ビーリー・アビー・ガーデンズにて
エセックス州ブラックウォーター川河口の町マルドン(Maldon)近郊にある、ビーリー・アビー・ガーデンズ(Beeleigh Abbey Gardens)を訪れました。
アビーという名でわかるよう、ヘンリー8世が、イギリス国教会を打ち立て、修道院解散を行った以前は、修道院であったのが、その後、周辺の土地は個人の手に渡り、居住用の館などが建てられ、今は、修道院時代の名残は館に組み入れられた一部を除いては、ほとんど残っていません。現在の館の持ち主は、2009年から敷地の庭園を夏季の間の数日のみ、一般公開しています。
私は、過去、2012年の藤の花が咲く季節に一度訪れたことがあったのですが、今回は、ちょっと違う花が見れるかな、と晩夏の先週再訪しました。現入場料は、大人6ポンド。
入場の時にもらったパンフレットにのっていたざっとしたビーリー・アビーの歴史は、
1180年に、厳格な、Premonstratensian派の修道院として設立。敷地の北側を流れるチェルマー川(River Chelmer)のそばから泉が湧くため、この地が選ばれたようです。水は大切ですから。ビーリーで生まれ、後にロンドン司教となり、マグナ・カルタの署名にも立ち会ったロジャー・ニガー(Roger Niger)という人物は、後に聖人となり、彼の心臓が、当修道院の祭壇に埋葬されたため、1241年から、それを目当てに巡礼者も多く訪れたのだそうです。修道院解散後の、この土地の初めての所有者は、9日間の女王ジェーン・グレーを支持したことから、1553年に打ち首の刑。修道院解散の破壊の後に、わずかに残った部分は、17世紀に建設された個人の館の一部として組み入れられたそうです。庭園の大本の基本は、この当時からさほど変わっていないということ。
現館の所有者は、2009年に庭園の一般公開を始めてから、少しずつ、色々な要素を加えていっているようで、2012年に私が来たときは、無かったものもいくつか目に入りました。
この噴水も去年設置したものだそうです。
イギリスはガーデニング王国ですので、庭園訪問が好きな人はどっちゃりいます。私たちが到着したのは比較的遅い時間だったのですが、この日も、かなり賑わっていました。
敷地内の池のあったあたりには、修道院時代には教会が立っていたそうです。今は、装飾用にボートが浮かべられ、噴水がきらきら上がり。
ボグ・ガーデン(湿地ガーデン)という、湿地を好む植物を植えたガーデンも、前回の訪問ではありませんでした。ボグ・ガーデンのむこうには、エセックス州の州都チェルムスフォードを流れ、マルドンでブラックウォーター川と合流し北海へ流れ出すチェルマー川が見えます。ちなみに、このチェルマー川は一部運河にもなっており、川を沿って歩けるフットパスがあるため、マルドンからチェルムスフォードまで、ずっと川沿いを歩いていくことができます。時間はかかるでしょうが。
キッチン・ガーデンでは、たわわに実る梨とリンゴ。ちょっとした周辺の散歩でも、赤いリンゴをさかんに見かけるようになりました。豊穣の季節の到来ですね。
広い芝生の上には、軽食とお茶を出すテントが建てられています。
芝生の中心の彫像は、修道院の創始者のもの。
前回の訪問で、藤はきれいだったのですが、ローズ・ガーデンのバラの花がまだ咲いておらず、今回は、バラが見れるかな、というのが、ちょっと楽しみでした。
ここのローズ・ガーデンは、特に、イギリスのバラの育種家、デビッド・オースチン(David Austin)による、イングリッシュ・ローズのみを植えてあるのだそうです。私も、だんなも、バラは、色もともかく、香りが良いものが好きで、ひとつひとつ花に鼻を突っ込んで、歩いて回りました。その中でも、特に香りが良かったのが、ガートルード・ジェキル(Gertrude Jekyll)と、上の写真のハーロウ・カー(Harlow Carr)という品種。ハーロウ・カーは、香りも良いし、やや小型のピンクの花も、それは沢山ついていました。また、ハーロウ・カーという名は、うちのだんなの出身地、ヨークシャー州ハロゲイト付近にある、王立園芸協会のイギリス最北部にある庭園の名から取ってつけられたもので、このハーロウ・カー庭園も、以前訪れたことがあることから、なんとなく、親近感もわいたのです。チケット売り場のわきに、植物を売るコーナーもあったので、ガートルード・ジェキルかハーロー・カーのどちらかあったら買っていこうと思ったのですが、無かった・・・。
帰りがけに、家の近所のナーサリー(植物販売店)へ寄ると、季節がそろそろ終わりのせいか、たまたま、バラが半額になっており、ハーロウ・カーが、一鉢だけ残っているのを発見。ラッキー!とばかり、がしっと掴んで、即効でレジにむかい購入しました。それは小さなつぼみが5つほどついていますが、霜が降りる前に、いくつか綺麗に花をつけ、良い香りを庭のパティオにまき散らしてくれることを期待して。
本日は、8月最後の月曜日で、バンク・ホリデーと呼ばれる休日。バンク・ホリデーは必ず雨が降るというジンクスがイギリスにはあるのですが、今回はそんなジンクスをうち破り、比較的涼しかった今年の8月の、最後のがんばりといわんばかりの好天気となりました。庭のひまわりとコスモスが一斉に咲きそろいそうです。大きめの鉢に植え替えたばかりのハーロウ・カーも陽光をめいっぱい吸い込んでいます。ビーリー・アビーの庭園とはいかぬまでも、顔に笑みが浮かぶ光景ではあります。
アビーという名でわかるよう、ヘンリー8世が、イギリス国教会を打ち立て、修道院解散を行った以前は、修道院であったのが、その後、周辺の土地は個人の手に渡り、居住用の館などが建てられ、今は、修道院時代の名残は館に組み入れられた一部を除いては、ほとんど残っていません。現在の館の持ち主は、2009年から敷地の庭園を夏季の間の数日のみ、一般公開しています。
2012年の訪問、藤棚の下で |
入場の時にもらったパンフレットにのっていたざっとしたビーリー・アビーの歴史は、
1180年に、厳格な、Premonstratensian派の修道院として設立。敷地の北側を流れるチェルマー川(River Chelmer)のそばから泉が湧くため、この地が選ばれたようです。水は大切ですから。ビーリーで生まれ、後にロンドン司教となり、マグナ・カルタの署名にも立ち会ったロジャー・ニガー(Roger Niger)という人物は、後に聖人となり、彼の心臓が、当修道院の祭壇に埋葬されたため、1241年から、それを目当てに巡礼者も多く訪れたのだそうです。修道院解散後の、この土地の初めての所有者は、9日間の女王ジェーン・グレーを支持したことから、1553年に打ち首の刑。修道院解散の破壊の後に、わずかに残った部分は、17世紀に建設された個人の館の一部として組み入れられたそうです。庭園の大本の基本は、この当時からさほど変わっていないということ。
現館の所有者は、2009年に庭園の一般公開を始めてから、少しずつ、色々な要素を加えていっているようで、2012年に私が来たときは、無かったものもいくつか目に入りました。
この噴水も去年設置したものだそうです。
イギリスはガーデニング王国ですので、庭園訪問が好きな人はどっちゃりいます。私たちが到着したのは比較的遅い時間だったのですが、この日も、かなり賑わっていました。
敷地内の池のあったあたりには、修道院時代には教会が立っていたそうです。今は、装飾用にボートが浮かべられ、噴水がきらきら上がり。
ボグ・ガーデン(湿地ガーデン)という、湿地を好む植物を植えたガーデンも、前回の訪問ではありませんでした。ボグ・ガーデンのむこうには、エセックス州の州都チェルムスフォードを流れ、マルドンでブラックウォーター川と合流し北海へ流れ出すチェルマー川が見えます。ちなみに、このチェルマー川は一部運河にもなっており、川を沿って歩けるフットパスがあるため、マルドンからチェルムスフォードまで、ずっと川沿いを歩いていくことができます。時間はかかるでしょうが。
キッチン・ガーデンでは、たわわに実る梨とリンゴ。ちょっとした周辺の散歩でも、赤いリンゴをさかんに見かけるようになりました。豊穣の季節の到来ですね。
広い芝生の上には、軽食とお茶を出すテントが建てられています。
芝生の中心の彫像は、修道院の創始者のもの。
前回の訪問で、藤はきれいだったのですが、ローズ・ガーデンのバラの花がまだ咲いておらず、今回は、バラが見れるかな、というのが、ちょっと楽しみでした。
香りの良いピンクの薔薇ハーロウ・カー |
帰りがけに、家の近所のナーサリー(植物販売店)へ寄ると、季節がそろそろ終わりのせいか、たまたま、バラが半額になっており、ハーロウ・カーが、一鉢だけ残っているのを発見。ラッキー!とばかり、がしっと掴んで、即効でレジにむかい購入しました。それは小さなつぼみが5つほどついていますが、霜が降りる前に、いくつか綺麗に花をつけ、良い香りを庭のパティオにまき散らしてくれることを期待して。
本日は、8月最後の月曜日で、バンク・ホリデーと呼ばれる休日。バンク・ホリデーは必ず雨が降るというジンクスがイギリスにはあるのですが、今回はそんなジンクスをうち破り、比較的涼しかった今年の8月の、最後のがんばりといわんばかりの好天気となりました。庭のひまわりとコスモスが一斉に咲きそろいそうです。大きめの鉢に植え替えたばかりのハーロウ・カーも陽光をめいっぱい吸い込んでいます。ビーリー・アビーの庭園とはいかぬまでも、顔に笑みが浮かぶ光景ではあります。
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