ロンドン塔でポピー植え

前回の記事「フランダースの野で」に載せた写真と、当記事冒頭の写真は、ロンドン塔(Tower of London)の堀に植えられた陶器のポピー(ケシの花)の様子です。

今年、2014年が、第一次世界大戦開始から100年目であるため、8月5日より、第一次大戦の終戦日である11月11日まで、ロンドン塔の芝に覆われたお堀に、大戦中に命を落とした旧植民地を含む大英帝国の兵士達の数(888246)だけ、陶器のポピーを植えていく、というものです。題して、 'Blood Swept Lands and Seas of Red' (血に紅に染まった大地と海)。セラミック・アーティスト、ポール・カミンズ(Paul Cummins)氏と、舞台装置家トム・パイパー(Tom Piper)氏のコラボによるインストレーション。大英帝国の旗の下、イギリス国内のみならず、世界各地のイギリス植民地からも、多くの戦士が戦線に送られ、戦線は、白人ばかりではなかったわけです。特に、インドなどは、かなりの兵士を、この戦争で失っています。

ディスプレイ期間中、総計8000人近くのボランティアを起動して、少しずつ植えていくため、お堀の中、ポピーの赤が、満ち潮の波の様に広がっていく事となります。

私も、先月、この田植えならぬ、ケシ植えのボランティアに出かけてきました。ボランティアなどと言うと、善行のような響きがありますが、危険な場に乗り込んで、人助けをするような果敢な人たちのボランティアとは違い、大方のボランティアというのは、自分の楽しみと満足感が大部分を占めるものがあります。私も「良い事しよう」というより、記念になるし、めったに入れない、ロンドン塔の堀に降りれる、という野次馬根性が、これに参加した主な理由。ポピー植えは、あと一ヶ月は続く予定でしょうが、このボランティア応募者の数が非常に多かったようで、現段階では、すでに満杯になった様子。早めに申し込んで、行って来て良かったなと思っています。

ゴムのストッパーを通した鉄の棒を、地面に打ち込んで、そこへ陶器のポピーをさして、更に上から、再びゴムのストッパーで固定していく作業。集合した後、「Volunteer」と背中に書いた真っ赤なTシャツを着せられ、オリエンテーションのビデオを見て、説明を受けた後、すぐに作業開始。

怪我をしないようにと、手袋やゴーグルを着用したりしましたが、一緒にペアで作業した、小学校の先生だというお姉さん、開始後10分にして、鉄棒で親指と人差し指の間を突っついて負傷。絆創膏をはって、作業をする羽目になってしまいました。この日は、陶芸家のカミンズ氏も、お堀の中に見学に現れ、目ざとく、彼を見つけたお姉さん、一緒に写真なども撮ったりもして、終わった後は、ちょいと痛い目にあったけど、やって良かった、と言っていました。私もね、あの一帯は、私が植えたところ・・・と後から眺めて、満足感。参加する事に意義がある、というものですし。

当然、交通費も作業代もでませんが、ボトルの水だけは飲み放題。ちょいと、暑い日だったので、これは助かりました。また、自分で着たTシャツはお持ち帰り。もっとも、ボランティアなどと書いたTシャツ、普段着にはちょっとな・・・ですけどね。誰も見ていない庭で、ひとり、ガーデニングする時にでも着るくらいかな。皆、せっせと働いたせいか、予定より早めにノルマが終わり、お堀の中をのんびり、歩き回る時間も十分ありました。

この陶器のポピーは、ひとつにつき、25ポンド、プラス郵送料で、購入可能。収益は慈善団体に寄付されます。私も、記念にひとつ注文済み。ディスプレイ最終日の11月11日後に、送られてくる事になっています。もっとも、郵便局が大忙しのクリスマス時期と重ならないように、クリスマスの後になるんじゃないか、という話もありますが。ボランティアをした人の中には、家族メンバーの全員に一個ずつ買ったなどという人もいました。

こちらのサイトで購入できます。海外からの注文も大丈夫なようなので、おひとついかがでしょう。

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