庭に蝶を呼ぶ花

ブッドレア(Buddleja davidii、バドリアと書いた方が、英語の発音に近いでしょうか、日本名はフサフジウツギ)は、Butterfly Bush(バタフライ・ブッシュ)という別名からも分かるように、蝶が非常に好む花。長い房に小さな花が沢山付いていて見た目にもアトラクティブ。繁殖力も旺盛で、電車の線路沿いなどに、大挙して咲いているのを見かけたりもします。

庭に沢山の蝶々のご訪問を受けたければ、ブッドレアは理想的な植物・・・なのですが、比較的大型で、放っておくと奔放にぐんぐんと、あちこちに枝を伸ばして伸び、更には種を撒き散らし、にょきにょき生えてくることから、花壇のスペースが限られている庭にはむかない、というのがあります。

で、2年前に、ポットでも育てられるという、コンパクトな新種のブッドレア、「バズ」(Buddleja davidii 'Buzz')が出た時、これだったらうちでも育てられる、欲しいな、と思っていたのです。去年は、買う機を逸したので、今月頭、良く行く、町外れのガーデンセンターに、「小型ブッドレアのバズ売ってます?」と問い合わせたところ「新種の植物は、大体、巷のガーデンセンターに卸されるようになるまで、4,5年かかるから、開発したナーサリー(養植物園)から、インターネットで直接買うのがいいよ。」とのお返事。

そこで、バズを開発したトンプソン&モーガン社(Thompson & Morgan)のサイトから、スカイブルー、深紅色、アイボリーの3色パックの、バズの大型プラグ(plug)を注文しました。

プラグとは、まだ若い小さめの赤ちゃん植物の事で、すでに大きくなった植物を購入するよりも、ずっと手ごろな値段で買えるのです。サイトによると、配達は、「4月の終わりまでには届く」と、かなりゆるいものでしたが、植物は天候によって育ち具合が違うでしょうから、まあ4月の終わりまでには、どういう天候状態でも、発送できる大きさには育っているだろう・・・という意味で、こういう、時間に余裕を持たせた送付約束をしているのでしょう。毎日の様に雨続きの、暗いこの4月、ベービー・バズたちは、成長が遅れたか、やっと月末ぎりぎりになって届きました。

「ライブ・プランツ(生きた植物)、即開いてね」と書かれた小包が、普通の郵便で送られてきて、開くと、3つのプラグがこんな風にプラスチックの型に収まっていました。「あなたのブッドレア・コレクション 左からスカイブルー、深紅色、アイボリー」とかかれたシールがはられ、植物はなかなか元気。ああ、わくわく。さっそく小雨しょぼ降る庭で、用意してあった3つのポットを綺麗に洗って、植えたのです。

バズは、1メートルくらいの高さまで成長するらしく、花は、毎年、新しく成長した枝につくので、春には、かなり短く刈り込む必要があるそうですが、それでも他種のブッドレアに比べ、ずっとコンパクトで手間がかからないといううたい文句です。

本日は、イギリス国内あちこちで、洪水注意報まで出る始末、雨にも負けず、風にも負けず、早くおおきくなって、夏に沢山の蝶をよんでちょうだいな。

追記
植えて一年後の、ブッドレア バズの開花の様子と、そこへやって来た蝶たちの写真は、こちらまで。

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西洋の名前を、日本語でカタカナを使って書くとき、いつも苦労するのですが、この植物の属名Buddlejaも、バドリアと書いた方が、英語の発音に近いかなと、思ったのですが、どうやら、日本ではブッドレアと書かれる事が多いようなので、そうしておきました。

Buddlejaという属名は、イギリス、エセックス州の牧師で植物学者でもあったアダム・バドル(Adam Buddle 1662-1715)の名から、分類学の父、カール・リンナエウスが命名したもの。昔は、牧師さんたち、教会税などの収入で生活も比較的裕福で安定、時間もたっぷりあり、宗教生活はそっちのけで、自分の興味の分野に専念する人も多かったようです。

ブッドレア(フジウツギ)属に分類される植物には、100もの種があるといいますが、その中、園芸でよく使われるものに、バズのようなdavidii種が多いです。

*アルマン・ダヴィッド(Armand David)神父(1826~1900年)

フサフジウツギを、中国で初めて発見した西洋人はフランスのアルマン・ダヴィッド神父だったそうです。よって、Buddleja davidiiの後半の部分で種の名前となる「davidii」は、ダヴィッド神父の名からとったもの。

宣教師であったアルマン・ダヴィッド神父は、また生物学者でもあり、中国で、手広く多くの動植物のサンプルを収集。氏は、パンダちゃんを、初めて発見した西洋人としても知られています。

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