ユニオンジャックの歴史
イギリスの国旗、ユニオンジャック。その歴史の第一歩は、400年以上前の事となります。
1603年、世継ぎを残さなかったエリザベス1世が死去。エリザベス女王の命で斬首刑となった、メアリー・スチュアートの息子で、スコットランド王のジェームズ6世が、ジェームズ1世として、イングランドの王座も継承する事となります。当時はまだ別々の王国であったイングランドとスコットランドの2つの王座を手にしたジェームズは、2つの国を統合させ、グレートブリテンを打ち立てる夢を見たものの、長年いがみ続けてきた2つの国の合体を実現させる事はできずに終わり、自らを「キング・オブ・グレートブリテン」と呼び、2つの王国を合体させた旗を作るくらいで我慢となります。
こうして出来上がったのが、イングランドのセント・ジョージの旗(白地に赤の十字)を、スコットランドのセント・アンドリューの旗(青地に白のバッテン)の上に重ねたデザインのユニオン・フラッグ(またはユニオン・ジャック)。イングランドの旗は、サッカーなどで、日本でもお馴染みのことでしょう。ばつ型の十字は、英語で、saltire(ソルタイアー)と言うため、スコットランドのセント・アンドリュー旗は、時に単にソルタイアーと呼ばれる事もあります。
ユニオンジャックを作るにあたり、他にも、色々なデザインが考案されたようです。上の図は、スコットランドの国立図書館貯蔵のもの。1604年あたりに描かれたものだそうで、2つの国旗を、どう組み合わせるか、試行錯誤で、苦労している様子がわかります。使用されなかった、こうしたデザインを眺めると、最終的に選ばれたユニオンジャックが、いかに視覚的に気持ちよいか、改めて見直す事ができるのです。
こうして、この段階では、まだ、イングランドとスコットランドの政治的連合が成し遂げられなかったため、ユニオンジャックは、あくまで王家の旗であって、国旗ではなく、その使用も、船に掲げる旗として、海上のみであったようです。ユニオンジャック発表と同時に、スコットランドからは、「なぜに俺達の国の旗がイングランドの旗の下になるのか」と、さっそく文句が入り、スコットランドの船乗り達は、イングランドの赤十字を下にして、その上にスコットランドの旗を載せたデザインのものを作り、一時的に使用していたといいます。
ジャックというのは、戦闘船に掲げられる国旗の事を指すことがあり、ユニオンジャックと言う名の由来はそこから来たとされますが、王様ジェームズのラテン語名ジャコバスから来たという説もあります。ジェームズの息子のチャールズ1世の時代には、この旗を掲げる事ができるのは、王の船だけと決められます。王室関連の旗であったため、当然、オリバー・クロムウェルの共和政時代には一時廃止されますが、チャールズ2世の王政復古と共に、再び、ユニオンジャックは復活。
ユニオンジャックが、いわゆる国旗としての役目を果たすようになったのは、ジェームズ1世の戴冠より約100年経った、アン女王の時代。1707年に定められた連合法により、イングランドとスコットランドがついに統一国となってからのこと。ただし、広がりつつある、イギリスの領土に、「ここは俺らのもの!」と旗を立てるのに、国旗が必要だった他には、陸上での、ユニオンジャックの使用は、現在に比べ、頻繁ではなかったようです。
ユニオンジャックが、現在のデザインとなるのは、更に、それから約100年経過した、1801年。1800年の連合法で、アイルランドがイギリスに組み込まれた事から、アイルランドの、セント・パトリックの旗(白地に赤のバッテン)が、既存したユニオンジャックに組み込まれるのです。
イングランド、スコットランド、アイルランド(現在は北アイルランドが残るのみですが)の要素が国旗に組み込まれながら、ひとつだけ、国旗に登場していないのが、一番最初に、イングランドの支配下に入ったウェールズ。ウェールズのドラゴンを、旗の真ん中にのっけたらどうか、などという提案も耳にした事はありますが、ちょっと、デザイン的にうるさくなりますから、実現する事は、まずないでしょう。
面白い事に、チャールズ1世時代に遡る、ユニオンジャックを王・女王の船以外に掲げてはならん、という規定は、今も生きていて、厳密には、ボートにユニオンジャックを掲げるのは違法なのだそうです。うって変わって、陸上でのユニオンジャックの使用に規定は一切なく、誰でもかれでも、どんな使用をしても良いため、スパイス・ガールズのジンジャー・スパイスのユニオンジャックのドレスなんかも登場するわけです。
こんな格好で現れても、逮捕される心配は無し。ただ、この格好で、船に乗ったら、それは、違法となるんでしょうか・・・。
前回の投稿で、スコットランドが、本当に独立する事になったら、ユニオンジャックはどうするんだろう、などと書きました。ユニオンジャックは、いまや、イギリスのみならず、かつての大英帝国の国々の国旗に組み込まれているのですが、それも全て改正となってしまうのか。スコットランド独立でユニオンが崩れてしまった後は、ユニオンジャックも死んでしまうのでしょうか。残念ですね、そんな事になったら。
1603年、世継ぎを残さなかったエリザベス1世が死去。エリザベス女王の命で斬首刑となった、メアリー・スチュアートの息子で、スコットランド王のジェームズ6世が、ジェームズ1世として、イングランドの王座も継承する事となります。当時はまだ別々の王国であったイングランドとスコットランドの2つの王座を手にしたジェームズは、2つの国を統合させ、グレートブリテンを打ち立てる夢を見たものの、長年いがみ続けてきた2つの国の合体を実現させる事はできずに終わり、自らを「キング・オブ・グレートブリテン」と呼び、2つの王国を合体させた旗を作るくらいで我慢となります。
こうして出来上がったのが、イングランドのセント・ジョージの旗(白地に赤の十字)を、スコットランドのセント・アンドリューの旗(青地に白のバッテン)の上に重ねたデザインのユニオン・フラッグ(またはユニオン・ジャック)。イングランドの旗は、サッカーなどで、日本でもお馴染みのことでしょう。ばつ型の十字は、英語で、saltire(ソルタイアー)と言うため、スコットランドのセント・アンドリュー旗は、時に単にソルタイアーと呼ばれる事もあります。
ユニオンジャックを作るにあたり、他にも、色々なデザインが考案されたようです。上の図は、スコットランドの国立図書館貯蔵のもの。1604年あたりに描かれたものだそうで、2つの国旗を、どう組み合わせるか、試行錯誤で、苦労している様子がわかります。使用されなかった、こうしたデザインを眺めると、最終的に選ばれたユニオンジャックが、いかに視覚的に気持ちよいか、改めて見直す事ができるのです。
こうして、この段階では、まだ、イングランドとスコットランドの政治的連合が成し遂げられなかったため、ユニオンジャックは、あくまで王家の旗であって、国旗ではなく、その使用も、船に掲げる旗として、海上のみであったようです。ユニオンジャック発表と同時に、スコットランドからは、「なぜに俺達の国の旗がイングランドの旗の下になるのか」と、さっそく文句が入り、スコットランドの船乗り達は、イングランドの赤十字を下にして、その上にスコットランドの旗を載せたデザインのものを作り、一時的に使用していたといいます。
ジャックというのは、戦闘船に掲げられる国旗の事を指すことがあり、ユニオンジャックと言う名の由来はそこから来たとされますが、王様ジェームズのラテン語名ジャコバスから来たという説もあります。ジェームズの息子のチャールズ1世の時代には、この旗を掲げる事ができるのは、王の船だけと決められます。王室関連の旗であったため、当然、オリバー・クロムウェルの共和政時代には一時廃止されますが、チャールズ2世の王政復古と共に、再び、ユニオンジャックは復活。
ユニオンジャックが、いわゆる国旗としての役目を果たすようになったのは、ジェームズ1世の戴冠より約100年経った、アン女王の時代。1707年に定められた連合法により、イングランドとスコットランドがついに統一国となってからのこと。ただし、広がりつつある、イギリスの領土に、「ここは俺らのもの!」と旗を立てるのに、国旗が必要だった他には、陸上での、ユニオンジャックの使用は、現在に比べ、頻繁ではなかったようです。
ユニオンジャックが、現在のデザインとなるのは、更に、それから約100年経過した、1801年。1800年の連合法で、アイルランドがイギリスに組み込まれた事から、アイルランドの、セント・パトリックの旗(白地に赤のバッテン)が、既存したユニオンジャックに組み込まれるのです。
イングランド、スコットランド、アイルランド(現在は北アイルランドが残るのみですが)の要素が国旗に組み込まれながら、ひとつだけ、国旗に登場していないのが、一番最初に、イングランドの支配下に入ったウェールズ。ウェールズのドラゴンを、旗の真ん中にのっけたらどうか、などという提案も耳にした事はありますが、ちょっと、デザイン的にうるさくなりますから、実現する事は、まずないでしょう。
面白い事に、チャールズ1世時代に遡る、ユニオンジャックを王・女王の船以外に掲げてはならん、という規定は、今も生きていて、厳密には、ボートにユニオンジャックを掲げるのは違法なのだそうです。うって変わって、陸上でのユニオンジャックの使用に規定は一切なく、誰でもかれでも、どんな使用をしても良いため、スパイス・ガールズのジンジャー・スパイスのユニオンジャックのドレスなんかも登場するわけです。
こんな格好で現れても、逮捕される心配は無し。ただ、この格好で、船に乗ったら、それは、違法となるんでしょうか・・・。
前回の投稿で、スコットランドが、本当に独立する事になったら、ユニオンジャックはどうするんだろう、などと書きました。ユニオンジャックは、いまや、イギリスのみならず、かつての大英帝国の国々の国旗に組み込まれているのですが、それも全て改正となってしまうのか。スコットランド独立でユニオンが崩れてしまった後は、ユニオンジャックも死んでしまうのでしょうか。残念ですね、そんな事になったら。
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