グリニッジ・フット・トンネル

ロンドンから、標準時間でおなじみの グリニッジ (Greenwich)にたどり着くには、現在では、自動運転の高架鉄道ドックランズ・ライト・レールウェイ(DLR)を利用して、カティー・サーク(Cutty Sark)駅で降りるのが一番便利ですが、まだ、DLRがグリニッジ方面まで延びていなかった時代は、観光客は、電車でグリニッジ駅で降りるか、ボートで辿りつくか、して訪れていたものです。また、対岸のDLRのアイランド・ガーデンズ(Island Gardens)駅で下車して、テムズ川の下を歩いて来るという方法もありました。 テムズ川南岸にあるグリニッジと、その向かいのテムズ川北のアイル・オブ・ドッグス(Isle of Dogs)を結ぶ、海底トンネルならぬ、歩行者用川底トンネルである、Greenwich Foot Tunnelが開通したのは1902年。アイル・オブ・ドッグスにあった、海外からのエキゾチックな積荷が降ろされる、ウェスト・インディア・ドックス(West India Docks)で働いていた波止場の労働者達が、グリニッジ側から、フェリーに頼らず、直接歩いて対岸へ行けるように建設されたものです。 両岸にそれぞれ、ドームを頭に乗せたトンネルの入り口があります。上の写真は、グリニッジ側のトンネル入り口。背景は、対岸のアイル・オブ・ドッグス北部にある、カナリー・ワーフの高層ビル群。 今週は、ハーフタームと称される、学校が1週間お休みの時期のため、ロンドン内の観光地は子供連れでぎちぎち。秋晴れのグリニッジへやって来たものの、あまりの人混みにたじろぎ、グリニッジ・パークでのんびりしよう、という考えを捨て、かわりに、トンネルを使って静かな対岸へ移動する事にしました。 ドームの中に入り、階段をくるくる回って降り、歩き始めるトンネルは、直径3.5メートル、長さ370メートル。川の下だと言われなければ、本当に何の変哲もないものです。昔々、一番最初にこのトンネルを通った時は、ちょっとおしっこの匂いがし、うらさびた印象がありました。「自転車を使用する人は、降りて歩いてください」と書いてあるのに、びゅんびゅんちゃりで飛ばしていくティーンエージャーが何人かおり、「まったく、最近の若いもんは。」とぶつぶつ。 トンネル内、大きな体のお父さん率いるドイツ人家族の観光...