ホレス・ウォルポールのストロベリー・ヒル・ハウス
真っ白のストロベリー・ヒル・ハウス |
彼が、ロンドン南西部のトゥイッケナム(Twickenham)に建てた夏の別荘、ストロベリー・ヒル・ハウス(Strawberry Hill House)は、ストロベリー・ヒル・ゴシックと称される、ゴシック建築とされていますが、メルヘンの世界から飛び出した、外を白砂糖で固めたお菓子の家の風体。かなり長い間、朽ちるにまかせてあったものが、2008年から、大金をかけた修復作業が行われ、2010年に一般公開が始まりました。修復がすべて終わったのは2014年。1797年に、ホレス・ウォルポールが死んだ時と同じ内装で修復されているとのことですが、ストロベリー・ヒル・ハウスは、内部の記述が、非常に詳細に記されている建物であったため、想像力に頼ることなく、比較的忠実に内部再現が可能であったのだそうです。
修復完成当時に新聞記事にも取り上げられ、話題となっていたので、この時に、ホレス・ウォルポールのゴシック小説「オトラント城」(The Castle of Otranto)を、どんなものかと読んでみたのですが、メルヘンと、あまり怖くないお化け話と騎士の物語を混ぜたような内容で、まあ、こんなもんかな、という感じで、とりたてて感心しませんでした。当時の人たちは、こんなのが面白かったのでしょうか。それでも、この妙なストロベリー・ヒル・ハウスは、ちょっと気になって、常々、訪ねたいとは思っていたのです。そこで、今年は、まだ一回も会う機会が無かった友人夫婦が、興味あったら一緒に行こうと声をかけてくれたのもあって、私たちも夫婦で出かけて、
リッチモンド橋 |
リッチモンド・ヒルからテムズをのぞむ |
以前訪れたハム・ハウスの対岸にある館、マーブル・ヒル・ハウスの前も通過。
ストロベリー・ヒル・ハウスは、ホレス・ウォルポールの時代から、一般公開をしていたのだそうで、入場料を払ったとき、チケット代わりに、ウォルポールが観光客のために、1784年に出版したという、館内のガイドブックを小冊子としてもらいました。ウォルポールは屋敷の敷地内に、印刷所を設けており、最初のガイドブックは、そこで印刷。
入り口ホールには、季節がら、クリスマスツリーが飾られていました。
壁は、一見木製なのですが、これは壁紙で、木製に見える効果を出しているだけなのです。
ギャラリーにある、この天井のデコレーションも、本物のゴシックの教会のような石の天井ではなく、張りぼて。色彩や金色を散りばめている感じなど、ちょっと趣味悪くないかい。
この部屋も、金色のデコレーションが走ってますが、壁が赤くない分だけまし。
入り口ホールと階段の他には、図書館が一番雰囲気ありました。
一般公開されている他の昔の貴族の館などと比べ、調度品が少なく、どの部屋も、がらーんとしています。これは、ホレス・ウォルポール時代にあった家具調度絵画類が、1842年に、ほとんど売り払われてしまっているため。
ホレス・ウォルポール収集品のオークション・カタログ |
館内、あとは、ステンドグラスが綺麗でしたね。
かつては、窓からテムズ川がうかがえたですが、今は家なども建ってしまい、見えません。
庭には、当時もあった貝殻の形をしたベンチが、過去の絵を参考に再現され、しつらえてあり、この上に、マーメイドポーズで座って写真を撮りました。ボティチェリのヴィーナス・ポーズにすればよかったかな。
全体の印象として、ディズニーが貴族の館を作ったらこうなる、みたいな感じです。まあそれなりに、テーマパークに遊びに行くような面白さはありましたが。この後、トゥイッケナムの美味しい日本食レストランで夕飯。イングランドがオーストラリアを破って勝利したため、うかれるラグビーファンで、ぎちぎちになった電車に乗って帰途に着きました。
コメント
コメントを投稿