エルダーフラワーコーディアル

5月半ばから、イギリスの田舎の風景の中で、白い小さな花があちこちに広がっていきます。近くの小川に沿った緑地にレースをかける カウ・パセリ (シャク)、散歩道のわきに点々と生える さんざし の木のメイフラワー。 マロニエ の木の逆さシャンデリアのような花も目に留まり。そして、5月も後半にさしかかろうという時期に咲き始めるのが、やはり白い小花の集合体の、エルダー(西洋ニワトコ)の花、エルダーフラワー(Elderflower)。 エルダー(Elder、学名Sambucus nigra)は、藪と木の中間のような植物。北ヨーロッパ一帯、北米でも一般的に見られるようです。うちの周辺にも、あちこちに沢山生えています。市販のエルダーフラワー系ドリンクが、好きなので、毎年、この季節になると、「エルダーフラワーを摘んで、自家製エルダーフラワーコーディアル(Elderflower Cordial)を。」と、ずっと思っていたのですが、いつも時期を逸していたのです。そろそろ、エルダーの花も終わりに近づいてきて、だんなが、「今年もコーディアル作らないの?花終わっちゃうよ。」彼のお父さんは、昔、良く、エルダーフラワーを摘んで、シャンペンを作っていたのだそうです。 「花終わっちゃうよ。」と毎日、私に言いながら、埒が明かないので、だんなは、先日、薬局から、エルダーフラワーコーディアル作りに必要な「シトリック・アシッド」(citiric acid、クエン酸)50グラムを1箱買ってきて、私に手渡し、再び、「エルダーフラワー終わっちゃうよ。」 ナッジ されてしまった、私。これは作るしかない、と、さっそく、その翌朝早く、ビニール袋とはさみを持って、エルダーフラワーを摘みに行きました。歩いて5分と行かない場所で、かなりの収穫ができるというのも、考えてみれば贅沢な話です。排ガスや、農薬が心配なので、道路際、畑の脇のものなどは、避けたほうが無難です。 こういう事をしていると、散歩で小川のほとりを歩く人が、声をかけてくるのです。イギリス人は、日本人より、喋り好きが多いのかもしれません。まず、ごっついおじさんが、「何それ、香りがいいわけ?」「コーディアル作るから摘んでるの」「へー」「だって、これ、エルダーフラワーでしょ?」私が手にした花に、顔を突っ込んで香りをかいでいたおじさん「え、知らない?はは...