世紀の植物 ゲラニウムのロザンネイ
これは、フウロソウの"ロザンネイ”。 学名は、ゲラニウム "ロザンネイ”(Geranium "Rozanne")。英語発音はゼラニウムかジェラニウムの方が近いですが、日本語のカタカナ表記では、ゲラニウム「ロザンネイ」という名を使用している事が多いようです。ゲラニウムってなんだか、後味の悪い薬みたい。何でしたっけ、あの胃カメラの前に飲むやつ、あ、あれは、バリウムか。日本語のカタカナ表記には、いつも悩まされます。ともあれ・・・
先月のチェルシー・フラワー・ショーが100周年を迎えたのを記念して、RHS(王立園芸協会)は、過去100年チェルシーでデビューをした新しく発見された植物、開発された新種の植物の中から、「プラント・オブ・ザ・センチュリー(世紀の植物)」を選出するという催しをしていました。RHSが、まず10の植物を選出してショート・リストを作り、その10の中から、一般投票でひとつを選出する、という趣向。その結果、輝ける「世紀の植物」のタイトルを獲得したのが、このフウロソウ(ゲラニウム)のロザンネイです。私は投票には参加しませんでしたが、ゲラニウムが選ばれたというのはわかる気がします。
「ロザンネイ」は持っていなかったのですが、ゲラニウムは別のものを3種持っていて、花壇の端やポットに植えるのにそれは重宝しています。可憐な花、涼しげな葉、蜂にも人気、咲く時期の長さ、狭いスペースでも育てられ、また持っているものは皆寒さに強く、必ず春が来ると、再びにょきにょき元気に顔を出してくれる。根もどんどん大きくなり、春に根を分けて増やすのも簡単。こうして、ゲラニウムたちは、いまや、我が家の庭のあちこちに点在しています。
大きく、鮮やで、ゴージャスな色の花を咲かせる植物でも、手入れが非常に面倒だと、嫌になってくるタイプなので、ちゃんと咲けるコンディションをこちらが用意したら、あとは、最低限の世話で、どんどん勝手に育って咲いてくれる植物が一番。絶世の美人のお嬢さんに、最初はほれてほれて貢いでいたのはいいが、あまりにわがまま贅沢で、あごでこき使われ続けると、そのうち、「きれいなのは、おまえだけじゃないんだ。いい加減にせい!」と叫びたくなり男性の心境?サドっ気があり、どんなに手がかかっても、尽くして尽くして、という人もいましょうが、私には、フウロソウ的花がいいです。ガーデニングも楽しいが、振り回されて、そればかり、というのもね。
ロザンネイがチェルシーデビューを飾ったのは2000年。この植物の開花期間は、6月から、なんと11月までだとか。そんなに長く咲いてくれる「世紀の植物」を購入せぬ手はないので、さっそく1株購入。6ポンド99ペンス。来年には、おそらく、2つか3つに分けるくらいには大きくなってくれ、どんどん増やして、何年も楽しめると見込んでいますので、高くは無いですね。
購入した際のポットに張ってあったラベルには、「どんな庭にも、この最も優れたハーディー(寒さに強い)・ゲラニウムは必需」などと書かれてあり、名前の後ろには、AGMの文字が堂々とプリントされていました。
AGMは、アワード・オブ・ガーデン・メリットの省略で、RHSご推薦の植物に与えられる称号です。AGM獲得のための条件としては、入手が可能であること、庭でのデコレーションや使用に有用であること、品質がよいこと、特殊な手入れを必要とせず、病気や害虫に比較的強いこと、突然変異を起こさないこと、などがあげられています。つまり、庭に置いて綺麗、またはハーブなどの場合は有用でありながら、普通の人でも、大体の場合失敗無く育てられることが条件なのです。よって、気難しい贅沢美人植物には、AGMは与えられないのであります。
ロザンネイの花の大きさは、持っていた他のものよりも、ひとまわり大きめ。種を撒き散らして、勝手気ままに増えてしまうという事もないとのこと。
ところで、ゼラニウムとかジェラニウムとかゲラニウムとかって、
上の写真の、この植物では?と思う人が大半でしょう。こちらの植物の、正式学名はペラゴニウム(Pelargonium)なのです。一般には、俗名ゼラニウム(Geranium)で知られているので、少々やっかいです。
冒頭に書いたよう、日本のカタカナ表記では、フウロソウは、ゲラニウム、上の植物(ペラゴニウム)は、ゼラニウム、と書き分けている感じですが、英語ではスペルも同じ、発音も同じです。その上、ガーデンセンターなどでも、「Geranium」というラベルを付けて、ペラゴニウムを売っていたりするので、ますます混乱。
でも、イギリスの園芸家が、園芸番組などで、「このGeraniumは・・・。」などと言う時は、大体の場合、フウロソウの事。園芸が学問として確立している国なので、人気園芸番組などでも、紹介された植物は、テレビ画面の下に、ちゃんとラテンの学名が記載され、後で調べたいとき、なかなか便利です。また、こちらの植物辞典で、Geraniumを見ると、出てくるのはフウロソウ(ゲラニウム)で、上の植物は、ちゃんとPelargoniumをひかないと出てきません。
ゼラニウム(ゲラニウム)という名の混乱の元は、両方の植物が同じファミリー(科)である、Geraniaceae科に入ることから来ているようです。植物の分類は、Family(科)、Genus(属)、Species(種)と分岐していくわけですが、この2つの植物、科は同じでも、属は、それぞれ、ゼラニウムと、ペラゴニウムと分かれるのです。
イギリスでは、フウロソウは、また、学名「Geranium」の他に、クレーンズビル(cranesbill、鶴のくちばし)という俗名でも知られます。これは、一部の種の花が終わった後の種ポッドが、鶴のくちばしに似ているということから来ているそうです。ちなみに、Geraniumという学名も、もとはギリシャ語の鶴という言葉に由来し、ペラゴニウムの方は、ギリシャ語でこうのとりに由来する言葉だそうで、こちらも、種ポッドの形がくちばしに似ているというのが理由のよう。細く尖っているくちばしを持った鳥であれば、何でもよかったのでしょうかね。
相変わらず不安定な天気は続き、お日様と共に気温上昇、「やったー、ついに夏!」と思うと、いきなりまた寒くなる日々。このしけた初夏の代償に、暖かい秋に恵まれたいものです。そうすれば、11月まで、庭に座って、ロザンネイを楽しめるのですが。
追記(2014年3月)
植えてから1年目の冬を越した我が家のロザンネイ。冬季は、すっかり地表から消え去り、ちゃんと今春またにょきにょき出てきてくれるか心配していたのですが、3月上旬、ライムグリーンの小さな葉が地表に顔を出し始め、3月も後半に入った現在は、
こんな感じで、順調に2年目を迎えています。めでたし、めでたし。
先月のチェルシー・フラワー・ショーが100周年を迎えたのを記念して、RHS(王立園芸協会)は、過去100年チェルシーでデビューをした新しく発見された植物、開発された新種の植物の中から、「プラント・オブ・ザ・センチュリー(世紀の植物)」を選出するという催しをしていました。RHSが、まず10の植物を選出してショート・リストを作り、その10の中から、一般投票でひとつを選出する、という趣向。その結果、輝ける「世紀の植物」のタイトルを獲得したのが、このフウロソウ(ゲラニウム)のロザンネイです。私は投票には参加しませんでしたが、ゲラニウムが選ばれたというのはわかる気がします。
「ロザンネイ」は持っていなかったのですが、ゲラニウムは別のものを3種持っていて、花壇の端やポットに植えるのにそれは重宝しています。可憐な花、涼しげな葉、蜂にも人気、咲く時期の長さ、狭いスペースでも育てられ、また持っているものは皆寒さに強く、必ず春が来ると、再びにょきにょき元気に顔を出してくれる。根もどんどん大きくなり、春に根を分けて増やすのも簡単。こうして、ゲラニウムたちは、いまや、我が家の庭のあちこちに点在しています。
大きく、鮮やで、ゴージャスな色の花を咲かせる植物でも、手入れが非常に面倒だと、嫌になってくるタイプなので、ちゃんと咲けるコンディションをこちらが用意したら、あとは、最低限の世話で、どんどん勝手に育って咲いてくれる植物が一番。絶世の美人のお嬢さんに、最初はほれてほれて貢いでいたのはいいが、あまりにわがまま贅沢で、あごでこき使われ続けると、そのうち、「きれいなのは、おまえだけじゃないんだ。いい加減にせい!」と叫びたくなり男性の心境?サドっ気があり、どんなに手がかかっても、尽くして尽くして、という人もいましょうが、私には、フウロソウ的花がいいです。ガーデニングも楽しいが、振り回されて、そればかり、というのもね。
ロザンネイがチェルシーデビューを飾ったのは2000年。この植物の開花期間は、6月から、なんと11月までだとか。そんなに長く咲いてくれる「世紀の植物」を購入せぬ手はないので、さっそく1株購入。6ポンド99ペンス。来年には、おそらく、2つか3つに分けるくらいには大きくなってくれ、どんどん増やして、何年も楽しめると見込んでいますので、高くは無いですね。
購入した際のポットに張ってあったラベルには、「どんな庭にも、この最も優れたハーディー(寒さに強い)・ゲラニウムは必需」などと書かれてあり、名前の後ろには、AGMの文字が堂々とプリントされていました。
AGMは、アワード・オブ・ガーデン・メリットの省略で、RHSご推薦の植物に与えられる称号です。AGM獲得のための条件としては、入手が可能であること、庭でのデコレーションや使用に有用であること、品質がよいこと、特殊な手入れを必要とせず、病気や害虫に比較的強いこと、突然変異を起こさないこと、などがあげられています。つまり、庭に置いて綺麗、またはハーブなどの場合は有用でありながら、普通の人でも、大体の場合失敗無く育てられることが条件なのです。よって、気難しい贅沢美人植物には、AGMは与えられないのであります。
ロザンネイの花の大きさは、持っていた他のものよりも、ひとまわり大きめ。種を撒き散らして、勝手気ままに増えてしまうという事もないとのこと。
ところで、ゼラニウムとかジェラニウムとかゲラニウムとかって、
上の写真の、この植物では?と思う人が大半でしょう。こちらの植物の、正式学名はペラゴニウム(Pelargonium)なのです。一般には、俗名ゼラニウム(Geranium)で知られているので、少々やっかいです。
冒頭に書いたよう、日本のカタカナ表記では、フウロソウは、ゲラニウム、上の植物(ペラゴニウム)は、ゼラニウム、と書き分けている感じですが、英語ではスペルも同じ、発音も同じです。その上、ガーデンセンターなどでも、「Geranium」というラベルを付けて、ペラゴニウムを売っていたりするので、ますます混乱。
でも、イギリスの園芸家が、園芸番組などで、「このGeraniumは・・・。」などと言う時は、大体の場合、フウロソウの事。園芸が学問として確立している国なので、人気園芸番組などでも、紹介された植物は、テレビ画面の下に、ちゃんとラテンの学名が記載され、後で調べたいとき、なかなか便利です。また、こちらの植物辞典で、Geraniumを見ると、出てくるのはフウロソウ(ゲラニウム)で、上の植物は、ちゃんとPelargoniumをひかないと出てきません。
ゼラニウム(ゲラニウム)という名の混乱の元は、両方の植物が同じファミリー(科)である、Geraniaceae科に入ることから来ているようです。植物の分類は、Family(科)、Genus(属)、Species(種)と分岐していくわけですが、この2つの植物、科は同じでも、属は、それぞれ、ゼラニウムと、ペラゴニウムと分かれるのです。
イギリスでは、フウロソウは、また、学名「Geranium」の他に、クレーンズビル(cranesbill、鶴のくちばし)という俗名でも知られます。これは、一部の種の花が終わった後の種ポッドが、鶴のくちばしに似ているということから来ているそうです。ちなみに、Geraniumという学名も、もとはギリシャ語の鶴という言葉に由来し、ペラゴニウムの方は、ギリシャ語でこうのとりに由来する言葉だそうで、こちらも、種ポッドの形がくちばしに似ているというのが理由のよう。細く尖っているくちばしを持った鳥であれば、何でもよかったのでしょうかね。
相変わらず不安定な天気は続き、お日様と共に気温上昇、「やったー、ついに夏!」と思うと、いきなりまた寒くなる日々。このしけた初夏の代償に、暖かい秋に恵まれたいものです。そうすれば、11月まで、庭に座って、ロザンネイを楽しめるのですが。
追記(2014年3月)
植えてから1年目の冬を越した我が家のロザンネイ。冬季は、すっかり地表から消え去り、ちゃんと今春またにょきにょき出てきてくれるか心配していたのですが、3月上旬、ライムグリーンの小さな葉が地表に顔を出し始め、3月も後半に入った現在は、
こんな感じで、順調に2年目を迎えています。めでたし、めでたし。
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