ボリスのモグラ叩き大作戦

いまだに、日本に比べて、毎日のコロナ感染による死者の数も多いイギリス(イングランド)ですが、ロックダウンの緩和は続いています。

すでに食料品、医療品を売る以外の店舗もオープンしており、さらには、今週の土曜日(7月4日)には、パブやレストラン、ホテル、そして、多くの、ぼさぼさ頭の人たちが待ち焦がれていた美容院や理髪店も開く予定。

日々ワイルドになってゆく髪型を気にしていた私の友人も、さっそく7月6日に美容院の予約を入れたそうです。彼女からのメールは、毎回のように、スコットランド自治政府首相の二コラ・スタージョンに触れていて、「あの人、ショートカットなのに、いつも綺麗にショートのままで整ってる、あれはひそかに美容師に切ってもらってるに違いない」と、書いてあり、二コラ・スタージョンの全く伸びない髪型は、ロックダウン中、彼女の固執観念となっていました。ちなみに、二コラ・スタージョンは、イングランドでの緩和が始まってからも、用心深く、スコットランド内でのロックダウンの緩和を遅らせていたため、スコットランドの感染は、イングランドよりずっと抑え込まれています。

さて、そんなイングランドの緩和ムードの中、外国人には、リチャード3世の骸骨が発見された事で知られているレスターで、感染の拡大が広がっている事から、レスターのみ、局地的ロックダウンの引き締めが再び始まります。レスター内の、せっかく開いたばかりの店舗も閉じることとなり、土曜日のオープニングに向けて準備をしていたレストランやパブも開店が延期される事になり、こうした店舗が、すでに注文を出したり、購入していた保存のきかないものへの投資は、水の泡となるようです。

庶民に受けそうなキャッチフレーズをまき散らすのが大好きな、英国首相ボージョーこと、ボリス・ジョンソンは、ロックダウン緩和後も、各地でぽこぽこ現れるであろう感染の上昇を、こうした局地的ロックダウンで封じ込める必要があるとし、これを「Wack-A-Mole、ワック・ア・モール」(もぐら叩き)対策と命名していました。彼にしては、的を得た表現です。確かに、これから、ワクチンができるまで、世界各国で、モグラ叩き、ならぬ、コロナ叩きが必要となるでしょう。ただし、もぐら叩きを成功させるは、反射神経が必要ですよ。今のところ、反射神経をもっているかも疑わしいような対応のボージョーですから、なんだか信ぴょう性がないです。レスターもすでに感染の上昇がみられ始めてから2週間くらいたっている様ですし、レスター市民も、不必要な店舗を閉める以外、どこまでの自由が許されているのか、明確にわかっていない感じです。

また、日本では都知事や県知事が率先して自分の管轄下の対策をたてることができるようですが、こちらは、全て中央からの命令で、各地域がその命令に従う、中央集権型で、コロナに対応していて、地方のリーダーの発言力がほとんどない。また、感染のデータなども中央が統括しているようで、実際にレスターの市長が、レスター内のどの地域で特に感染が多いのか教えてもらっていないので、状況が把握できない、と信じられない事を言っていました。地元の社会的事情をわかっている地域ごとに、対応策をゆだねたらどうだという意見も出ていますが、今のところ、このコロナ対策中央集権が続いています。

ロックダウンの緩和を行うにあたって、感染が起こった時、感染の元となった場所、更には濃厚接触者の追跡調査、そしてそれらの人物が隔離される事が重要となっていくと言われています。日本で、「クラスター発生!」と、大騒ぎで濃厚接触者を掘り出す、あれです。イギリスは、この追跡調査を、3月半ばで投げています。感染数が爆発した後では、追跡調査など間に合わないですから。その後、5月半ばに、ボージョーは、感染テストの数を増やし、追跡調査も再導入する予定だ、そのため大人数の追跡者の採用をしたとファンファーレ付きで国会でアナウンス。そして、6月1日までには、この「a world- beating test, track and trace operation」(世界もびっくりの感染テストと追跡対策)が機能しているだろうと、豪語していました。例によって例のごとく、それは口だけで、蓋をあけてみると、いまだに、この追跡調査は、うまく機能しておらず、世界もびっくりのお粗末さ、と言ったところ。なのに、ロックダウン緩和を始めてしまって、その結果がレスターでの感染上昇という事かもしれません。レスターのみならず、イングランド各地で、感染上昇が起こりえる場所は、まだいくつもあるようです。

さて、芝生からひょこひょこ顔を出すもぐらを、おもちゃのハンマーで叩くという、このもぐら叩きなんですが、これは、1975年に、日本で開発されたゲームなのだそうです。知らなった~。

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