セント・ポールのドームを見上げ

帰宅の途中、クリストファー・レン設計のセント・ポール大聖堂のドームが夜空に浮き上がっている様子を見ると、いつも、気分が明るくなるのです。上を向いて歩こうよ、とばかりに、多少気がめいっていても、ドームを眺めながら、なんとなく顔にスマイルが戻ってくる。

20年以上も前に、イギリスに行きたいと思い、やって来て、気がつくと、そのまま住処となってしまい、幾度見たかもわからない光景ではあるのですが、いまだ、これを見るたびに、「ああ、この国に来て良かった、住めて良かった。」と思うのです。

第2次大戦の戦火(ブリッツ)も生き延びた寺院。300年以上経った今もどんと構え、また、同じ年月が経った後も、ここに立っているのでしょうか。そう思うと、安心する・・・そんな感じです。クリスマスツリーを背景に、また一段とムードがあります。

さて、2ヶ月以上前から、セント・ポールのそばに陣取っている「プロテスター」たちのテントはまだあり、現在も、たてこもっています。かなり暖かい冬なので、もうしばらくねばるかもしれません。聖堂の正面わきには、プロテスター用に仮設トイレまで立ち並んでいる始末。

それにしても、一体、何にプロテストしたいのか良くわからない人たちです。「バンカー」が世界の経済危機を引き起こしたなどと言って、それなら、金融機関のオフィスの前ででもテントを張ればいいのに。また、この「バンカー」の定義も本人達、おそらく、曖昧でわかっていないのではないでしょうか。資本主義社会に反対・・・はいいが、「あんたが身につけているそのピアスやらネックレスやら、資本主義ならではじゃないの?そんなに資本主義が嫌なら、北朝鮮へでも移民したら?」と思うのです。私も、度の過ぎた消費者社会や使い捨て文化には反対ですが、見た目からは、この人たち、消費するのは、嫌いでないな、という印象受けます。

大体、働き盛りの様な年で、比較的良い身なりをし、数ヶ月、何もせずにうだうだしていられる、というのは、比較的裕福なバックグラウンドだったり、親が金持ちだったり、国から補助金を受けていたりするケースが多いのではないのでしょうか。この人たちの処置のために、かなり公費もかかっているはず。お騒がせの、ただの暇人という感があります。何か、社会を良くする事をしたいのなら、特にクリスマス時期には、ホームレス等のための募金活動なども行っているあちこちの教会や、慈善団体のように、もっと、建設的な事をすればいいのに。

いずれにせよ、聖堂の前に陣取ったこのプロテスターたちを、暴力反対の温和なイギリス国教会は、無理やり強制退去させる事もできずに、対処に困り、内部ですったもんだともめた後、ずるずると現在にいたっています。かわいそうな、セント・ポール大聖堂。一時は、この事件で、戦時中以来初めて、その門を閉じる事となり、その間の観光収入は減少。こんな一大建設物、維持費には、莫大なお金がかかるでしょうから、これも気の毒でした。プロテスター諸侯には、退去後、心優しい大聖堂に多少でも金を寄付していけ、と言いたいところ。

ともあれ、来年は、久しぶりに、内部の観光をしてみようと思っていますので、よろしくね、セント・ポール。また、来年も、見守っていて下さいな。

メリー・クリスマス!

コメント

  1. メリークリスマス
    セントポール寺院は美しいかたちですね。メリーポピンズの映画で象徴的な描かれていてすばらしかったです。
    世俗の物質にのみ人は満たされるわけではないです。今年は東日本大震災で日本人はそのような事を実感できたように思います。心のよりどころとなる物はそのような時に必要になるのですね。クリスマスはそのような事を考えたいですね。

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  2. メリーポピンズの映像イメージ通りの大聖堂です。

    気温は10度を越す暖かいクリスマスです。バックグランドに、ラジオからのキャロルが流れています。良いクリスマスをお過ごし下さい。

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