クイーン・エリザベス・オリンピック・パークで思ったこと
早いもので、2012年のロンドン・オリンピックからすでに2年。ロンドン東部のストラトフォード(Stratford)にあるオリンピック跡地の一部は、すでに、クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク(Queen Elizabeth Olympic Park)として開放されていますので、先日、足を運びました。
ちなみに、このストラトフォードは、シェークスピアの故郷、ストラトフォード・アポン・エイヴォン(Stratford upon Avon)とは違います。シェークスピアは、田舎の子供で、東ロンドンっ子(コックニー)ではありません。最も、シェークスピアよりずっと後の、ダニエル・デフォー(Daniel Defoe 1661-1731年)は、ロンドンのストラトフォードの事を、「ストラトフォード村」と呼び、ここを訪れた際に、家の数が増え、村のサイズが2倍くらいになった感じである・・・と記述しているので、シェークスピアの時代のストラトフォードは、まだ、本当にど田舎の雰囲気であったかもしれません。
写真左手の妙てきれんな塔は、オービット(Orbit)。この上に登るのに、現段階で、17ポンド!おお、ちょっと高すぎないかい?塔はそんなに高くないのに・・・。オリンピック・スタジアムは、ウェストハム・ユナイテッドFC、サッカー・クラブの本拠地になる事になっています。クラブの移動までには、まだ後、2,3年かかるようですが。
クイーン・エリザベス・オリンピック・パークは、子供連れ家族が楽しめるような工夫があちこちに見られます。間を子供が走り回れる、小さな噴水が噴出すエリアがあり。公園自体へは、当然入場料は要りません。
超小型遊園地のようなものもあり。私が行った時は、コーヒーカップなどは、動いていませんでしたが。
子供の遊具が置いてあるエリアもあり。
オリンピックの開催された際、敷地内に、自然な野原(メドウ)に育ち、蝶や蜂が喜ぶような植物を大幅に使用した事が話題になっていましたが、まだそのテーマは続いている感じです。植物に覆われるような細い道を歩くと、カモマイルの甘い香りが漂っていました。
ストラトフォード駅を出てすぐに、ウェストフィールド(Westfield)と言う、やはりオリンピックと同時期に建設された巨大ショッピングモールがあります。公園に来る前に、ここでサンドイッチのお昼を買うためと、おトイレタイムに寄ったのですが、内部は大変な人。ウェストフィールドの人混みから5分と掛からない公園までたどり着くと、人の数はがたりと減り、ちょっとしたフリーダムを感じることができました。それと同時に、雨天でもないのに、現代人は、余暇に、戸外で深呼吸するよりも、ショッピングを好むものなのか・・・と、一抹の寂しさも感じ。
オリンピックがやってくる前のストラトフォードは、比較的、荒れた雰囲気の貧しいエリアでした。また、ダニエル・デフォーに話を戻しますが、彼によると、18世紀初めに、この周辺の開発がどんどん進んで家の数が増えていったわけですが、当時、新しい家のほとんどは、ロンドンの金持ち用のセカンドハウス、または、引退した後に、もっとのどかな環境で暮らすためのリタイアメントハウスであったようで、立派な家が多かったのだそうです。デフォーは、このため、周辺の家の値段が、跳ね上がったとリポートしています。
という事は、ストラトフォードを含めた東ロンドンが、貧しいワーキングクラスのエリアとなるのは、産業革命がフルスピードで回転するようになってからでしょう。イギリスで、風は主に西から吹いてくる事が多いですから、産業革命ただ中のロンドンの空を覆うスモッグは、風に煽られロンドン東部に流れ込んだわけです。東部に住んでいた富裕層は、この産業革命の煙から逃れ、ロンドン西部や北部の風上エリアへ移動したのかもしれません。そこへ、入れ替わりに貧しい労働者達が大勢移り住み、現在にいたったのでしょう。それが、今、再び、オリンピックを機に、周辺の開発が進み、新しい高額なマンションなども多々建設されています。今はスモッグもないし・・・。こうした、以前は、あまり行ってみようなどと思わなかった地域が開発され、ロンドンが綺麗になっていくのは良いのですが、世界都市としての魅力が上がる事に伴い、問題もあり。
ロンドンの不動産は、ここしばらく上昇するのみで、海外の投資者なども、金塊を買う変わりに、ロンドンの不動産に現金を沈め、世界の大金持ち小金持ちの預金代わりに使用されています。ロシア、シンガポール、中東石油国などなどからのバイヤーは多く。最近のロンドン不動産購入者の4人に1人は、シンガポール、香港、マレーシア、また中国からの、要は、中国系の人たちなのだそうです。ストラトフォード周辺の新しいマンションなども、建設完成前から、マレーシアなどで販売が開始され、中流のマレーシアの人たちが、ロンドンへ足を運ぶ事も無く、設計図、完成図を見るだけで、購入を検討する様子などを、以前ニュースで流していました。買った後は、良い値で貸しに出す人も多いことでしょう。銀行の利子より、そっちの方が、見返りが良いですし、「ロンドンの不動産の値は落ちない」と信じる人も多いため。
それに連れて、賃貸家賃も上がる一方。ベイビーブームと移民の数上昇も手伝い、ロンドン内の家が足りなくなっているのも、不動産、賃貸家賃の値段上昇に拍車をかけ。今は、私などが、小さなアパートをロンドンのゾーン1、2内で、安く借りていた頃に比べると、おったまげの値段です。ストラトフォードなどの、かつては、比較的住むのに安かったエリアなどまでが、お色直しで上品になるに連れ、低賃金、いや、普通の給料をもらっていても、すでに家を所有していない人が、ロンドン内に住む事が、段々難しくなってきているようです。そのうちに、学校の先生、看護婦さんなどの、いわゆる庶民の生活に必要なキーワーカーといわれる人たちや、清掃人、ヘアドレッサー、ウェイトレス、ウェイターなどまでが、生活できないようになったら、ロンドンは、町として機能できない状態になるのでは、などと言う人もいます。ニューヨーク、パリなどの比較的安全な西洋の大都会は、皆、海外からの不動産投資も流れ込み、似たような状態らしいですが。
若い世代が、ロンドンで住まいを購入する事が、夢のまた夢となりつつあるのに、何故に、政府は、海外からの不動産投資に対して何もせんのか・・・と不審に思いますが、政治家を初め、いわゆるイギリス社会のエスタブリッシュメント(重要人物たち)は、不動産リッチである事が多いため、ロンドン、ひいては、イギリスの家の値段が上昇するのは、まんざらではないわけで。また、一般有権者の中でも、高額な家を所有する人々にとっては、自分の富の削減は面白くない。そんなこんなで、政府は、とにかく、不動産の値段がガタ落ちする事態だけはどうしても避けたいところなのでしょう。
公園を去って、再びウェストフィールドを通過。お買い物とウィンドウショッピングを楽しむ人たちを眺め、特に若い人たちは、ロンドンで家を持っていて裕福気分なのか、それとも、家賃を払った後の少ないお金で、憂さ晴らしをしようとしているのか・・・などと、すれ違う顔を見ながら、それぞれの生活を想像などしてみました。ウィンドウショッピングだけなら無料ですから。
このウェストフィールド自体も、オーストラリアの企業なんですよね。更には、ウィキペディア英語版の情報によると、現在このストラトフォードのウェストフィールド・ショッピングセンターのシェアの50%は、オランダとカナダのペンション・ファンド(年金管理機構)に所有されているのだそうです。ウェストフィールド内の店舗の賃貸料金の一部が、オランダ、カナダのお年寄りの年金に使用されるべく、イギリスから流れ出てしまっているわけです。オーストラリア、カナダ、オランダ。前者2国は、資源に富む国、オランダは、ドイツ同様、きりもり堅実な国。3国とも、「今日生き延びれば、明日は明日。」という近視眼的現イギリスよりも、ずっと未来が明るい国の感じがします。こうやって、背後事情を調べて見ると、イギリスにありながら、そこで発生した富が、どんどん海外へ流出というケースが、最近、非常に目に付くのです。イギリス人が、るんるんとお買い物している間に・・・。
ウェストフィールド内部にある、小さなジャパンセンターで、高額のおみそを購入した後、しっかりと、ショッピングセンター内の無料トイレを、再度使わせて頂きましたからね。カモマイルの香りが、まだ鼻のなかをくすぐっていました。
ちなみに、このストラトフォードは、シェークスピアの故郷、ストラトフォード・アポン・エイヴォン(Stratford upon Avon)とは違います。シェークスピアは、田舎の子供で、東ロンドンっ子(コックニー)ではありません。最も、シェークスピアよりずっと後の、ダニエル・デフォー(Daniel Defoe 1661-1731年)は、ロンドンのストラトフォードの事を、「ストラトフォード村」と呼び、ここを訪れた際に、家の数が増え、村のサイズが2倍くらいになった感じである・・・と記述しているので、シェークスピアの時代のストラトフォードは、まだ、本当にど田舎の雰囲気であったかもしれません。
写真左手の妙てきれんな塔は、オービット(Orbit)。この上に登るのに、現段階で、17ポンド!おお、ちょっと高すぎないかい?塔はそんなに高くないのに・・・。オリンピック・スタジアムは、ウェストハム・ユナイテッドFC、サッカー・クラブの本拠地になる事になっています。クラブの移動までには、まだ後、2,3年かかるようですが。
クイーン・エリザベス・オリンピック・パークは、子供連れ家族が楽しめるような工夫があちこちに見られます。間を子供が走り回れる、小さな噴水が噴出すエリアがあり。公園自体へは、当然入場料は要りません。
超小型遊園地のようなものもあり。私が行った時は、コーヒーカップなどは、動いていませんでしたが。
子供の遊具が置いてあるエリアもあり。
オリンピックの開催された際、敷地内に、自然な野原(メドウ)に育ち、蝶や蜂が喜ぶような植物を大幅に使用した事が話題になっていましたが、まだそのテーマは続いている感じです。植物に覆われるような細い道を歩くと、カモマイルの甘い香りが漂っていました。
ストラトフォード駅を出てすぐに、ウェストフィールド(Westfield)と言う、やはりオリンピックと同時期に建設された巨大ショッピングモールがあります。公園に来る前に、ここでサンドイッチのお昼を買うためと、おトイレタイムに寄ったのですが、内部は大変な人。ウェストフィールドの人混みから5分と掛からない公園までたどり着くと、人の数はがたりと減り、ちょっとしたフリーダムを感じることができました。それと同時に、雨天でもないのに、現代人は、余暇に、戸外で深呼吸するよりも、ショッピングを好むものなのか・・・と、一抹の寂しさも感じ。
オリンピックがやってくる前のストラトフォードは、比較的、荒れた雰囲気の貧しいエリアでした。また、ダニエル・デフォーに話を戻しますが、彼によると、18世紀初めに、この周辺の開発がどんどん進んで家の数が増えていったわけですが、当時、新しい家のほとんどは、ロンドンの金持ち用のセカンドハウス、または、引退した後に、もっとのどかな環境で暮らすためのリタイアメントハウスであったようで、立派な家が多かったのだそうです。デフォーは、このため、周辺の家の値段が、跳ね上がったとリポートしています。
という事は、ストラトフォードを含めた東ロンドンが、貧しいワーキングクラスのエリアとなるのは、産業革命がフルスピードで回転するようになってからでしょう。イギリスで、風は主に西から吹いてくる事が多いですから、産業革命ただ中のロンドンの空を覆うスモッグは、風に煽られロンドン東部に流れ込んだわけです。東部に住んでいた富裕層は、この産業革命の煙から逃れ、ロンドン西部や北部の風上エリアへ移動したのかもしれません。そこへ、入れ替わりに貧しい労働者達が大勢移り住み、現在にいたったのでしょう。それが、今、再び、オリンピックを機に、周辺の開発が進み、新しい高額なマンションなども多々建設されています。今はスモッグもないし・・・。こうした、以前は、あまり行ってみようなどと思わなかった地域が開発され、ロンドンが綺麗になっていくのは良いのですが、世界都市としての魅力が上がる事に伴い、問題もあり。
ロンドンの不動産は、ここしばらく上昇するのみで、海外の投資者なども、金塊を買う変わりに、ロンドンの不動産に現金を沈め、世界の大金持ち小金持ちの預金代わりに使用されています。ロシア、シンガポール、中東石油国などなどからのバイヤーは多く。最近のロンドン不動産購入者の4人に1人は、シンガポール、香港、マレーシア、また中国からの、要は、中国系の人たちなのだそうです。ストラトフォード周辺の新しいマンションなども、建設完成前から、マレーシアなどで販売が開始され、中流のマレーシアの人たちが、ロンドンへ足を運ぶ事も無く、設計図、完成図を見るだけで、購入を検討する様子などを、以前ニュースで流していました。買った後は、良い値で貸しに出す人も多いことでしょう。銀行の利子より、そっちの方が、見返りが良いですし、「ロンドンの不動産の値は落ちない」と信じる人も多いため。
それに連れて、賃貸家賃も上がる一方。ベイビーブームと移民の数上昇も手伝い、ロンドン内の家が足りなくなっているのも、不動産、賃貸家賃の値段上昇に拍車をかけ。今は、私などが、小さなアパートをロンドンのゾーン1、2内で、安く借りていた頃に比べると、おったまげの値段です。ストラトフォードなどの、かつては、比較的住むのに安かったエリアなどまでが、お色直しで上品になるに連れ、低賃金、いや、普通の給料をもらっていても、すでに家を所有していない人が、ロンドン内に住む事が、段々難しくなってきているようです。そのうちに、学校の先生、看護婦さんなどの、いわゆる庶民の生活に必要なキーワーカーといわれる人たちや、清掃人、ヘアドレッサー、ウェイトレス、ウェイターなどまでが、生活できないようになったら、ロンドンは、町として機能できない状態になるのでは、などと言う人もいます。ニューヨーク、パリなどの比較的安全な西洋の大都会は、皆、海外からの不動産投資も流れ込み、似たような状態らしいですが。
若い世代が、ロンドンで住まいを購入する事が、夢のまた夢となりつつあるのに、何故に、政府は、海外からの不動産投資に対して何もせんのか・・・と不審に思いますが、政治家を初め、いわゆるイギリス社会のエスタブリッシュメント(重要人物たち)は、不動産リッチである事が多いため、ロンドン、ひいては、イギリスの家の値段が上昇するのは、まんざらではないわけで。また、一般有権者の中でも、高額な家を所有する人々にとっては、自分の富の削減は面白くない。そんなこんなで、政府は、とにかく、不動産の値段がガタ落ちする事態だけはどうしても避けたいところなのでしょう。
公園を去って、再びウェストフィールドを通過。お買い物とウィンドウショッピングを楽しむ人たちを眺め、特に若い人たちは、ロンドンで家を持っていて裕福気分なのか、それとも、家賃を払った後の少ないお金で、憂さ晴らしをしようとしているのか・・・などと、すれ違う顔を見ながら、それぞれの生活を想像などしてみました。ウィンドウショッピングだけなら無料ですから。
このウェストフィールド自体も、オーストラリアの企業なんですよね。更には、ウィキペディア英語版の情報によると、現在このストラトフォードのウェストフィールド・ショッピングセンターのシェアの50%は、オランダとカナダのペンション・ファンド(年金管理機構)に所有されているのだそうです。ウェストフィールド内の店舗の賃貸料金の一部が、オランダ、カナダのお年寄りの年金に使用されるべく、イギリスから流れ出てしまっているわけです。オーストラリア、カナダ、オランダ。前者2国は、資源に富む国、オランダは、ドイツ同様、きりもり堅実な国。3国とも、「今日生き延びれば、明日は明日。」という近視眼的現イギリスよりも、ずっと未来が明るい国の感じがします。こうやって、背後事情を調べて見ると、イギリスにありながら、そこで発生した富が、どんどん海外へ流出というケースが、最近、非常に目に付くのです。イギリス人が、るんるんとお買い物している間に・・・。
ウェストフィールド内部にある、小さなジャパンセンターで、高額のおみそを購入した後、しっかりと、ショッピングセンター内の無料トイレを、再度使わせて頂きましたからね。カモマイルの香りが、まだ鼻のなかをくすぐっていました。
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