フィッシュ・アンド・チップス
フィッシュ・アンド・チップス・・・今では、すっかりお馴染みで、英国の代表的お国料理のひとつではありますが、その歴史はさほど長くないのです。
フィッシュ(白魚のフライ)とチップス(ポテトの揚げ物)をコンビとして一緒に食べるようになったのは、1860年代頃であろうと言われますが、フィッシュとチップスを、別々には、すでにその半世紀前から食べられていた模様。一説によると、移民が多くいた東ロンドンで、ユダヤ人移民の料理であるフィッシュと、フランスまたはアイルランド移民のもちこんだチップスが、合体して出されるようになり、以来、この組み合わせは、瞬く間に人気となり、イングランドのみならず、アイルランド、スコットランドでも頻繁に食べられるようになったとか。
フィッシュは主にコッド(鱈、cod)かハドック(haddock)。英和辞典を見ると、ハドックも「鱈の一種で、codほど大きくない」と載っていました。
チップスは、魚のフライだけでなく、他のメインコースの付け合せにも良く登場します。「Chips with everything(何でもチップスで)」なんていう題名の、英劇作家アーノルド・ウェスカーによる戯曲もありました。私が、いつでもキッコーマンのマイ・ボトルをテーブルに置いて、何にでもしょうゆをかけるのを見て、昔フラットシェアをしていた人に、「Soy with everything(何でもしょうゆで)」とからかわれた覚えがあります。ちなみに、日本で言うおやつのポテトチップスはこちらではクリスプス(crisps)ですので。
フィッシュ・アンド・チップスはパブで食べる他、料理をするのが面倒なとき、テークアウェイで買って来て食べる事もしばしば。テークアウェイの時は、大体、マッシーピーというグリーンピースをつぶした物も買ってきます。フィッシュ・アンド・チップスのテークアウェイ店は、香港チャイニーズの人達の経営のものも多く、ちょっと不思議な光景です。移民たちの持ち込んだ食事から出来上がった、今や最もイギリス的な食べ物が、別の移民によって販売されているわけです。ある意味では、そんな光景こそが、非常にイギリス的なのだ、とも言えます。
北部出身のうちのだんなによると、イギリス北部では、フィッシュ・アンド・チップスは、植物油でなく、牛脂で揚げる事が多いので、味が濃厚で美味しいのだそうです。また、フィッシュ・アンド・チップスのテークアウェイの店では、たらこを衣を着けて揚げたものなども売っているのも見かけます。昔、日本人の知り合いが言っていました。「この国、魚介類は、全部揚げ物にすればいいと思ってるみたいで、なんだか、もったいないな。」
味付けには、好みでモルト・ビネガー(ビールから作る茶色の酢)や、塩を振って。上の写真の物は、皿にタルタルソースとレモンが載ってきて、ちょっと上品風です。モルト・ビネガーは、味が比較的薄くて、酸味も弱いので、初めてこの国に来たころは、ちょっとだけ振りかけても味があまりせず、物足りない気がして、瓶をゆすってぼちゃぼちゃと振り掛けるうちに、フィッシュもチップスもぐちょぐちょにしてしまう事などありました。
いずれにしても、これからの季節、こういった、お腹から熱を発射して暖かくなるようなものが食べたくなります。昔の人は、こういうどっしりと腹にたまる物を食べても、戸外で肉体労働などして、食べた分をエネルギーに燃やしていたわけですが、現代のイギリス人、高カロリー食を食べて、仕事はほとんどオフィス。身体を動かす事もあまりしない。車通勤の人は、一日歩くのは、ドアから車までの距離だけなんていう人もいる・・・4人に1人が太りすぎの部類に入るという、ヨーロッパ1番のでぶちゃん国だそうです。その4分の1に入ってしまわぬよう、こういうものを食した後は、ひたすら歩くか運動をしないと。
*当記事は、2008年11月25日にヤフージャパンに載せたものの焼き直しです。
フィッシュ(白魚のフライ)とチップス(ポテトの揚げ物)をコンビとして一緒に食べるようになったのは、1860年代頃であろうと言われますが、フィッシュとチップスを、別々には、すでにその半世紀前から食べられていた模様。一説によると、移民が多くいた東ロンドンで、ユダヤ人移民の料理であるフィッシュと、フランスまたはアイルランド移民のもちこんだチップスが、合体して出されるようになり、以来、この組み合わせは、瞬く間に人気となり、イングランドのみならず、アイルランド、スコットランドでも頻繁に食べられるようになったとか。
フィッシュは主にコッド(鱈、cod)かハドック(haddock)。英和辞典を見ると、ハドックも「鱈の一種で、codほど大きくない」と載っていました。
チップスは、魚のフライだけでなく、他のメインコースの付け合せにも良く登場します。「Chips with everything(何でもチップスで)」なんていう題名の、英劇作家アーノルド・ウェスカーによる戯曲もありました。私が、いつでもキッコーマンのマイ・ボトルをテーブルに置いて、何にでもしょうゆをかけるのを見て、昔フラットシェアをしていた人に、「Soy with everything(何でもしょうゆで)」とからかわれた覚えがあります。ちなみに、日本で言うおやつのポテトチップスはこちらではクリスプス(crisps)ですので。
フィッシュ・アンド・チップスはパブで食べる他、料理をするのが面倒なとき、テークアウェイで買って来て食べる事もしばしば。テークアウェイの時は、大体、マッシーピーというグリーンピースをつぶした物も買ってきます。フィッシュ・アンド・チップスのテークアウェイ店は、香港チャイニーズの人達の経営のものも多く、ちょっと不思議な光景です。移民たちの持ち込んだ食事から出来上がった、今や最もイギリス的な食べ物が、別の移民によって販売されているわけです。ある意味では、そんな光景こそが、非常にイギリス的なのだ、とも言えます。
北部出身のうちのだんなによると、イギリス北部では、フィッシュ・アンド・チップスは、植物油でなく、牛脂で揚げる事が多いので、味が濃厚で美味しいのだそうです。また、フィッシュ・アンド・チップスのテークアウェイの店では、たらこを衣を着けて揚げたものなども売っているのも見かけます。昔、日本人の知り合いが言っていました。「この国、魚介類は、全部揚げ物にすればいいと思ってるみたいで、なんだか、もったいないな。」
味付けには、好みでモルト・ビネガー(ビールから作る茶色の酢)や、塩を振って。上の写真の物は、皿にタルタルソースとレモンが載ってきて、ちょっと上品風です。モルト・ビネガーは、味が比較的薄くて、酸味も弱いので、初めてこの国に来たころは、ちょっとだけ振りかけても味があまりせず、物足りない気がして、瓶をゆすってぼちゃぼちゃと振り掛けるうちに、フィッシュもチップスもぐちょぐちょにしてしまう事などありました。
いずれにしても、これからの季節、こういった、お腹から熱を発射して暖かくなるようなものが食べたくなります。昔の人は、こういうどっしりと腹にたまる物を食べても、戸外で肉体労働などして、食べた分をエネルギーに燃やしていたわけですが、現代のイギリス人、高カロリー食を食べて、仕事はほとんどオフィス。身体を動かす事もあまりしない。車通勤の人は、一日歩くのは、ドアから車までの距離だけなんていう人もいる・・・4人に1人が太りすぎの部類に入るという、ヨーロッパ1番のでぶちゃん国だそうです。その4分の1に入ってしまわぬよう、こういうものを食した後は、ひたすら歩くか運動をしないと。
*当記事は、2008年11月25日にヤフージャパンに載せたものの焼き直しです。
こんばんは
返信削除投稿時刻が1の6並びですね。
おいしそうですね。てんぷらとは違うんですね?最近てんぷらも塩で食べるのがおしゃれになってます。テイクアウトでアツアツをたべたいです。あっ、でもコレステロールとかダメですよね。娘はイギリスで一番美味しかったのは、中華料理とケバブとこのフィッシュ&チップスだったといってました。
イギリス人は、外食はインドカレーが一番好きだという話もあります。こちらも移民の食ですが。
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