キューケンホフ(Keukenhof)のチューリップ

オランダは、アムステルダム近郊にある、キューケンホフ(Keukenhof)とは、オランダ語で「キッチン・ガーデン(お台所のガーデン)」の意味なのだそうです。15世紀の女伯爵、ヤコバ・ファン・ベイエレン(Jacoba van Beieren)が近くにあったお城のために、野菜やハーブ、フルーツなどを育てた場所であった事に起因する名だと言います。1857年に、この地は、アムステルダムのフォンデル公園を作った同じ造園家によって、イギリスのランドスケープ庭園風に作り直され、現キューケンホフのデザインは、基本的に、この時のもの。そして、第2次世界大戦後の1949年、20人の球根専門家が集まり、キューケンホフを、春の球根類のみを植える庭園とする計画を打ち立て、1950年に、一般公開。瞬く間に人気を博す事となります。

キューケンホフの開園は、3月半ばから5月半ばの、年に3ヶ月だけ。本当に、春の庭園なのです。植えられている球根の数は、700万。オランダにチューリップを見に行くなら、このキューケンホフとばかりに、先週、はじめて、繰り出してきました。

イギリスから、わずか1時間以下の飛行時間の後、スキポール空港に到着。旅券審査のお兄さんに、「こんにちは。」と日本語で挨拶され、その後、お兄さんに、にやっと笑って、英語で聞かれた質問は、「どこへ行くの?クーケンホフ?」「え?」「チューリップ見に、クーケンホフ行くの?」「あ、そうそう、そうです。」「楽しんできてね。」日本人観光客も、チューリップを見に、この時期大勢押し寄せるのでしょう。検査の兄さん、「また、来たな~、チューリップに誘われた日本人」と、もう慣れっこの感じでした。観光客は大切にせねば、と思っているのか、非常に愛想が良い人でした。ただ、オランダ人の発音、キューケンホフより、クーケンホフか、コーケンホフに近いものがあった気がしましたが。

スキポール空港からも直通でキューケンホフ行きのバスなども出ているのですが、なにせ、80のおばあさん(うちの母親)連れでしたので、アムステルダムからのバスツアーで行くのが一番と、アムステルダムに宿を取り、現地バスツアーに申し込んで、行ってきました。

とにかく、シーズン中、特に4月は、大変な人だという事なので、一番ゆっくり見れる時間は、開園直後か閉園直前の時間帯、という事を聞いていました。そこで、アムステルダム発2時45分初の最終バスツアーを選んだのですが、これが大当たり。

ツアー所要時間約5時間で、3時間以上、キューケンホフ園内で自由行動。7時15分にバスに集合でしたが、最後の1時間は、園内、かなり静かでしたから。もっとも、到着時、数え切れない数のツアーバスがとまる、広大な駐車場を見て、これは、ものすごい人だ、と思ったものの、庭園自体が広大なので、いらいらするほどの人ごみでもないのです。おトイレなども、並ぶことなく入れましたし、歩き疲れたら、座れるベンチは必ずあったし。実がしっかりつまった、美味しいアップル・パイとコーヒーも、簡単にテーブル確保してゆっくり味わいましたし。


イギリスでは、少々終わりかけた感のある水仙はまだきれいに咲いており、

ヒヤシンスも、みごとに満開、いい香り。

チューリップは、種によっては開花しているものも、まだこれからのものもありました。キューケンホフのサイトによると、ここに咲くチューリップの種は800もあるという事なので。チューリップがすべて出揃う山場は、4月終わりだそうですが、それでも、十分咲いていました。お天気にも恵まれ、花に囲まれた満足の半日。

バスでキューケンホフにくる途中、花畑をいくつか通過。この辺りのさらさらした軽い土壌は、球根栽培に非常に適しているのだそうです。販売するための球根を育てる花畑(球根畑というのか)では、花に余計なエネルギーが行ってしまわないように、花が咲くやいなや、花を刈り取ってしまうのだそうです。

キューケンホフ公園の片側も、こんなお花畑に隣接しています。ちょっと、お雛様のひし餅を連想させるような、綺麗な色の縞模様。こんな縞模様は、飛行機内からも目撃しました。

花畑の間をボートで進む観光客も。バスツアーでなく、個人行動で、たっぷり時間があったら、こうして花畑内のボートや、レンタサイクルをして、ちゃりでお花畑を走り抜ける、という楽しみ方もあるようです。

園内には、お花畑に向かって風車も立っており、この風車には上がる事ができます。

こちらは風車の上から、風車広場を見下ろしたもの。

キューケンホフは、毎年、何かしらのテーマがあるのだそうですが、今年のテーマはヴァン・ゴッホ。ヒヤシンスの花びらを散らして作ってあったゴッホの肖像があり。ゴッホというより、お菓子のカールおじさんのノリですか。

また、こちらは、ゴッホの顔とひまわりをチューリップを植えて描くようになっているものですが、この中のチューリップは、残念ながら、まだ咲いておらず、輪郭がほのかに見えるだけ。

これは、ゴッホの黄色い部屋をイメージしたものだそうで。

以前、イギリスの園芸番組、「ガーデナーズ・ワールド」で、キューケンホフ訪問を放送していた事がありましたが、この時に、ヒヤシンスは、そのままにしておくと、頭が重く、横にかしいでしまう事もあるので、ひとつひとつ、サポートの棒を差している様子を見せていました。ヒヤシンスの脇にひざまづいて、覗いてみると、確かに!支え棒がしっかりしてあります。手が掛かってます。おつかれさん!

なんだか、このチューリップを見て、映画「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」を思い出しましたよ。「フィード・ミー!」と叫びそう。800種もあれば、色々な姿のものあるのです。

仮に天気が悪くとも、園内には、いくつかの大きなパビリオンがあって、その中に展示されている花達も、美しいのです。チェルシー・フラワー・ショーのグレート・パビリオン風。そうえば、チェルシー・フラワー・ショーの押すな押すなの混雑ぶりの方が、キューケンホフよりずーっと、ストレスと疲れを感じました。面積が大幅に違うので、仕方ないでしょうが。チェルシー・フラワー・ショーの方は、一回行ったのでもういいや、と私は思いますが、もっとくつろいで見て回れるキューケンホフは、また行ってもいいですね。リピーター、結構多いかもしれません。

蘭がたくさんのパビリオンもありました。販売していたので、地元民だったら、ちょいと変わった品種を、買って帰りたいところでしたが。

帰りがけには、バスツアーのガイドさんからもらった券を提示してダリアの球根のお土産をもらい、バスに戻りました。7時15分の待ち合わせ時間以降に、まだ戻らない人たちの席が4つ6つ空いていたのですが、ガイドさん「まだ戻って来ない人がいますね。どこへ行ったかわかりません。自分達で、勝手に帰るのか、または、今夜はチューリップの花の間で眠るつもりなのでしょう。」などと、冗談を飛ばして、バスを発車させてしまっていました!笑いながらも、ちょっとびっくり。いたれりつくせりの、日本人ツアーではあり得ない様な話ですが、しつこく、7時15分までに必ず戻るようにと言われて戻らなければ、個人の責任というわけでしょう。

ああ、楽しかったな、キューケンホフ。花丸三つ献上!!!花好きの人はぜひ一度どうぞ。

公式サイトは、こちらまで。ツアーに参加せず、個人で行ってみようという人は、入場券、及び、バスの運賃とコンビの入場券なども、こちらのサイトで直接購入できます。

コメント

  1. オランダもイギリスも北海道よりずっと北なのに、春はそちらのほうが早いのですね。来週あたり水仙が咲きそうです。まだようやくツボミが出て来たところ。

    返信削除
    返信
    1. 北海道の冬が厳しいのは、シベリアの冬将軍のせいでしょうか。イギリスは、水仙の咲き始めが、オランダより先を行っている感じで、西風と海の影響で、大陸ヨーロッパより、少しだけ春が早いなと感じました。

      削除

コメントを投稿