ライム・ジュースとライミーと
ローズのライムジュース(Rose's lime juice)は、世界初のフルーツ・ドリンクと言われる代物です。見るからに涼し気な薄緑色の液体。これを水と混ぜて、夏なら氷を浮かせて飲むのです。創業の古い他のブランドと同じく、王室へのライム・ジュースのご用達ブランド。
創業者のⅬ.ローズ氏は、1860年代に、西インド諸島からライムの輸入をはじめ、アルコールを使用せずに、ライム・ジュースを長期間保存させる方法を開発し特許を獲得。これが、また運よく、イギリス海軍が、船にかならずレモンかライム・ジュースを乗せ、航海中、船乗り達に配給し飲ませるという規定をしいたのとほぼ同時期。おかげで、海軍への支給により商売繁盛。ローズ氏は、後、西インド諸島のドミニカにライムのプランテーションも購入し、供給源も確保。
なぜ、イギリス海軍が、そんな規定を設けたかというと、過去、船乗り達は、何ヶ月もの間、ビタミンCを摂取しない事によりおこる壊血病(scurvyスカービー)で命を落とす事が非常に多かったためです。これは、歯茎などがぐじょぐじょになり、歯なども抜けてしまうという、おそろしい病気。傷やばい菌による身体の抵抗力も失せて、やがては弱って死んでしまう。
すでに、15世紀ころから、柑橘類が壊血病の治療に良いのではないか、という事は、一部では知られていたようですが、情報の伝達とシェアも希薄なら、緻密な調査などは、行われず、それぞれの船と船長の方針と対策に頼るところが多い、行き当たりばったりのまま、数え切れぬほどの数の船乗り達は、壊血病で命をなくしていったわけです。
ハワイを発見、ニュージーランドの海図を作成し、オーストラリア東岸を訪れた、ジェームズ・クック船長は、ザワークラウトを船員達に食べさせる事、レモンやライムを船員に配給する事、その他もろもろの対策を導入し、彼の一番最初の探検航海では、壊血病で死んだ乗組員が一人もいなかった、という史上初の快挙を成し遂げた人です。ちょっと癖のある匂いがするザワークラウトを食べるのを嫌がる一般船員たちを説得させるため、キャプテン・クックは、自分を含めた上官たちが、美味そうに、皿に盛られたザワークラウトを食べている姿を見せた、という有名な逸話が残っています。「上官たちが美味そうに食っているなら、高級で、いいものに違いない」と思わせたわけ。ちなみに、ザワークラウトは、腸の健康にとても良い食べ物なのだそうで、壊血病などほとんど聞かない今日でも、毎日少しずつ食べる価値ありです。
さて、試行錯誤しながらも、やがて、柑橘類が、壊血病をやっつけるのに良いという知識が定着していくと、イギリスも、常時、船内にレモンを積むようになったようですが、植民地内にレモンの得られる場所が無く、スペインなどの地中海の国々からの輸入となるため、やがて、入手が簡単でレモンより安価な、イギリス植民地内の西インド諸島でのライムにとってかわられます。レモンの方が、ライムよりもビタミンCの含有量が多いそうなのですが、当時は、壊血病を治すのは、ビタミンCではなく、柑橘類の持つ酸っぱさにあると信じられていたという事で、レモンより酸っぱいライムは、もっと効くと一般に思われていたのもあったようです。ライムは、船上で、そのままのフルーツとしてではなく、ジュースとして保存されたため、さらに、ビタミンの含有率はぐーんと減り、レモンほどの効果は発揮しなかったようで、時にまた、壊血病患者が出てしまう事はあったようですが、まあ、無いよりは良かったのか。時が経つとともに、船上での食べ物の向上の他に、航海の速度も速くなり、陸に上がるまでの期間も短小されると、壊血病にかかる者の数も減っていきます。
アメリカでは、イギリス人を指して、時にライミー(limey)などと呼びますが、これは、最初は、ライムジュースを常時船に乗せていた、イギリスの船乗り達を指した言葉であったのです。「ライム・ジュースを飲むやつら」と言った感じですか。後に、徐々に、イギリス人一般を指して使われることとなります。一方、イギリスでは、ドイツ人をザワークラウトから取って、クラウト(Kraut)と世界大戦中に呼ぶようになります。こちらも今でも使われますが、侮蔑言葉です。ザワークラウトのおかげで、ドイツ人の方が、イギリス人より、健康な腸内菌をもってるかもしれないのに。国独特の食べ物から、国民一般のあだ名になるというのは、よくあるのか、考えて見れば、フランス人なども、イギリスでは時に馬鹿にして、蛙を食うやつら、の意味で、フロッグ(frog)なんて言いますね。更には、フランス人を馬鹿にするフレーズとして、アメリカのアニメ「ザ・シンプソンズ」のキャラクターの一人、スコットランド出身の赤毛で、好戦的な、小学校の用務員のウィリー(Groundkeeper Willie)が有名にした、「Cheese eating surrender monkeys」(チーズを食いながら簡単に降参する猿ども)が頭に浮かびます。いずれにせよ、聞いて何を意味するかを知っておいた方がいいですが、自分で使うのはやめておきましょう。
話を戻し、このローズのライムジュースですが、現在、ライムの含有量は、3%とかなり低いのです。美味しいんですけどね。最近では、スーパーマーケットが自社ブランドなどで、果物ジュースの含有量のパーセンテージがずっと高いものが売っているので、わざわざローズのものを買う理由は、背後にある伝統のみ。xxスーパーのライムジュースでは、王室のご用達にするには、ちょっとあまりにも庶民的過ぎ、威厳に欠けるのかもしれません。
創業者のⅬ.ローズ氏は、1860年代に、西インド諸島からライムの輸入をはじめ、アルコールを使用せずに、ライム・ジュースを長期間保存させる方法を開発し特許を獲得。これが、また運よく、イギリス海軍が、船にかならずレモンかライム・ジュースを乗せ、航海中、船乗り達に配給し飲ませるという規定をしいたのとほぼ同時期。おかげで、海軍への支給により商売繁盛。ローズ氏は、後、西インド諸島のドミニカにライムのプランテーションも購入し、供給源も確保。
なぜ、イギリス海軍が、そんな規定を設けたかというと、過去、船乗り達は、何ヶ月もの間、ビタミンCを摂取しない事によりおこる壊血病(scurvyスカービー)で命を落とす事が非常に多かったためです。これは、歯茎などがぐじょぐじょになり、歯なども抜けてしまうという、おそろしい病気。傷やばい菌による身体の抵抗力も失せて、やがては弱って死んでしまう。
すでに、15世紀ころから、柑橘類が壊血病の治療に良いのではないか、という事は、一部では知られていたようですが、情報の伝達とシェアも希薄なら、緻密な調査などは、行われず、それぞれの船と船長の方針と対策に頼るところが多い、行き当たりばったりのまま、数え切れぬほどの数の船乗り達は、壊血病で命をなくしていったわけです。
ハワイを発見、ニュージーランドの海図を作成し、オーストラリア東岸を訪れた、ジェームズ・クック船長は、ザワークラウトを船員達に食べさせる事、レモンやライムを船員に配給する事、その他もろもろの対策を導入し、彼の一番最初の探検航海では、壊血病で死んだ乗組員が一人もいなかった、という史上初の快挙を成し遂げた人です。ちょっと癖のある匂いがするザワークラウトを食べるのを嫌がる一般船員たちを説得させるため、キャプテン・クックは、自分を含めた上官たちが、美味そうに、皿に盛られたザワークラウトを食べている姿を見せた、という有名な逸話が残っています。「上官たちが美味そうに食っているなら、高級で、いいものに違いない」と思わせたわけ。ちなみに、ザワークラウトは、腸の健康にとても良い食べ物なのだそうで、壊血病などほとんど聞かない今日でも、毎日少しずつ食べる価値ありです。
さて、試行錯誤しながらも、やがて、柑橘類が、壊血病をやっつけるのに良いという知識が定着していくと、イギリスも、常時、船内にレモンを積むようになったようですが、植民地内にレモンの得られる場所が無く、スペインなどの地中海の国々からの輸入となるため、やがて、入手が簡単でレモンより安価な、イギリス植民地内の西インド諸島でのライムにとってかわられます。レモンの方が、ライムよりもビタミンCの含有量が多いそうなのですが、当時は、壊血病を治すのは、ビタミンCではなく、柑橘類の持つ酸っぱさにあると信じられていたという事で、レモンより酸っぱいライムは、もっと効くと一般に思われていたのもあったようです。ライムは、船上で、そのままのフルーツとしてではなく、ジュースとして保存されたため、さらに、ビタミンの含有率はぐーんと減り、レモンほどの効果は発揮しなかったようで、時にまた、壊血病患者が出てしまう事はあったようですが、まあ、無いよりは良かったのか。時が経つとともに、船上での食べ物の向上の他に、航海の速度も速くなり、陸に上がるまでの期間も短小されると、壊血病にかかる者の数も減っていきます。
アメリカでは、イギリス人を指して、時にライミー(limey)などと呼びますが、これは、最初は、ライムジュースを常時船に乗せていた、イギリスの船乗り達を指した言葉であったのです。「ライム・ジュースを飲むやつら」と言った感じですか。後に、徐々に、イギリス人一般を指して使われることとなります。一方、イギリスでは、ドイツ人をザワークラウトから取って、クラウト(Kraut)と世界大戦中に呼ぶようになります。こちらも今でも使われますが、侮蔑言葉です。ザワークラウトのおかげで、ドイツ人の方が、イギリス人より、健康な腸内菌をもってるかもしれないのに。国独特の食べ物から、国民一般のあだ名になるというのは、よくあるのか、考えて見れば、フランス人なども、イギリスでは時に馬鹿にして、蛙を食うやつら、の意味で、フロッグ(frog)なんて言いますね。更には、フランス人を馬鹿にするフレーズとして、アメリカのアニメ「ザ・シンプソンズ」のキャラクターの一人、スコットランド出身の赤毛で、好戦的な、小学校の用務員のウィリー(Groundkeeper Willie)が有名にした、「Cheese eating surrender monkeys」(チーズを食いながら簡単に降参する猿ども)が頭に浮かびます。いずれにせよ、聞いて何を意味するかを知っておいた方がいいですが、自分で使うのはやめておきましょう。
話を戻し、このローズのライムジュースですが、現在、ライムの含有量は、3%とかなり低いのです。美味しいんですけどね。最近では、スーパーマーケットが自社ブランドなどで、果物ジュースの含有量のパーセンテージがずっと高いものが売っているので、わざわざローズのものを買う理由は、背後にある伝統のみ。xxスーパーのライムジュースでは、王室のご用達にするには、ちょっとあまりにも庶民的過ぎ、威厳に欠けるのかもしれません。
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