、クロアチア対イングランドよりも、決勝でもいいような、明日のフランス対ベルギー戦の方が、見ていて面白いかもしれませんね。

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